私の『幸せ』

それが、私の『幸せ』。



         ✾私の『幸せ』✾



ふと、目が覚めた私の目に飛び込んできたのは逞しい胸板。

寝ぼけた頭ではすぐに追いつかず、驚いたのは数秒後。

驚いたままゆっくり顔を上げればOVERの寝顔。

意外と静かな寝息で、いつも眉間に寄せてるシワもなくて、一瞬別人かと思ってしまった。

さらに私の腰には大鋏を軽々と持ち上げる鍛え抜いた彼の腕が絡まっていて、ようやく自分は彼に抱きしめられてることに気付いた。

部屋は薄暗いが外からスズメの鳴き声が聞こえるから今が朝だとわかる。


・・・ずいぶん穏やかな朝だと、ふと思う。

マルハーゲ帝国が健在してた頃はいつ死ぬかわからない日々を送っていた。

寝てる間に襲われやしないか気が気じゃなかった。

けど、今は大好きな彼の腕に抱かれて、ぐっすりと眠れている。

近くに人の気配がすればすぐ起き上がってたあの頃の自分には想像がつかない。 (苦笑)

こんなにも穏やかで、こんなにも安心できて、

こんなにも誰かを、この人を好きになるなんて・・・

ああ、これが『幸せ』なのだろうか。


だったら、この『幸せ』が永遠に続いてほしい・・・。


そう願いながら、私は彼に擦り寄る。

すると突然彼の腕に力が入りさらに密着された。


「Σキャッ」

「さっきからジロジロ見やがって・・・目が覚めたじゃねぇか」

「ご、ごめんなさぃ・・・」

「もう一度寝るぞ」

「でも、もう朝・・」

「俺はまだねみぃんだ。おとなしく付き合え」

「・・うん」


了承すればOVERは私をギュッと、優しく抱きしめてまた寝てしまった。

これは・・・今日1日無駄になりそう・・・

けど、何気ないこんな日常もまた『幸せ』だと思ってしまう。


・・・・・違う。私の『幸せ』はOVER、アナタがそばに居てくれてること。


アナタが生きているだけで私は幸せ。


OVER、ずっと居てね。


そして私も彼の腕の中で目を閉じ、二度寝した。




終わり
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