旧·過去拍手文



現在しんのすけは、ある街にて迷子になっていた。



「やれやれ~、マルコおじさんどこに行ったんだが。困ったもんだ」



ただ自分が迷子だという自覚はなかった。



「うーーん、どうしよ。船の場所覚えてないし・・・」


「あ、あの・・・」



突然話し掛けられそちらに振り向く。


そこには眼鏡をかけたショートヘアーの女性がいた。


その手には刀が握られていた。



「どうしたのかな?迷子になっちゃったのかな?」


「はい!お姉さんの麗しい瞳の花園というラビリンスに迷ってしまったようです!!」


「・・・え?」



突然訳の分からないことを言い出すしんのすけに女性は困った顔をする。



「おねえさーん、実はオラの連れのおじさんが迷子になっちゃってさ~。困ったよね~」


「えーーっと・・・つまり、君が迷子ってことだよね?

ぼく、お名前は?」


「オラ、野原しんのすけ!5歳!好きなものはチョコビとアクション仮面ときれいなおねえさん!

おねえさんのお名前は?」


「え、わ、私ですか?私は…「おいたしぎ!!」


「っ!?ス、スモーカーさん!!」



彼女――たしぎが名乗ろうとしたその後ろから大柄の男――スモーカーがイラつき気味で近付いてきた。



「お前今まで何処をほっつき歩いていたんだ!?」


「す、すみませんスモーカーさん。ですが、この子、どうやら迷子のようで・・・」


「あ?」



スモーカーがしんのすけの方に眼を向ける。



すると・・・




「・・・じいちゃんお若く見えるね」



ビシッ



しんのすけの言葉に二人とも、いや周囲の街のみんなが固まってしまった。


スモーカーは葉巻を吸っている方の口角をヒクヒクと上げ、額にはビシバシと血管が浮かんでいた。


ハッと我に返ったたしぎは怒り心頭の上司の顔を見てオロオロとし出した。



「ししし、し、しんのすけ君!?お、おじいちゃんって誰のことを指しているのかな?」


「そこのじいちゃん」



もしかしたら違う人を指したんじゃないのか、淡い期待を抱きながら問い掛けるがしんのすけはしっかりとスモーカーに指を指して示した。



「な、何で、スモーカーさんが、その、お、おじいちゃんに見えるのかな?」


「だって髪の毛が白いから。白髪って言うんでしょ?」



全く持ってしんのすけには悪気はない。


だから質が悪い。



「・・・おいガキ、俺は年寄りじゃねぇし白髪じゃねぇ・・・地毛だ・・・!」



出来るだけ、出来るだけ怒りを納めた声で言うスモーカー。


それでもかなりご立腹の様子。顔がかなり恐い。


しかしそんなスモーカーにも臆することもなくしんのすけは更なる地雷を踏んでいく。




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