恋はするものではなくて、
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「ゲホ...ッ。ふつー、女子がグーで殴るか...っ!っいてて...」
「性急すぎるんだよ、翼は」
「げ...っ!かなめ!?見てたのかよ...っ」
丁度死角になる所からこの病室の主が姿を現したのは、一悶着あった後。
この状況を仕掛けた本人は全く悪びれた様子もなく、素知らぬ顔で笑っている。
本当にいい性格していやがると、内心舌打ちをした。
「ごめんね。騙しちゃうみたいで悪いとは思ったんだけど...」
「だったらもう少し申し訳ない顔しろってのっ、かなめ!」
「だって見てるこっちの方がヤキモキしちゃったんだもん。どうだった?実際に話せて」
「それは...っ...」
自分だけに向けられた、回るように変わっていく彼女の豊かな表情。
触れた華奢な腕。重ねた唇の柔らかさ。
全部知ってしまった今、もう気持ちに歯止めがききそうにない。
そしてそれを戸惑いつつも、石なら受け入れてくれるんじゃないだろうかという期待があった。
だって...キス、拒まなかったし。
「翼...顔、ニヤけてるよ」
「う、うるせ!」
「...それで?僕に出来そうな事はここまでだけど。どうするの?この先は」
「...俺のアリス何だと思ってるんだよ。そう簡単に逃がしてたまるか!」
今のこの時間帯は、影が繋がりやすいから捕まえるには絶対に有利だ。
そう意気込んで病室を飛び出した後どうなったのかは、悪いけど俺と石の二人だけの秘密。
だって絶対反則だ。年上のくせに、あんな可愛い反応するとか。例え天然だったとしてもズルい。
それはきっと俺だけに見せる表情。誰にも知られたくないから独占したって、バチ当たらないだろ?
お互いに好きだだけで、めでたしな問題じゃないのは分かってる。
でも今だけは、もう少しだけ二人だけの時間を。