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『あの...安藤先輩?』
「んー?」
『これ、本当に出口に向かってますか?』
その後。あとは動物達に餌をやるだけだから、お詫びに私を寮まで送っていけと原田先輩から仰せつかった安藤先輩。
いえ、ぶっちゃけ助かるんですけどね。道なんて分かるわけないし。助かるんですけど...。
『むしろ段々と奥の方に進んでいってるような...って、聞いてますか先輩?』
「ここら辺だったかなー」
『はい。聞いてないですね!』
「着いた」
『出口ですらない!?ちょっ、先輩一体何処から聞いてなかったんですか!?』
まさか寮まで送るという、最初の最初っから話を聞いていなかったんじゃ...。
ある意味凄いけど、ちょっと大丈夫かこの人と不安をやっと抱き始めた頃。
突拍子もなく、安藤先輩のお話しが始まりました。
「...この辺りで」
『は、はい?』
「由香。初めて、お前に会ったんだ。...いや、多分この辺りでお前を見たっていう方が正しいのかな」
「え...ここで、ですか」
それってあれですよね。私の転校初日の、超大雨だった時の事ですよね。
そう言われて、周りを見渡してはみるものの。そもそも、何処で号泣してたとか気にも止めていなかったので。全く覚えていません。
というか。それってつまり、知らずに北の森に入ってたっていうことですよね。私。
再三うるさいですが。私は方向音痴ではありません。決して。......多分。
「...で?」
『え?で?って何です...。てか、何故に安藤先輩仁王立ちしてるんですか』
「初等部は立ち入り禁止にされてる場所に、何で由香がいるのかと思って。素行は至って真面目な奴が」
『...あー』
すっかり頭から抜けていたけど、今思い出しました。そういえば、謎の生命体を追いかけていたんでしたっけね。
理由があまりにも下らなさすぎて、逆に言いづらいです。ので、黙秘権を発動します。
『ちょっと海よりも深い諸事情がございまして...。強いて言うなら...探し物をしていてですね、』
「ふぅん、詳しくは俺には言えないわけだ」
『...え?』
いつもより冷たく響いた安藤先輩の声が信じられなくて、反応がワンテンポ遅れてしまいました。
何でだかよく分かりませんが...ちょっと、ムッとしてません?
『...安藤先輩って、規則違反だとかうるさく言う人、でしたっけ?むしろバレさえしなければいいっていう...』
「それは...あれだ。由香みたいに大人しい奴が突然こんな所にいると、どうかしたのかって勘ぐっちまうんだよ。
...ここで泣いてたの思い出すと、余計に」
『あ、安藤先輩、それはいくらなんでも心配しすぎなんじゃ...』
「心配しすぎだって、言うのかっ?」
『...っ』
今度は怒気がハッキリと声に含まれていて、思わず息を飲み込んでしまいました。
過保護まがいの発言に、うっかり笑いがもれそうでしたけど。それすらもひきつります。
気持ちを落ち着けるみたいに長いため息を吐いた安藤先輩は、何かを辿るみたいに話を始めました。
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