逃ゲテ。見ツケテ。



女がこちらに戻って窓をコンコンとノックしたので赤井が窓を開ける。


「もう大丈夫です」

「やれたのか?」

「はい」

「・・お前、何者だ?」


ジンの鋭い眼光に女はビクッと肩を上げ、慌てて言葉を発する。


「ただの一般人の高校生ですよ。ちょっと霊が視えたり祓えたり出来る、普通の」

「それ普通ですか?」

「いつもそれ・・を持ち歩いているのか?」


赤井がカバンを指し、女がカバンの中身をチラッと見る。


「これですか?まぁそうですね・・・。私よく霊を視かけたり襲われたりするので、護身用みたいなものです」

「(それでよく普通と言えたなこの子・・・)」

「それよりも、祓えたとしてもまた出てくる可能性があります。あのキモデブがこの子に執着してる限り」

「・・・そう言えばお前さっきこっちに指差して何か叫んでいたが、あれはなんだ?」

「あれですが?あれは・・この子はアンタの事嫌ってんだよ、みたいな?事を言ってやりました」


どこか嘘っぽく聞こえる女の言葉にジンが疑いの目を向ける。

女はジンの目に顔を引きつるのを抑えながら目を背けた。


「・・あのさ、ボク、わかった事があるんだ」


唐突に喋り出したコナンに皆そちらに顔を向ける。


「この子が何で、ボクに取り憑いたのか。あの男の事も、少し・・・」

「本当か?」

「うん。・・・それで、皆にお願いがあるだ。作戦ってほどじゃ、ないんだけどね」



***


「うがあああああ!!!ああああああああ!!!」


男は暴れていた。物を掴んでは壁に叩きつけたり、机の上に置いてある物を乱暴に落としたり、壁やベッドを殴ったり、怒りに身を任せて暴れていた。


コンコン

「ァ、アサオ?どうしたの?いったい何があったの?」

「うるせえババア!!殺すぞ!!」


母親が怯えつつも心配の声をかけるが、男は聞き入れず怒鳴り散らす。

母親は気にしつつも恐怖が勝り、部屋の前から去っていく。


「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・クソ、クソクソクソクソクソガッ!!!」


ダンッと机を殴る。

自分の思い通りにいかない事に男はかなり苛立っていた。

どうすればコナンを手に入れられるか、ブツブツと呟きあれこれ考える。

ふと、自身が取り付けた監視カメラの映像を見た途端ガバッとその映像を食い入るように見だした。

そこに映ってる人物を捉えるとニヤァァッと笑みを浮かべる。

すると映像から離れ、鍵を開けて部屋から出ると玄関に向かい、ドアを開ける。

外に出て、その人物の前に出た。


「見ぃつけた」


気持ち悪い笑みを浮かべる男に、コナンは震えるのを我慢して男を睨んだ。




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