宛名のない手紙
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似つかわしくない。そんな事を行列から外れた場所でぼんやりと思った。
憎らしい程に清々しい空の下、棺桶の中で青白い顔をして固く目を閉じている彼も。
止むことのない誰かの泣き声も。非現実的だと。ただただ、不思議だった。実感なんて、欠片もわかない。
『(どうして)』
「...アンタ」
『正田さ...っ、っいた』
「こんな所で何をしてんのよ!この馬鹿!これでもう、最後...なのにっ。アンタは!」
「正田、落ち着いて...」
「だって流架君...!辛いのは、皆同じなのに...っ」
『分からないんです』
「何がよ!」
『今日は...こんなにお日さまが、ポカポカしていて...悲しい事なんか何も起こりそうもない、のどかな日和なのに...』
馬鹿、という言葉は、彼によく言われた気がする。だけど何処か温かみを感じたその言葉を紡いだその唇すらも、固く閉じてしまっていて。
息を奪われたんじゃないかと思った位に綺麗だった...
『あの赤い瞳がもう開かないなんて、嘘でしょう?』
それが皮切りになったのかは分からないけれど。誰かの泣きじゃくる声が、大きくなった気がした。
最後だと、宣告されたのに。私の人生が、あとどれ程のものか分からないけれど。この先。声を聞くことも、姿を見る事も、瞳が私をとらえてくれる事すらも。何一つ叶わなくなるのだと言うのに。
涙は少しも出なかった。
上を仰げば、変わらない晴天。
せめて雨だったのなら、私も泣くことが出来たのだろうか。
憎らしい程に清々しい空の下、棺桶の中で青白い顔をして固く目を閉じている彼も。
止むことのない誰かの泣き声も。非現実的だと。ただただ、不思議だった。実感なんて、欠片もわかない。
『(どうして)』
「...アンタ」
『正田さ...っ、っいた』
「こんな所で何をしてんのよ!この馬鹿!これでもう、最後...なのにっ。アンタは!」
「正田、落ち着いて...」
「だって流架君...!辛いのは、皆同じなのに...っ」
『分からないんです』
「何がよ!」
『今日は...こんなにお日さまが、ポカポカしていて...悲しい事なんか何も起こりそうもない、のどかな日和なのに...』
馬鹿、という言葉は、彼によく言われた気がする。だけど何処か温かみを感じたその言葉を紡いだその唇すらも、固く閉じてしまっていて。
息を奪われたんじゃないかと思った位に綺麗だった...
『あの赤い瞳がもう開かないなんて、嘘でしょう?』
それが皮切りになったのかは分からないけれど。誰かの泣きじゃくる声が、大きくなった気がした。
最後だと、宣告されたのに。私の人生が、あとどれ程のものか分からないけれど。この先。声を聞くことも、姿を見る事も、瞳が私をとらえてくれる事すらも。何一つ叶わなくなるのだと言うのに。
涙は少しも出なかった。
上を仰げば、変わらない晴天。
せめて雨だったのなら、私も泣くことが出来たのだろうか。