一万だ記念!
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『ひく...っ!?』
「盗み聞きするだなんて、悪い子だね」
『......っ』
「怒らないから出ておいで?ね?」
まさか気付かれていたなんて展開、全く予想してませんでした。
もう隠れるのなんて、無駄なはずなのに。何故か足が棒になったように硬直してしまい、動けません。
どうしようと混乱している内に、足音はどんどん私の方向に近付いてきて...。
「...由香ちゃん」
『ぅ、あ...。え、えと。そその。断じて、決して、悪気があったわけでは...!』
ピタリと私の目の前で止まった足音の主は、私の目線に合わせるようにしてしゃがみこんでニコリとひと笑い。
薄暗い談話室で見る先生の笑顔は、何だかいつもと違う印象です。妖しい、というか。色気がある、といいましょうか...。
そして何故ゆえこのタイミングで高鳴るのですか、私の心臓。
きっと隠れてたのバレたせいで動揺しちゃったんですよね?きっと!
それか先生が無意識的に放出したアリスに当てられたか。うん。絶対きっとどっちか!
「ふーん?でも、丁度良かったかな。ここの片付けが終わったら、由香ちゃんに会いに行こうと思ってたんだ」
『え?な、何で...』
「これ」
『あ...っ!』
今目の前にぶら下がっているのは、まごうことなく私が探していたものでした。
見つかって良かった...。やっぱりここに落ちてたんだ。
アリス制御装置を受け取って、すぐさま装着。
これで一安心...と思ったところで、鳴海先生の声色が唐突に変わりました。
「由香ちゃん」
『何でしょう』
「もう触れても、大丈夫?」
『は、はい?なな、何言って...!?』
「顔色が悪い。制御装置を無くしている間、何かあったの...?」
それはいたわるような、心地好く感じる低い声。そっと私の頬に触れた手は、温かくて。先生の優しさがそこからじんわりと染みるみたいでした。
ひとりぼっちで恐怖に怯えていた冷えきった心に、まるで寄り添うようで。
ひどく安心してしまった私の両目からは、みっともなくぼろぼろと涙が流れて止まらなかったけど。
鳴海先生は、それすらも包み込むようにして抱き締めてくれました。私が、泣き止むまで。ずっと。
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