3兄妹と誕生日
「(本当に10分で来た・・ι)」
「ごめんね兄さん、わざわざ」
「いや、ちょうどボウヤに用があったところでな」
「ボクに?」
コナンと秀吉は後部座席に乗り込み、赤井はマスタングを走らせた。
「2人で出かけていたのか?」
「いや、コナン君は最初真純といたんだけど、なんか急用が出来たとかで真純が帰っちゃって。それで僕がコナン君を送り届けようとしたら事件に遭遇して今に至るってわけ」
「ホォー」
「・・・ねぇ赤井さん、今日みどりの日以外何があるかわかる?」
「急にどうしたんだ?ボウヤ」
「あのね、世良の姉ちゃんが『今日何の日かわかってないな?』って言ってきてさ。
みどりの日じゃないとしたらあと思い付くのはホームズとモリアーティがライヘンバッハの滝に落ちた日ぐらいなんだけど」
「(そっちの方が思い付かないと思うけどι)」
「それはもちろんアレだろ。今日はボウヤの誕生日、だろ?」
「え?ぁ、ああーーー!!そうだった!!」
思わぬ赤井からの答えにコナンが思い出したと大声を上げる。
「え?今日コナン君の誕生日なの!?」
「すっかり忘れた・・・」
「あっ。だから真純あんな事を」
「あんな事?」
「真純が近いうちにプレゼント渡すって言ってて、そしたらコナン君の頬に接吻して、もうビックリしたよ」
「た、太閤名人!それ言わないで」
「・・・ホォーーー」
秀吉の無自覚暴露にコナンが慌てるが時すでに遅し。
一瞬の沈黙の後赤井から不穏なオーラを感じた。
コナンは、いくら(見た目が)小学生といっても妹からのキスに兄として許せないのだろうと推測する。
ほどなくして秀吉が住むマンションに到着した。
「ありがとう兄さん。コナン君、今度会うまでに誕生日プレゼントを用意するよ」
「いいよそんな、悪いよ」
「遠慮しなくていいから。じゃあね。誕生日おめでとう」
遠慮するコナンの頭を秀吉は優しく撫でて、マンションへ入っていった。
赤井は再びマスタングを走らせるが、会話がなく空気が重い。
「(ヤベー・・赤井さん、オレが世良からのキスを受けた事に怒ってんのかな・・・?暫く対面がなかったとは言え実の妹だもんなー)」
「ボウヤ」
「Σえ?な、何?」
いつの間にか赤井が路肩にマスタングを停めている事に気付き、赤井に呼ばれてコナンは顔を上げる。
赤井に手招きされ、恐る恐る近付く。
すると赤井に腕を引っ張られて運転席に移動させられ、赤井の膝の上に座らされた。
「・・え?えっとー・・・赤井さん?」
「妹に先を越されたが、上書きすれば問題は無いな」
向き合うように座らされたコナンの頬に赤井は手を添えて顔を上げさせ、頬にキスを送った。
まさかの赤井からのキスにコナンは固まってしまい、それをいいことに赤井はコナンの顔中にキスを送りまくる。
「ちょ、っと、赤井さん・・!?」
「顔が赤いぞ」
「誰のせい!?」
「可愛いぞ、ボウヤ」
「赤井さ・・Σっ!」
正気に戻ったコナンが制止を促すが赤井はやめず、最後に口の端にキスを送りギュウっと抱き締めた。
様子のおかしい赤井にコナンは心配になり、赤井の服を握り名前を呼ぶ。
「赤井さん?」
「・・・・・スマナイ。ボウヤがあまりにも無防備だったもので、つい」
「無防備って・・・・・・・赤井さんの前だけだよ」
「Σ! ・・・嬉しい事を言ってくれるな、ボウヤ」
「それよりも赤井さん、何か言うことはないの?」
「フッ、そうだったな。ボウヤ、誕生日おめでとう」
「ありがと」
距離を取って、優しい笑みを浮かべる赤井にコナンも嬉しくなり笑顔でお礼を伝えた。
終わり
オマケ→