誕生日デート
ご機嫌ななめになってしまったコナン。
赤井はそんな彼に思わず可愛いと苦笑してしまう。
だが何とか機嫌を直して貰おうと考える。
そしてふとここがどこなのか思い出し、声をかける。
「ボウヤ、こっちだ」
「え!?」
突然手を掴まれ、コナンが驚くも赤井は気にせず足を進める。
向かう場所は水族館。
チケットをスタッフに見せて中に入り、魚達に目もくれずイルカショーへ向かう。
ちょうど前の席が空いており、そこに座る。
「せっかく水族館に来たんだ。コレを見ないとな」
「そ、そだね・・」
「それとイルカ達に触れられるかもしれないぞ」
「・・・子供扱いしないでよ」
「それはスマナイ」
時間が経ち、イルカショーが始まった。
イルカ達の目を牽かれる演技に観客達は拍手を送る。
機嫌が悪かったコナンもこの迫力のあるショーに、それも前の席での鑑賞の為すっかり機嫌は直った。
コナンが気に入ってくれた事に赤井も笑みを浮かべる。
〔それではここで、お客様の中でイルカ君達に餌を与えて頂きます!
チケットに書かれてる抽選番号に当たった人は前のステージに上がって下さい!では・・0238!0967!1452!当たりの人はどうぞこちらのステージへ!〕
「ボウヤ、当たったんじゃないか?」
「え?あ、ホントだ」
「せっかくだから行ってきたらどうだ?」
「い、いいよそんな」
「こんな事は滅多にないぞ。さぁ」
「そう?じゃあ行ってくるね」
チケットを持って前のステージに向かう。
赤井はスマホを取り出しカメラモードに起動する。
係りの人から説明と餌を受け取り、近付いてきたイルカ達に他の人達と一緒に餌を与えるコナン。
その時に見せた笑顔を赤井は逃さずにシャッターをきる。
だが次の瞬間赤井の機嫌が急降下する。
なんとイルカの1匹がコナンに軽いキスをしたのだ。
しかも、角度が悪い為唇にしたように見えた。(実際は唇の端にした)
客達が羨ましがったりコナンがはにかんだりするが見えてない。
お礼を言ってコナンが赤井の元へ戻ってきた。
「ただいま、赤井さん」
「・・・・・・」
「赤井さん?」
黙り混む赤井にコナンが不思議に思い首を傾げる。
すると赤井がコナンを抱っこし、イルカショーから足早に出ていこうとする。
「赤井さん!?どうしたの?ねえ!赤井さん!!」
赤井の行動にコナンが何度も呼ぶが赤井は返事せず、そのまま水族館から出る。
そして無言のまま二輪式大観覧車の列へ並び、空いている為すんなりゴンドラに入る。
そこでようやく赤井はコナンを降ろした。
「・・・どうしたの?いったい・・・」
「・・・スマナイ。なんか、ボウヤがイルカにキスされたのを見たら頭に血が・・・」
「・・・それってさ、嫉妬したって事?」
「・・・・・・・そうだな」
「(イルカに嫉妬って・・・赤井さん可愛いとこあんだな)」
赤井が嫉妬した事に嬉しくなり、赤井の手を引いて外の景色を見せる。
「赤井さん、せっかく観覧車に乗ったんだから楽しも。ね?」
花が咲き綻んだような微笑を浮かばるコナンに、赤井の嫉妬は消えつつあった。
「・・・そうだな」
「うわ~すごいな~」
「ボウヤ、デートは楽しめてくれたかな?」
「うんっ。あ・・・デ、デートと言われると恥ずかしいけど・・///」
「そんな初々しいボウヤも可愛いぞ」
「ボク男だよ・・」
「男だろうと可愛いものは可愛い」
「もぅ・・・・・・・・赤井さん」
「ん?」
「デー・・ト、に誘ってくれてありがとぅ・・・///」
顔を赤らめてお礼を言うコナンに、赤井は胸に暖かいもので満たされた。
「ボウヤ」
「ん?」
チュ
「誕生日、おめでとう」
終わり