恋はするものではなくて、
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
罰則をくらう奴に限って、意気地無しが多い。
吠えるのだけは一人前。いざしつけの時間になると、尻尾を丸めて怯えるその姿は犬そのもの。
だけど...。
「むしろ悪いのは、てめーらだろうが!アイツの...っ。かなめの命が削られてくのが分かってて、任務を強要する、お前達がっ!」
『...!』
安藤翼。彼だけは違った。
彼だけは、怖じけづくことなく痛いくらいに前を見据えていて...。
懲罰を今まさにやらなければならないこの瞬間。
私は恋に落ちてしまったのだ。
『周瑠衣とか死ねばいいと思う...』
「アンタね...近頃やけにあたしに突っかかってくるけど何なのよ!?
あたしの美貌に嫉妬してるってヤツっ?」
『眼科逝け』
「アンタが先に逝ってもいいのよー?」
『は...っ。望むところよ。このオカマ野郎が』
「あぁ"ん!?」
この学園の高等部は秘密主義者が多数っていう特徴があるとか耳にしたことがあるけど。
そんなもの、悪目立ちする奴らにとっては意味を成さない。
私達危力系はいつだって、周りから注目を集めている。何か一つ行動を起こせば、全てが筒抜け。
おまけに私は懲罰部隊メンバーによく組まれるせいで、そっち方面でお世話になった奴らから熱烈なアプローチをよく受ける。...ある意味ね。
因みに瑠衣とは同じクラスで、日常生活でも自然と一緒に行動することが多かったりするのだけど...要らない腐れ縁である。
懲罰部隊でもよく一緒だし。
『あぁ、神様。縁というものがあるんだったら、別のご縁が欲しかったわ...』
「石~!その減らず口、今日という今日は...って、イヤ~ン!あたしのイ・イ・男っ、レーダーが今びんびん来たわ~っ!」
『電波キャラとか、本当に勘弁して』
「何よ~っ、外したことないからいいでしょ!」
『やばいわ...根本的な部分から会話が成り立ってないんですけど、』
「あっ、ほら窓の方見てみて!グランドにいたわ!」
『あのね...私的には、アンタのそのいい男ウォッチングする所の方がいい加減にして欲しいんだけ、ど...』
さっきも言った通り、コイツとは行動を一緒にする事が多い。そのせいで、彼好みの男を観察するという悪趣味によく付き合わされるのだ。
呆れ半分で視線を投げたその先には、安藤翼がいた。
たったそれだけの事で動揺してしまって、言葉が続かなかったのが自分でも分かる。
『(うわ、久々に見た...っ。っていうか、姿見掛けただけでうろたえ過ぎでしょ、私...っ)』
「やっだ、よりによって私が最近マーキングしたお気に入りじゃなーい!つ、ば、さ、く...むごっ」
『ちょっ、ちょっと、止めてよ!恥ずかしいっ!』
「いーじゃない、減るものじゃないんだし~っ」
『減るったら減るの!!』
...私の寿命が!
瑠衣の叫び声が届いてしまったのか。
彼がこちらを向いたと感じたのは、私の自意識過剰ではない筈。...多分。
「やっだ!翼君ってば、今熱烈に私の方見てる感じじゃないっ?」
『アンタ女子かよ』
「いやぁね、石ってば。これを恋する乙女と言わずして何て呼べって言うのよ!」
『...』
いつもの私なら、そんな言葉を一蹴してたんだろうけど。
中等部生は体育の授業なのだろう。あれだけ人が集まってる中で、私も彼を真っ先に見付けてしまってる辺り。
私も恋してるって言われたようなものだ。とても鼻一つで笑い飛ばす事が出来ない。でも...
『だからって、電波系と同レベルなのは解せないわ...最悪』
「何一人でブツブツ言ってんのよ。アンタ。...あーっ、翼君そっぽ向いちゃったじゃな~いっ。そっけなーいっ!でもそこが燃える~っ!」
『自称恋する乙女なら、その怖いくらいのたくましさを何とかしたら?......あ、』
誰かを好きになると、その人の事を少しでも長く見たくなると思うのは。他の子達も同じなのかしら。
でも今は見なければ良かった。
彼の側には女の子が寄り添うように立っていて、何の違和感もなく彼の腕に触れていた。まるでそれが当たり前かのように。
ちょっとつり目がちな、快活そうな女の子だった。
「ちょっと石。もう授業始まるのに何処いくのよ」
『...気分悪いからパス』
「あっそ。晩ごはんまでには帰ってくるのよ~」
『...』
アンタは私のおかんかっての。
いつもならそれ位言い返すのに、今は少しも余裕がない。
私、凄く馬鹿みたいだ。
一目見れただけで、こっちを見たかもしれないっていうだけで舞い上がって。
他の女子と一緒に仲良さげにしていただけで、勝手に傷付いて。
そもそも、懲罰部隊として人を痛めつけてる奴が誰かを好きになるだとか。
『本当、馬っ鹿みたい...っ』
授業が始まったのか、廊下には人の気配がしない。
...恋をすると、抑えられるものも出来なくなってしまうのだろうか。
堪えきれなかった嗚咽が、いやに響いた気がした。
吠えるのだけは一人前。いざしつけの時間になると、尻尾を丸めて怯えるその姿は犬そのもの。
だけど...。
「むしろ悪いのは、てめーらだろうが!アイツの...っ。かなめの命が削られてくのが分かってて、任務を強要する、お前達がっ!」
『...!』
安藤翼。彼だけは違った。
彼だけは、怖じけづくことなく痛いくらいに前を見据えていて...。
懲罰を今まさにやらなければならないこの瞬間。
私は恋に落ちてしまったのだ。
*
『周瑠衣とか死ねばいいと思う...』
「アンタね...近頃やけにあたしに突っかかってくるけど何なのよ!?
あたしの美貌に嫉妬してるってヤツっ?」
『眼科逝け』
「アンタが先に逝ってもいいのよー?」
『は...っ。望むところよ。このオカマ野郎が』
「あぁ"ん!?」
この学園の高等部は秘密主義者が多数っていう特徴があるとか耳にしたことがあるけど。
そんなもの、悪目立ちする奴らにとっては意味を成さない。
私達危力系はいつだって、周りから注目を集めている。何か一つ行動を起こせば、全てが筒抜け。
おまけに私は懲罰部隊メンバーによく組まれるせいで、そっち方面でお世話になった奴らから熱烈なアプローチをよく受ける。...ある意味ね。
因みに瑠衣とは同じクラスで、日常生活でも自然と一緒に行動することが多かったりするのだけど...要らない腐れ縁である。
懲罰部隊でもよく一緒だし。
『あぁ、神様。縁というものがあるんだったら、別のご縁が欲しかったわ...』
「石~!その減らず口、今日という今日は...って、イヤ~ン!あたしのイ・イ・男っ、レーダーが今びんびん来たわ~っ!」
『電波キャラとか、本当に勘弁して』
「何よ~っ、外したことないからいいでしょ!」
『やばいわ...根本的な部分から会話が成り立ってないんですけど、』
「あっ、ほら窓の方見てみて!グランドにいたわ!」
『あのね...私的には、アンタのそのいい男ウォッチングする所の方がいい加減にして欲しいんだけ、ど...』
さっきも言った通り、コイツとは行動を一緒にする事が多い。そのせいで、彼好みの男を観察するという悪趣味によく付き合わされるのだ。
呆れ半分で視線を投げたその先には、安藤翼がいた。
たったそれだけの事で動揺してしまって、言葉が続かなかったのが自分でも分かる。
『(うわ、久々に見た...っ。っていうか、姿見掛けただけでうろたえ過ぎでしょ、私...っ)』
「やっだ、よりによって私が最近マーキングしたお気に入りじゃなーい!つ、ば、さ、く...むごっ」
『ちょっ、ちょっと、止めてよ!恥ずかしいっ!』
「いーじゃない、減るものじゃないんだし~っ」
『減るったら減るの!!』
...私の寿命が!
瑠衣の叫び声が届いてしまったのか。
彼がこちらを向いたと感じたのは、私の自意識過剰ではない筈。...多分。
「やっだ!翼君ってば、今熱烈に私の方見てる感じじゃないっ?」
『アンタ女子かよ』
「いやぁね、石ってば。これを恋する乙女と言わずして何て呼べって言うのよ!」
『...』
いつもの私なら、そんな言葉を一蹴してたんだろうけど。
中等部生は体育の授業なのだろう。あれだけ人が集まってる中で、私も彼を真っ先に見付けてしまってる辺り。
私も恋してるって言われたようなものだ。とても鼻一つで笑い飛ばす事が出来ない。でも...
『だからって、電波系と同レベルなのは解せないわ...最悪』
「何一人でブツブツ言ってんのよ。アンタ。...あーっ、翼君そっぽ向いちゃったじゃな~いっ。そっけなーいっ!でもそこが燃える~っ!」
『自称恋する乙女なら、その怖いくらいのたくましさを何とかしたら?......あ、』
誰かを好きになると、その人の事を少しでも長く見たくなると思うのは。他の子達も同じなのかしら。
でも今は見なければ良かった。
彼の側には女の子が寄り添うように立っていて、何の違和感もなく彼の腕に触れていた。まるでそれが当たり前かのように。
ちょっとつり目がちな、快活そうな女の子だった。
「ちょっと石。もう授業始まるのに何処いくのよ」
『...気分悪いからパス』
「あっそ。晩ごはんまでには帰ってくるのよ~」
『...』
アンタは私のおかんかっての。
いつもならそれ位言い返すのに、今は少しも余裕がない。
私、凄く馬鹿みたいだ。
一目見れただけで、こっちを見たかもしれないっていうだけで舞い上がって。
他の女子と一緒に仲良さげにしていただけで、勝手に傷付いて。
そもそも、懲罰部隊として人を痛めつけてる奴が誰かを好きになるだとか。
『本当、馬っ鹿みたい...っ』
授業が始まったのか、廊下には人の気配がしない。
...恋をすると、抑えられるものも出来なくなってしまうのだろうか。
堪えきれなかった嗚咽が、いやに響いた気がした。