当たって砕けて・・・
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「うっさい!もうすぐ下校時刻だ。そろそろ・・・」
ガラッ
「Σ! 出てきたぞ」
「Σ!!」
曲がり角から少しだけ顔を覗かせると確かに華蓮が出てきた。
腕の中には一冊の本が大事に抱えられてる。
「おい詩人来たぞ。・・・詩人?」
「・・・や、やっぱり今日はやめようかな・・・」
「今やらなくて何時やるんだとっとと行け!!」
ゲシッ!
「Σイタッ!!」
詩人の腕をひっ掴むと背後に回りその背中を蹴って曲がり角から姿を現せた。
『Σキャ!』
「ご、ごめん!」
『あれ?詩人さん?』
「え?僕の事知ってるの?」
『だって図書委員だよね?あたしほとんど図書室に通い詰めてるから名前知ってるよ』
「そうなんだ・・・」
まさか名前を知っていた事に詩人は心の中で感激する。
『ところで、ここで何してるの?』
「Σえ?あ、その・・!」
思わずレイに助けを求めようと顔を横に向けるがすでにレイはもういない。
詩人を蹴った後どこかに行ってしまったらしい。
ジッと詩人を見つめて待つ華蓮。
詩人は握り拳をさらに強く握り、意を決して口を開く。
「華蓮」
『?』
「その・・・好きですっ!!」
シンプルな告白。しかし自分の気持ちを伝えた。
少し沈黙があったが、華蓮も口を開いた。
『あたしも好きだよ』
「Σえ!!?ほ、本当!!??」
まさかの両想いだったという事に歓喜を表す・・・
が、
『このシリーズ面白いよね!あたしこの本早く読みたくて仕方無かったの!』
「・・・え?」
突然手に持ってた本を前に出し、その本の良さを語り出した華蓮。
『あたし、このシリーズの続編のこの本読みたいって思ってたんだけど詩人さんが読んでたからなかなか借りれなくて、早く読み終わらないかなーって思ってたんだ』
よくよくその本を見れば先日まで詩人が読んでいた本である。
つまり彼女は先程の詩人の「好き」をこの本のシリーズが「好き」なんだと間違えて解釈し、以前彼女が詩人を見ていたのは詩人自身ではなく詩人が読んでいたこの本を見ていたという事。
「今度感想言い合えるといいね。じゃあまた明日」
詩人の様子に気付いてない華蓮は笑顔で言い残し詩人の横を通り過ぎた。
去り際の言葉に歓喜するところなんだが、悲しいかな、詩人は伝わらなかったショックと勘違いのショックで聞いてなく、白くなってた。
一方離れた所から様子見をしていたレイは壁に手を付いて俯いている。
表情は読み取れないが、肩が小刻みに震えていた。
詩人の気持ちが華蓮に伝わるのいつの事やら。
終わり