いつかの形象
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禁忌という事実に至るまでには、何かしらの理由や原因が必ず存在する筈ですよね。
でもそんな事知らなかっただなんて。ナマ言ってるんじゃありません。下手したらそれ自体が罪に値します。誰の事を言ってるのかというと。私ですよ、私。俺は悪くない訳ねぇ。
そんな私こと早瀬。今現在、自分の無知さに大変後悔しております。
事の始まりは...そうですね。深夜に鳴り響いた温室からの警報音でしょうか...。
*
「いくら何でもこんな夜中に温室の警報が鳴るとは...故障か?それとも...」
『...っ、岬、先生、ですか...っ?』
「誰かいるのか?こんな時間に温室に忍び込むだなんて、何やって...」
『先生...っ!私...その...っ。あの、助けて下さい...っ!』
「その声...早瀬か?助けてってどういう...。...な...っ!?」
*
「...成る程。それで、おそらくガリバー飴の副作用で大きくなっちゃった由香ちゃんとラッキースケベ宜しくしたと」
「鳴海、お前一回死んでみるか?」
『岬先生、思い止まって下さい...!一回死んだくらいじゃ、このお方は何も変わらないと思うんです』
「あれ、これ庇われてる気がしないや!」
えぇい、黙らっしゃい変態教師が!悪態の一つや二つ、思わず吐きたくもなります。絶対に。
場所は再び変わりまして、ここは教師の方々専用の寮であります。
事情を察してくれた岬先生が、温室からそのままこちらへ連れてきてくれました。
そして先程の鳴海先生の発言で、皆さまお分かりいただけたでしょうか。
「いや、でもさ。大人になった由香ちゃんが、無理矢理初等部の制服を着てる姿を最初に目撃しちゃったとか...やっぱりラッキースケベ以外に例えようがな」
「鳴海...。普段お前がパクって振り回しているムチ豆を実際に体験してみるか?遠慮するな、そこに直れ!さぁ!」
「嫌だなぁ~っ。ちょっとしたジョークだよ。ジョークっ☆」
「お前馬鹿にしてるのか!?事態は深刻だと俺は思うぞ...!」
ガリバー飴には、元の体に戻らなくなるといったハイリスクな症例が稀あるらしいですね。
今現在の私は、正しくその状況だったりします。
不思議な事に、飴を舐め終わった後は元の姿に戻ったんですよ。これが。
でも夜中に何だか体中がきしむなーと思って起きたら...とんでも展開が待ち受けていました。体の中に飴の成分がまだ残っていたんでしょうか?
とにかく。
相当なパニックにおちいってしまいそうな所、初等部の寮からこっそり脱走して。
事情を分かってくれるであろう岬先生を呼び寄せる為に温室へ浸入したという、冷静な自分の行動力と判断力に盛大なる拍手を送りたいです。
ところでちょっといいですか?
岬先生、ムチ豆なるものを育てて一体何をなさるつもりだったんでしょうか。
そんな疑問が芽生えましたが。世の中には知らなくていいものが一つや二つありますよね。
そんな理由で、答えを知るのは避けた方がいいような気がしました。何となく。
「とりあえず...一晩ここで様子をみよっか」
「鳴海、俺は深刻な事態だと言ったんだぞ!?そんな呑気な事言ってる暇があったら、すぐに病院へ...!」
「行って、すぐに対応してくれればいいんだけどねー?医者は管轄外な分野だと思うんだよね、このガリバー飴の副作用って。それ関係の研究員がいなきゃ駄目でしょ。多分」
「う...っ!」
鳴海先生の言う事は、意外にも的を得ていました。そして先程の、語尾に星マークを付けるお茶目っぷりはいつもと変わらない通常運転です。
...諸悪の根源のくせに、何この清々しい程の冷静さ。
岬先生と二人でずっとオロオロしてるよりは、そりゃいいんですけど。
何でしょうか。この釈然としない苛立ち...!これが...怒り...?
とか言ったりしてふざけてるように聞こえるかもしれませんが、かなり憤りを感じるのは本当なんです。
「っていう訳だから!とりあえず一緒に寝よっか、由香ちゃん!」
「ちょっと待て。何でそうなる」
「えー、だって知らない所で一人じゃ不安かと思って」
「それは今の早瀬が、どんな姿になっているのか分かっていて言ってるのか!?駄目だ、絶対に。お前はソファーに...」
「それで岬先生が由香ちゃんと!?やだ~岬先生ってば何かヤラし~」
「言ってないだろ!?そんな事、一っ言も!もういい!俺はソファーで、お前は床だ!」
「そんな冷たいこと言わないでさ~。このソファー、ベッドタイプに出来るから一緒に寝、」
「ふざけるのもいい加減にしろよ鳴海...っ!
早瀬が変な目で見てるじゃないか!」
『あ...どうぞお構い無く。あの、岬先生。こんな真夜中にあんまり大声を出すと、周りの先生方が起きてしまうんじゃ...』
「す、すまない...」
「岬先生ってば、さっきから何焦ってるの~?いや...動揺してるのかな。どうしてだろうね~?」
「な...っ!?お前はさっきから、どうしてこう...っ!」
この二人のやり取り、見てたら多分エンドレスですね。
岬先生、勢い余って鳴海先生と同じソファーに腰掛けて詰め寄ってますが...うん。それだけ仲が良いという理由で片付けておきましょう。無理矢理。
とりあえず私疲れました。
制御アイテムの眼鏡を踏み潰されて、そして何故か目の前のお二方と食事に出掛けたその日の夜なんです。
はい。どっと疲れました。このどうしようもない状況を任せることが出来て安心したのかもしれません。
目の前の大人は放っておいて、さっさと寝ようと思います。
ベッド?使うに決まってるじゃないですか。元々は鳴海先生のせいなのに、どうして遠慮する必要が?それではお休みなさい。
寝て起きたら元に戻っている事を願って。
「ふふ...っ。今の由香ちゃん、かなり無防備だね...」
「お前もう黙れ...!」