初等部B組探偵団!
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*
「とりあえず、その手紙を開封してみましょうか。早瀬さん」
『さっきから今井さんが唐突過ぎるんですけど』
「今の路線の推理だと手詰まりになってしまったからよ。それに...」
『...?何か思う所があったりするんですか』
「確信が持てない事は言わない主義なの。それよりも早く手紙開けて。話が進まないじゃないの」
『分かりました...分かりましたから。バカン砲持ったまま、こっちに来ないでもらえますか』
「最初に製作したやつより、威力は大幅にアップしてるわ。コレ」
後方で今だに目覚めそうもない一人と一体と、今井さんのさりげなくも恐ろしい発言は何も見えないし聞こえなかった事にします。
大勢の前で、手紙の内容を読むのは少し気が引けましたが。ごめんなさい。流石に自分の命は大事ですから。
この議論が始まってから一体、どれだけ危機に晒されているっていうんですか。私。
『...放課後、第3講義棟で待つ?』
「まさかそれだけしか書いてないのか?由香」
『みたいですね...名前もやっぱり何処にも書いてな...ちょ、安藤先輩。私の肩に顎を乗せてこないで下さいよ。重た...』
「呼び出しの場所といい、何つーか色気のないラブレターだなー」
「つまんないのー」
『つまるつまらないとか。当人としてはそういう問題じゃないんですけど。心読み君』
「え、僕にはそういう問題なんですけど」
『そんな人でなし解答を即答するなっ!ちょっと正田さん!心読み君のパートナーのあなたに、彼の再教育をお願いしたいんですけど!?』
「あー、わざわざ授業サボっちゃって損したわー」
『思考回路がさほど変わらないとか!まさかの同類だったとか!もうやだ...』
「まーまー由香。結局の所は、実際に行ってみるしかないんじゃねー?」
『そして結局の所は、安藤先輩の暇潰しのネタにされた感が凄くするんですけど』
うっわ、あからさまに視線そらして不自然な口笛吹きはじめましたよこのカゲ野郎。
『安藤先輩なんか嫌いだ...』
「き、嫌い...!?由香、悪かったからそんなに怒るなって!」
「悪いわね、早瀬さん。カゲには私からよく言っておくから。この下僕の主人として」
「蛍ねーさん、それ冗談に聞こえなくて怖い」
『それじゃぁよろしくお願いしますね。今井さん』
「由香も悪ノリすんなって!今回の事は正直興味半分な所もあったけど、心配だったんだよ!マジで!」
『その過保護っぷりが暴走して、今という最悪の現状を招いているので。尚更今井さんに矯正されてきて下さい』
「蛍ねーさん...?ちょっ、何でバカン砲構えて...っ」
「巡りが悪いと、察する事も出来なくなるのかしら?歯、食い縛らないと舌噛むわよ」
「...っ!」
「被害者はこれで三人目か...。いい加減決着付けないと全滅するかもなー、これ」
殿内先輩のぼやいた言葉に寒気を覚えました。そのわりに、何でそんなに呑気なんですか...?
*
『第3講義棟って何処でしたっけ』
「確か、ここの教室からならそんなに遠くはない筈だよ。...行くんだ?早瀬」
微妙に死屍累々と化した後方は、全員綺麗にスルーしました。
えぇ。私に気遣わしげな声を掛けた、乃木君ですら。
『正直、この文面だと果たし状にも見えるので。恨みを持たれているようならここで素直に出向いておかないと、後々が怖いし』
「うん...早瀬らしい意見だね...本当に」
『ちょっと乃木君、どうしてそこで遠い目をするのか詳しく』
「そこで放置しないで、ちゃんと向き合おうとする早瀬は素敵だねって言ったの」
『へ...っ』
「な、何でそこで赤くなるのさ、早瀬」
『だ、だって...』
素敵とか面と向かって、果たしてサラッと言えるものなのでしょうか。普通に照れました。
しかも最近スルースキルに磨きがかかっている乃木君の言葉だと思うと尚更です。
あれか。これがデレというやつなんですか...っ?
「いい雰囲気の所、悪いけど」
「うわっ!ビックリさせるなよ、今井...」
「向かうのが決まったのなら、善は急いでもらってもいいかしら」
『え、もしかしなくても今井さんも来るんですか?流石にそれは...』
「何か言ったかしら、早瀬さん」
『いえ、何も。
そういえば、呼び出された場所やっぱりよく分かんないなぁーっ。これは乃木君に案内をお願いするしかないよねぇーっ!』
「本当に早瀬らしい意見だよね...うん。本当に」
そう思うのなら、目を合わせて言ってごらんなさい。乃木君。
というか、バカン砲の標準が自分に定まったら誰でもそうなると思うんですけど...!?
自分の身を優先する私がクズいんですか、そうなんですか?
いえ、例えそうだとしても。後方の馬鹿っぽい死屍累々のお仲間には入りたくないです。
これだけ人が集まっているんです。誰か一人くらいは介抱してくれるでしょう。多分。
もういい加減この展開にも疲れたので。付き人がいようが何だろうが、さっさと決着を付けてやろうじゃないですか。
*
第3講義棟。合同演習の授業で何度か来た事があります。合同でやる場所と言うだけあって、中々の広さがある教室なのですが。
その一方、あらかじめ申請して許可さえおりていれば誰でも使用できる所でもある...ので。
『つまりは手紙の主が誰なのか。それが逆に全く予想できないまま、ここへたどり着いてしまったわけですが...』
「別にいいじゃない。そんなの、この部屋の扉を開けばどの道分かる事だわ」
「早瀬...」
じゃぁ私の心労は一体何の為に募っていったのか。
でも今井さんに突っ込む勇気は私にはあるわけがない。肩を優しく叩いてくれた乃木君の声が無かったら、私、砂になってたかもしれません。
今までに感じたことのない類いの不安を抱えながら扉を開けると、こちらからは背を向けて座っている姿が見えました。背丈的に同年代ではなさそうではあるんですけど...一体誰なんでしょうか。
「君は...確か、早瀬由香だったか?」
『は、はい...。えっと、今井昴先輩、ですよね?今井さんのお兄さんの...』
うつ向いていたのは、待っている間に本を読んでいたからなのでしょうか。少しズレたのか眼鏡の位置を直しながらこちらに向き直る、クール系美丈夫様は。
今井さんのお兄さんにして、幹部生...通称プリンシパルの今井昴先輩でした。そんな凄い方が、一体私に何の用が...。
「私に何か用か?」
『えっ?えと、あの。呼ばれたから、来たと言いましょうか...っ』
「...?どういう事だ。手紙を送ったのは君ではなく...」
「ペンギーを使うのなら、責任持って最後まで見てくれませんか」
『へ...っ?』
「おかげで送り主を間違えてしまって、さっきまで大騒ぎだったんですけど」
いえ、あなたが一番イキイキとしていましたよ今井さん(妹)
...とは、当たり前のごとく言える筈もなく。突然のお話の介入で、むしろ戸惑っていたりします。
でもまぁそこは、今井先輩(兄)の包容力で丸く収め...。
「むしろそれは、君の技術力が未熟であったのが要因になったのではないか」
「...は?」
結論。包容力の欠片もない言葉を皮切りに、大人げないバトルが勃発しました。
話の流れ的に、送り主は今井先輩(兄)で。その手紙を送りたかったのは私ではなくて今井さん(妹)だったみたいなのです...けど。
『心読み君』
「何かな早瀬さん」
『これって完全、兄妹喧嘩にうっかり巻き込まれただけだよね、私』
「うん、そうだねー。そんな早瀬さんを指差してお腹抱えて笑ってやりたい」
『あなたいつも笑ってますよね!?あと佐倉さん!』
「なんや?」
『一発殴らせて下さい!』
「何でやねん!?」
『ペンギーって絶対あなたがモデルになってるでしょう?つまり生みの親と言っても過言ではないです。子の不始末は親の不始末。大体あなたが朝大騒ぎしなければ、ここまで巻き込まれたのに...!(多分)姉弟ともに反省しなさい!』
「目茶苦茶やないソレ!?」
「いやーいい暇潰しになったわー。何かまた面白い事があったら呼んでくれよな」
『誰が呼ぶかロリコン野郎があぁぁぁ!』
「(由香ちゃん!キャラが!崩れちゃってるから落ち着いて...!)」
事態は収拾出来そうにはありませんが。
とにかく犯人は今井先輩で。実行犯...というか、元凶はペンギーだったといった所がとりあえずの結論でしょうか。
そんなわけで初等部B組探偵団はこの場を持って解散です。今だに喧嘩してる大人げない二人組?知りませんよ。
いいんじゃないですか?放っておけば。ほら、喧嘩する程仲がいいっていいますし(投げやり)
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夢花様リクエストありがとうございました!
ドタバタ楽しいですねー。書いててカオスになって収拾つかなくなったせいで力尽きて、最後投げやりになってすみません(笑)
いやぁ、でもほら、早瀬さんの慇懃無礼さが際立っていいというか!(最早言い訳)