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「...あの日。雨の中で泣きじゃくってる、由香を見つけた。でも、何故かすぐに見失っちまったんだ」
『そう、だったんですか...?ごめんなさい...。よく覚えていなくて』
「その後、すぐに駆け付けられなくて後悔した」
『どうして...ですか?』
「あんな人目につかないところに、一人でいたんだ。後から探し出して問い詰めても、はぐらかされるに決まってる。そう思った」
『......』
「見ていて、こっちが痛くなるくらいに泣いてた。叫ぶみたいに。
もうあんな風に泣くのは見たくなかった。俺が何とかしてやりたかった。
かと言って、面識のない俺がいきなり近付いても意味がない気がして...」
安藤先輩の真剣な一つひとつの言葉に、私は何も返せませんでした。
何故なら全て、図星だったから。
転校してきた当初、安藤先輩が例えば声を掛けてくれたとしても。
きっと距離を置いていたに違いない。
「だったらせめて、見守りたかった。もしまた一人で泣く事があったら、今度こそ隣にいたかった」
『安藤、先輩...』
「でも、お前の事探すのには中々骨が折れたんだぜ?チラッと一目しか見たことのない奴探すだなんて。しかも雨のせいで視界が超悪かったしな」
『それでも探してくれたんですか?』
「あの大雨の日、北の森で一人で泣いてた女の子は初等部の早瀬由香だって答えに辿り着くまでは...。まぁ、結構かかったなぁ」
『......』
「それを心配しすぎだって言うのかーって思ったんだけど。
...言われてみれば、確かにその通りだよな。何か俺、すげーカッコ悪い...」
『先輩、』
「でも、どうしてだろうな。それでも何かをしないではいられないような、何かがあったっつーか...。
あーっ!結局何言いたかったんだよ俺は!?とにかく心配かけさせんなって!」
『ぎゃっ...!ちょっ、せ、せんぱ...っ。やめっ!』
聞いているこっちが恥ずかしくなるくらいの、かなりぶっちゃけ過ぎた発言の連続でした。
全部言ってからその事に気が付いたんでしょうか。何故か私の頭をぐしゃぐしゃにして、安藤先輩はそっぽを向いてしまったけれど。私は見てしまいました。
髪の間から覗くように見えた耳が、真っ赤に染まっているのを。
『...誰かが言ってたのか。何かで読んだのか、もう覚えていないんですけど』
「?」
『何の見返りもなく、無償でそこまで心配してくれるのは親以外に中々いるものじゃないって。...安藤先輩』
「何だ?」
『ごめんなさい。そこまで心配してくれてたなんて、全く知らずに軽んじた事を言ってしまいました。それから...その』
「...何だよ。急に歯切れ悪くなって」
『え、えと...ぁ、あり、がと、です。...本当に』
謝るのって、割と簡単なんですよ。最近の私の専売特許でもありますから。...悲しいことに。
でも、その逆は...ありがとうって面と向かって伝えるのは。何故でしょうか。妙に照れくさいものがあります。
今度は私が赤面してしまう番でした。
私の言葉を聞いて、何かを考え込んでいるのでしょうか。安藤先輩は黙りこんでしまいました。
『あ、あの。安藤先輩。何かしら反応していただけると、非常にありがたいんですけど...っ』
「ん?あぁ...いやな。それってつまり、俺は由香にとって父親ポジションみたいなもんかなぁと」
『んぇ!?いやっ、違...っう、筈です。そんなつもりはおそらくない...と、思う。です。...多分』
「ちょっと由香さーん?恐ろしく曖昧なんですけどー」
『うぅっ。だ、だって...』
言われてみれば、確かにそうかもしれない。今度は私がそう思う番でした。
さっきから私達は一体、何をしているんでしょう...。いや、何がしたいんでしょうか。
まるでいたちごっこをしているみたいです。
「まぁ。今は父親ポジションでも良しとするか」
『ほ、他に何ポジションがあるって言うんですか、一体...っ』
「え。そりゃぁ、まぁ。あれだろ。...兄貴ポジションとか?」
『何で疑問系なんですか』
「いや...。何かそれも違う気がするんだよなぁ」
『そ、そう言われましても...』
「ま、とにかくだ。父親ポジションゲットしたって事は、もう遠慮する必要はねーって事だよな?」
『...はっ?』
意味が分からず、安藤先輩の顔を見ると...。有無を言わせんばかりの不敵な笑顔が。
...うん?何だか嫌な予感ってやつですか、これ?
「これからは、何かあったら話せよ。絶対に」
『へ...っ。どういう...』
「今までは、何があったか無理矢理には聞かなかったけどな。これからは必ず吐かせる」
『ひ...っ、それはいくらなんでも酷いですって!』
「さぁなー。それでお前の中に溜まってるもんがスッキリするなら、ごちゃごちゃした言い訳なんて聞く耳持たねーよ。
...でなきゃ、また一人で泣きそうだしな。由香は」
『ぅ...っ、』
「はい、けってーい!」
...本当に。先輩は私の事をずっと見守っていてくれたんでしょうね。
確かに無理でもしないと、私は気持ちを吐き出すのが出来ないと思います。
そうやって安藤先輩は、何でも私を見透かしてしまうから。...何故だか、悔しかったです。
でもこれからは、悲しい思いをしても一人だと思うことは無くなるだろう。そう、思いました。
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翼先輩ENDでした。
本当は、謎体追っかけて迷子になりかけたのがバレて指差されて爆笑される場面とか。
ハロウィンのイベントらしく、ちょっと強引にお菓子押し付けられるお話も考えたんですが。
いかんせん、長くなりすぎてぐたぐだになってしまったので強制終了。
お互いの想いがまだ無自覚のままじゃ、らーぶらーぶ展開には持っていけませんでした...っ。ちきしょー。
何でそんな事思ったの?え、さぁ...?みたいなことお互いに言ってばっかで、イラッ☆ときちゃいました←
元々はそういうお話にしたかったつもりなのに、何故か超ぐたぐだ要素も加わって非常に残念な結果にorz
でも翼先輩の思う所が書けたので...まぁよしとする。。
たまたま泣いてる所を見かけただけで、そこまでするとか。何でやねんと思っていたので、詳しく書けて良かった...のか?←
結局曖昧だったような気もしますが(笑)
いつかその曖昧な感情に名前が付く日が来るのか。それは、まぁ。あれです。ご想像にお任せしますってやつでw(丸投げ)
大分ページがかさんで来ましたが、もう少し頑張ります...!