旧·過去拍手文
船に戻る途中しんのすけが目を覚ました。
「ん~~・・・・・ん?ここどこ?」
「すまねぇ。起こしたか?」
「・・・あれ?じいちゃん。
マルコおじさん達は?」
「アイツ等はまだ村にいる。
俺は船に戻るから、ついでにグースカ寝てたお前も連れてきたんだ」
「ふーん」
「そういえば聞いたぞ。お前大活躍だったじゃねぇか」
「いや~それほどでもー//」
「グラララ。さすが俺の孫」
「え?オラじいちゃんの孫だったの?」
「ああ。あの船に乗ってる奴はみんな俺の息子。
俺達は家族なのさ」
「・・・じいちゃん、どんだけ遊んだの?」
「グラララ」
しんのすけの勘違いに白ひげは愉快そうに笑った。
船に着き、白ひげはいつもの席に座って1人酒を飲む。
その隣にしんのすけが眠っていた。
白ひげはしんのすけの頭を潰さないように手を乗せる。
「・・・・お前が来てから、この船が賑やかになった。
お前に振り回される時もあるが、アイツ等満更でもねぇ顔をしてやがる。
ありがとよ、しんのすけ」
月を見ながらそう呟くと、手の感触がふと無くなった。
視線を下にずらし、手を上げる。
そこにいた筈のしんのすけの姿が無かった。
白ひげが驚くが、すぐに落ち着いた表情となり、また月を見上げる。
その胸中には穴が開いたような寂しさがあった。
不死鳥の姿で戻ってきたマルコ。
甲板に降りると人型に戻る。
「マルコ、どうした?」
「あー、いや、・・・しんのすけがちゃんとベッドで寝てるかどうか様子を見に。
しんのすけは俺の部屋か?」
「・・・帰った」
「・・え?」
「元の世界に・・・アイツの帰るべき場所に帰った」
「・・・・・・そうかよい」
「寂しくなるな」
「ハンッ、せいせいするよい。
これでようやくお守りから解放されるんだから。
オヤジ、俺は寝るよい。酒もほどほどにしとけよい。
おやすみ」
素っ気なく言うマルコだが、その背中から寂しさが漂ってるように白ひげには見えた。
「・・・け。・・し・・・すけ・・。
しんのすけ!起きなさい!しんのすけ!」
「ん、ん~~・・・」
目を開ければ、殺風景な部屋ではなく、見慣れた我が家の居間の部屋が目に入った。
「あれ・・・?」
「全く。いつまで寝てるのよ?
もう夕食の時間よ」
「・・・ここ、オラの家・・?じいちゃんは?」
「はぁ?寝ぼけてるの?
ほらさっさとご飯食べなさい」
あれらはすべて夢だったのか。しんのすけが目を擦り何気無くポケットに手を入れた。
すると何かが入ってる事に気付き、取り出す。
それは丸い形をした真っ赤な硝子玉。
『お?なんか落ちてる?』
『ん?これさっきの海賊の帽子に付いてたやつだな。
硝子玉だけど』
『しんのすけ、戦利品として取っとけよい』
『オラがもらっていいの?』
『ああ』
『やっほほ~い!』
思い出す記憶。しんのすけはその硝子玉をみさえ達に見つからないようにポケットの中に仕舞った。
「かあちゃんおかえり~!」
「はあ?いただきますでしょ!」
おわり