逃ゲテ。見ツケテ。



突然現れ自分達を一応助けてくれた女。

素性もわからず、誰かの知り合いでもない女の言う事を何故自分達は聞き入れ、車に乗り込ませたのだろうか。

コナンや赤井や安室が疑問を浮かべる中、女は慌てつつ冷静に言葉を発する。


「えっと・・・あの、私あの場所に出くわしたのは偶然ですよ。
散歩していたらアッチの気配を感じて、来てみたらビックリしましたよ。その2人がこの子を誘拐してるのかと一瞬思って。・・・違いますよね?」

「「違う/違います」」

「あー良かった。それで、3人の後ろを見たらすごいデブがいて、この子はそれに怯えているんだなと察しました」

「そのデブはどこにいたんだ?」

「後ろにいましたよ」

「後ろに・・?」

「まぁ見えないのは仕方ありません。だってアレですから」

「「「・・は?」」」

「もっと正確に言えば生霊ですけど」

「「「・・・・・・」」」


赤井も安室もジンも「この女頭大丈夫か?」という顔をする。


「スミマセン。そういう顔やめてくれます?軽く傷付きますから」

「・・あぁ・・スマン」

「まぁいいですけど。どうせ信じてくれないと思ってましたから」

「それで?何故コナン君が狙われてるとわかったのですか?」

「そのデブ、この子をガン見しては気持ち悪い笑みしてましたから。
最初はこの子に取り憑いてる方を狙ってるのかと思ってましたけど、生霊なら違うなと気付いて「「「ちょっと待て」」」


赤井と安室とジンが声を揃えて止めた。


「今なんて言った?」

「だから生霊なら違うなと」

「その前です」

「この子に取り憑いてる霊ですか?」

「「「それだ/です!」」」

「取り憑いてるってどういう事だ?」

「微かですけど、この子から霊の気配を感じます。
最近頭に声が響いたり、映像が流れ込んだりしない?」

「・・・ぁ」

「あるんだね?」

「おい、いったいどういう事なんだ?」

「説明をしてくれるか?」


3人に責められ、コナンは説明をする。

最近ある男に出会った事、その男関連の夢を見るようになった事、その男の生霊が近付いた事など。

とても信じられない事だが、コナンの表情や瞳、女の補足を聞き、それ等全て本当の事なんだと信じた。


「コナン君、何で言ってくれなかったんだ?約束したよね?」

「・・安室さんも忙しいから、あまり迷惑かけたくなくて・・・」

「迷惑だなんて思ってない。コナン君は僕の事信用出来ないのかい?」

「そんな事は・・」

「だったら、頼ってほしかった。その事が、ちょっと悲しいよ」

「ごめんなさい・・・」


ちょっぴり怒ったような寂しそうな顔の安室に申し訳無い気持ちのコナン。

・・・その光景を女が目を輝かせて見ているのは気のせいだろうか。




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