逃ゲテ。見ツケテ。



これでは延々と続くと危惧したコナンが声を上げて止めた。


「あ、あのさ、3人共助けてほしい、かな?」


困ったような笑みを浮かべ、コテンッと首を傾げてみせるコナン。

その仕草に男3人は何か使命感みたいなものが沸き上がり、女に至っては小さく吹き出し椅子をバンバン叩き悶えた。

そんな彼女に男性陣が「何してんだコイツ?」と言った白い目を向けてるとは知らない。

結果、コナンの案が通り、コナンに危険が及ぶ前にジンと赤井と安室が救出に向かうという事となった。

車から降り、草むらに身を隠しながら男の家に近付く。


「待て」

「どうしたジン?」

「あの電柱の上の方にカメラが設置されてるぞ」

「? 市が設置した防犯カメラじゃないんですか?」

「馬鹿かお前は」

「Σバ・・」

「ここまで来る間監視カメラが1つもなかった。なのにあそこだけある。それもその男が住まう家の前が見えるようにな」

「つまりあの男が取り付けた物と言う事ですね」

「誰か出てくる」


赤井の言葉に全員玄関を見る。

玄関から少しやつれた女の人が出てきて、コナン達に気付く事無く歩いて行った。


「母親・・でしょうかね?」

「おそらく」

「ボウヤ、準備はいい・・・」


赤井が振り向いたその時、思わず固まってしまった。


どうしたのだろうと他の面々もコナンに視線を向ける。そして赤井同様固まってしまった。

コナンが静かに涙を流しながら、ジンに身を寄せているのだから。


「・・・コ、コナン君?いったいどうしたんだ?」

「・・・ジン。何をした?」

「・・・何もしてねぇ・・・」

「ボ、ボクもわからない・・・何か急に・・・」


するとコナンがジンに抱き付いた。

コナンの行動に赤井と安室がますます驚くも何とか耐え、コナンとジンを引き剥がそうとする。


「コナン君、とりあえず離れてくれないか?いざあの男と対面するとなると怖いと思うのは分かるよ。けど抱きつくなら僕の方に・・・」

「どさくさに紛れて何を言おうとしてるんだ安室君。ボウヤ、その男にしがみつくと煙草臭くなるぞ。それともこの作戦やっぱりやめるか?」

「さ、作戦の方は大丈夫だよ。ただ・・・体が動かない・・・何で?」

「ちょっとキミ、コナン君の身に何が・・・って何ガン見してるんですか?」


さっきから黙っている女の方に視線を向ければ、女は瞬きひとつせず記憶に焼き付けるようにコナンとジンの2人をガン見していた。

安室に言われてハッと我に返った女は説明をする。


「えーとですね・・コナン君?・・に取り憑いてる子の影響ですね。その子が涙を流して、その人に抱きついていて、それでコナン君もその子と同じ行動を」

「何故その子はこんな事を?」

「さぁ?」

「おい。どうすればいいんだ?」

「とりあえず・・・頭撫でて優しい言葉をかけてみたらどうでしょう?」

「そんな事ジンには出来ませんよ」


安室がキッパリ否定し、


「そうだな。この男にそんな優しい事が出来るとは思えん」


同意するように赤井も即答した。


「キサマら・・ (怒)」




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