旅の始まり
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(何となく付いていったら、朝ご飯まで以下省略)
一宿一飯どころか、朝ごはんまでサトシさんのお家でお世話になってしまいました。いい人に拾っていただけて、本当に良かったです。
今後の身の振り方をどうするのか。サトシさんが尋ねるよりも、来客のお知らせのチャイムが鳴るのが先でした。
誰が来たのかというと...。
『シゲルさん?』
「ニァー」
『...と、昨日の猫さん』
「やぁ。お早う。昨日は眠れたかい?」
『ど、どうも...おかげさまで、まぁ眠れました』
「それは良かった」
「何しに来たんだよ。しかもこんな朝っぱらから」
「ここを旅立つ前に、ユカに挨拶をしておこうと思ってね」
『はぁ...それは、ご丁寧に』
サトシさんといい、シゲルさんといい。帰省して次の日には旅立つって、普通なんでしょうか。答えは否。絶対にせっかちです。
何だかんだいってこの二人、似通った所があるように思います...。
「ところでユカ。今後はどうするつもりなんだい?」
『いつまでもここでお世話になる訳にはいけないとは思ってるんですが...』
「アテが無いようだったら、僕と来るかい?」
『シゲルさんと?』
「いきなり何言い出すんだよ、シゲル」
「いきなりじゃないさ。研究者という立場を使えば、元の場所へ戻れる手がかりを掴めるかもしれないからね。まぁ、ユカの話をもっと聞いてみたいっていう僕の気持ちもあるけど。どうだい?」
『私は...』
チラリとサトシさんに視線を投げると、じっと私達を見ていました。まるで、どうするんだと言わんばかりに。
...大丈夫。答えは、もう出ている。
『私...怖かったんです。突然見知らぬ場所に放り出されて。しかも聞いたことも見たこともない生き物が次々に出てきて...でも。サトシさんが、言ってくれたんです。この世界は、楽しくてワクワクする事が沢山あるんだって。私、それを聞いて、この景色の向こうには何があるんだろうって。どんな事があるのか知りたいって...思ったんです。
シゲルさんに付いていった方が、元の場所へ戻る方法が早く見つかりそうなのは、分かってるんです、けど。だけど、私...』
「何となく、こうなるのは分かってたよ。ただユカの口から、直接気持ちを聞きたかったんだ。...これ、受け取ってくれたまえよ」
『えと、これは...?』
「僕には姉が一人いてね。姉にそれとなく君の事を話したら、昔着ていた服やその他もろもろを見繕ってくれたんだ。良かったら使ってくれ」
『あ、ありがとうございます...!凄く助かります...っ』
「まぁサートシ君じゃぁ、こういう事にまで気が回らないだろうからねぇ。これから大変かもしれないけど、頑張って」
「悪かったな、そこまで気がつかなくって!」
そこ、むくれないで下さい。シゲルさんの気遣いも相まって、余計に幼稚さが際立ちますから。
『でも、これでサトシさんをお待たせする事なく出発出来そうです』
「それもそうだな。そうと決まったら、早速行こうぜ!まずは港を目指して、それから...!」
『ちょ...っ!それって一応私に話しかけてるんですよね!?だったら置いてかないで下さい...って、ああもう!またあの人聞いちゃいない...っ!
あ、えと、シゲルさん。色々とお世話になりました。それじゃぁ...っ?』
「ニァ!」
慌てて後を追う為に駆け出そうとしたのと、シゲルさんの腕に抱えられていたピンクの猫が声を上げたのは、どちらが先だったのでしょうか。
突然上げた声に驚いて振り返ると、その猫がこちらへ向かって飛んできていました。正確に言うと、私の腰の辺りでしょうか。
そしてコツンと少し硬い音が鳴ったと思ったら、赤い光が猫を包み込んで...消えてしまいました。
『...え。消え...っ!?』
「そのエネコ、ユカの事が気になっていたみたいだからね。一緒に連れていってやってくれないか?」
『シゲルさん、あの、あのピンクのカラバリ猫、何処に消えちゃったんですか!?』
「(カラバリ...?あぁ。カラーバリエーションか?)昨日の講義で一通り説明はしたけど、実際に見るのは初めてだったね。君のモンスターボールに入ったんだよ。オーキド博士から貰っただろう?」
そういえばトレーナーの資格を取得したのと一緒に、何やら色々貰った気がします。賑やかな外野のおかげで気もそぞろだったので、あまり覚えていませんけど。
「ちょうど良かったかもしれないね。新人のトレーナーが出る予定は無かったから、初心者用のポケモンの育成が間に合ってないとオーキド博士が言ってたんだ」
『で、でも、私...ポケモンをお供に連れて行く予定は無かったんですが...』
「ずっと塞ぎこんで心を閉ざしていたエネコが、君と行く事を選んだんだ。何か思う所があったのかもしれない」
『それでも、私は...』
「...人とポケモンも、同じだよ。出会いもあれば、別れもある。パートナーになったからといって、一生を共に過ごさなければならないという訳でもないんだ。だからあまり気負わないでくれたまえよ」
『シゲルさん...ありがとう、ございます』
私はこの世界の人間ではなくて、いつか帰らなくてはならない。シゲルさんは、そんな気持ちを汲んでくれたようです。
そう考えてみると、本当にこれで良かったのでしょうか。ここの世界と関わりを持つのは。最後は全部切り捨てて、元の場所へ戻るくせに。この選択は...。
そんな事を考えていたら、どうやらいつの間にかうつ向いてしまっていたようです。名前を呼ばれてハッと顔を上げたら、優しげな笑顔と目が合ってポンポンと頭を撫でられました。
「迷いもあるかもしれないけど。僕は嫌いじゃないよ。とりあえず行動してみようというその姿勢は。パートナーという存在は、必ずユカの助けになるから大丈夫。癪だけど、アイツ...サトシもいるからね」
『あ。そういえば私、サトシさんにすっかり置いてけぼりをくらって...!』
「それなら平気さ。そろそろ戻ってくる頃だから」
『え?何で分かるんですか』
「アイツ、手ぶらで走っていったから」
『...はい?』
「シゲルー!ユカー!お前らまだここにいたんだな!でもちょうど良かったぜ!俺、途中で荷物忘れちゃったのに気が付いてさー」
「その上パジャマだ。全く...少しは成長という言葉を覚えた方がいいんじゃないかい?サートシ君は」
「な、何だとぉ!?」
「ユカ。僕と一緒に行くのは、今からでも遅くないよ?」
『真剣に悩んでしまうのが悲しい所ですね』
「何だよー!ユカは俺と行くんだって!」
私を間に挟むこの流れは...えぇ。もう、諦めるしかないんでしょうね。
それにしても、前途多難な感じが否めません。本当に大丈夫でしょうか。
でも...そうですね。不安な気持ちは確かに消すことは出来ませんけど。この世界はワクワクする事が沢山あるんだと言った、彼との旅を期待しているのも確かです。
一体この先、何が待っているんでしょうか。楽しみです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
研究者になったシゲルは、サトシと喧嘩する程もう子供じゃないですよね。ご都合展開でちょっと変えてしまいました。
あれですよ。イレギュラーな存在があれば、色々展開が変わるもんですって(投げやり)
旅の始まりのきっかけはちゃんと書いておきたかったので、ガッツリ書きました。これ以降は、会話文だけだったりとゆるい感じになる時があると思います。
一宿一飯どころか、朝ごはんまでサトシさんのお家でお世話になってしまいました。いい人に拾っていただけて、本当に良かったです。
今後の身の振り方をどうするのか。サトシさんが尋ねるよりも、来客のお知らせのチャイムが鳴るのが先でした。
誰が来たのかというと...。
『シゲルさん?』
「ニァー」
『...と、昨日の猫さん』
「やぁ。お早う。昨日は眠れたかい?」
『ど、どうも...おかげさまで、まぁ眠れました』
「それは良かった」
「何しに来たんだよ。しかもこんな朝っぱらから」
「ここを旅立つ前に、ユカに挨拶をしておこうと思ってね」
『はぁ...それは、ご丁寧に』
サトシさんといい、シゲルさんといい。帰省して次の日には旅立つって、普通なんでしょうか。答えは否。絶対にせっかちです。
何だかんだいってこの二人、似通った所があるように思います...。
「ところでユカ。今後はどうするつもりなんだい?」
『いつまでもここでお世話になる訳にはいけないとは思ってるんですが...』
「アテが無いようだったら、僕と来るかい?」
『シゲルさんと?』
「いきなり何言い出すんだよ、シゲル」
「いきなりじゃないさ。研究者という立場を使えば、元の場所へ戻れる手がかりを掴めるかもしれないからね。まぁ、ユカの話をもっと聞いてみたいっていう僕の気持ちもあるけど。どうだい?」
『私は...』
チラリとサトシさんに視線を投げると、じっと私達を見ていました。まるで、どうするんだと言わんばかりに。
...大丈夫。答えは、もう出ている。
『私...怖かったんです。突然見知らぬ場所に放り出されて。しかも聞いたことも見たこともない生き物が次々に出てきて...でも。サトシさんが、言ってくれたんです。この世界は、楽しくてワクワクする事が沢山あるんだって。私、それを聞いて、この景色の向こうには何があるんだろうって。どんな事があるのか知りたいって...思ったんです。
シゲルさんに付いていった方が、元の場所へ戻る方法が早く見つかりそうなのは、分かってるんです、けど。だけど、私...』
「何となく、こうなるのは分かってたよ。ただユカの口から、直接気持ちを聞きたかったんだ。...これ、受け取ってくれたまえよ」
『えと、これは...?』
「僕には姉が一人いてね。姉にそれとなく君の事を話したら、昔着ていた服やその他もろもろを見繕ってくれたんだ。良かったら使ってくれ」
『あ、ありがとうございます...!凄く助かります...っ』
「まぁサートシ君じゃぁ、こういう事にまで気が回らないだろうからねぇ。これから大変かもしれないけど、頑張って」
「悪かったな、そこまで気がつかなくって!」
そこ、むくれないで下さい。シゲルさんの気遣いも相まって、余計に幼稚さが際立ちますから。
『でも、これでサトシさんをお待たせする事なく出発出来そうです』
「それもそうだな。そうと決まったら、早速行こうぜ!まずは港を目指して、それから...!」
『ちょ...っ!それって一応私に話しかけてるんですよね!?だったら置いてかないで下さい...って、ああもう!またあの人聞いちゃいない...っ!
あ、えと、シゲルさん。色々とお世話になりました。それじゃぁ...っ?』
「ニァ!」
慌てて後を追う為に駆け出そうとしたのと、シゲルさんの腕に抱えられていたピンクの猫が声を上げたのは、どちらが先だったのでしょうか。
突然上げた声に驚いて振り返ると、その猫がこちらへ向かって飛んできていました。正確に言うと、私の腰の辺りでしょうか。
そしてコツンと少し硬い音が鳴ったと思ったら、赤い光が猫を包み込んで...消えてしまいました。
『...え。消え...っ!?』
「そのエネコ、ユカの事が気になっていたみたいだからね。一緒に連れていってやってくれないか?」
『シゲルさん、あの、あのピンクのカラバリ猫、何処に消えちゃったんですか!?』
「(カラバリ...?あぁ。カラーバリエーションか?)昨日の講義で一通り説明はしたけど、実際に見るのは初めてだったね。君のモンスターボールに入ったんだよ。オーキド博士から貰っただろう?」
そういえばトレーナーの資格を取得したのと一緒に、何やら色々貰った気がします。賑やかな外野のおかげで気もそぞろだったので、あまり覚えていませんけど。
「ちょうど良かったかもしれないね。新人のトレーナーが出る予定は無かったから、初心者用のポケモンの育成が間に合ってないとオーキド博士が言ってたんだ」
『で、でも、私...ポケモンをお供に連れて行く予定は無かったんですが...』
「ずっと塞ぎこんで心を閉ざしていたエネコが、君と行く事を選んだんだ。何か思う所があったのかもしれない」
『それでも、私は...』
「...人とポケモンも、同じだよ。出会いもあれば、別れもある。パートナーになったからといって、一生を共に過ごさなければならないという訳でもないんだ。だからあまり気負わないでくれたまえよ」
『シゲルさん...ありがとう、ございます』
私はこの世界の人間ではなくて、いつか帰らなくてはならない。シゲルさんは、そんな気持ちを汲んでくれたようです。
そう考えてみると、本当にこれで良かったのでしょうか。ここの世界と関わりを持つのは。最後は全部切り捨てて、元の場所へ戻るくせに。この選択は...。
そんな事を考えていたら、どうやらいつの間にかうつ向いてしまっていたようです。名前を呼ばれてハッと顔を上げたら、優しげな笑顔と目が合ってポンポンと頭を撫でられました。
「迷いもあるかもしれないけど。僕は嫌いじゃないよ。とりあえず行動してみようというその姿勢は。パートナーという存在は、必ずユカの助けになるから大丈夫。癪だけど、アイツ...サトシもいるからね」
『あ。そういえば私、サトシさんにすっかり置いてけぼりをくらって...!』
「それなら平気さ。そろそろ戻ってくる頃だから」
『え?何で分かるんですか』
「アイツ、手ぶらで走っていったから」
『...はい?』
「シゲルー!ユカー!お前らまだここにいたんだな!でもちょうど良かったぜ!俺、途中で荷物忘れちゃったのに気が付いてさー」
「その上パジャマだ。全く...少しは成長という言葉を覚えた方がいいんじゃないかい?サートシ君は」
「な、何だとぉ!?」
「ユカ。僕と一緒に行くのは、今からでも遅くないよ?」
『真剣に悩んでしまうのが悲しい所ですね』
「何だよー!ユカは俺と行くんだって!」
私を間に挟むこの流れは...えぇ。もう、諦めるしかないんでしょうね。
それにしても、前途多難な感じが否めません。本当に大丈夫でしょうか。
でも...そうですね。不安な気持ちは確かに消すことは出来ませんけど。この世界はワクワクする事が沢山あるんだと言った、彼との旅を期待しているのも確かです。
一体この先、何が待っているんでしょうか。楽しみです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
研究者になったシゲルは、サトシと喧嘩する程もう子供じゃないですよね。ご都合展開でちょっと変えてしまいました。
あれですよ。イレギュラーな存在があれば、色々展開が変わるもんですって(投げやり)
旅の始まりのきっかけはちゃんと書いておきたかったので、ガッツリ書きました。これ以降は、会話文だけだったりとゆるい感じになる時があると思います。