旅の始まり
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(何となく付いていったら、ご飯の面倒まで見てくれました)
とりあえず。直面してしまった問題は、考えて結論が出る程単純なものではないので。その場は解散になりました。
なし崩し的にサトシさんに付いていったおかげか、彼の家で晩ごはんにお呼ばれされる事になったのですが...。
「何でシゲルもいるんだよ!」
「ユカと親睦を深めたい事に、何か問題でも?」
「大アリだ!ここ俺ん家!」
「まぁまぁ賑やかでいいじゃない。ユカちゃんだったかしら?女の子のお客さんだなんて嬉しいわ~っ。沢山食べて行ってね!」
『あ、ありがとう、ございます...サトシさんのママさん』
突然ですけれども。動物園で管理されている動物って、種族ごとに檻に分けるのが普通じゃないですか。
ライオンなら、ライオンの所へ。しまうまなら、以下省略。
今、目の前に広がる景色はそんな秩序の欠片すらありません。多種多様な、ぽ...ポケモン?が、ひしめき合って食事を楽しんでいるんですよ。
え、これ、食物連鎖的にはどうなんですか?ライオンとしまうまが仲良くご飯食べてるみたいだって言っても、決して過言じゃないんですけど。
不思議免疫無いって主張しているのに、何ですかこのとんでも展開。望んでいない上に、今までの常識が覆されて色々とショッキングなんですけど...!
ワイワイと賑わっているのを見計らって、思わず外へ通じる中庭へ退避です。ちょっと落ち着こうと腰を降ろすと、小さな先客がいました。
『あ、さっきの...』
「...」
針山と勘違いしたピンク猫は、チラリと一瞥した後、そっぽを向いてしまいました。その背中は、寂しげで。
先程の透視してしまったビジョンが、頭に蘇ります。...そう。
『帰る場所が無くなってしまったのは、辛い事ですね...』
「ニァ...っ?」
『一緒に居たのが仲間か、家族なのかまでは分かりませんけど。散り散りになってしまって、もう会えないんですね...。
帰る場所を壊した、同じ人間が言っても説得力無いかもしれませんけど。その気持ち、分かります。私も...失って、もう二度と取り戻す事が出来ないから。帰る場所も。家族も』
「......」
このエネコという猫...ポケモン。人為的に、住みかを壊されてしまったようなのです。あの時...尻尾が触れてしまった時。その終わりの瞬間が、頭に流れてきたから分かりました。
例え人でないとしても心の内を暴かれるのって、どんな気持ちなんでしょうね。...気持ち悪い、ですかね。やっぱり。それでもその心に寄り添わずにはいられなかったのです。痛い程よく、分かるから。
『それでも、私を受け入れてくれる人や理解者はいました。まぁ...今は、はぐれてしまって会えないんですけど』
「ニァー」
『うっ...で、でも、それでもですよ。まさしく路頭に迷ったといえる私を保護してくれた人は、いい人でしたしっ。あなたもそうでしょう?まぁ...ちょっとあれは、性格に難ありかもしれませんが。や、でも基本的にいい人ですしっ。人生悪い事ばっかりじゃないというか...っ』
「何やってるんだ?」
『うわあぁおいっ!?』
お、おかしいですね。いつの間にか、慰めるつもりが自己弁護になっているような気がするんですが。
冷静になって考えてみれば、人の言葉が通じるのか不明な相手に、なんて長い言い訳を語っていたんでしょうか。恥ずかしすぎる...!それを目撃されてしまったのかと思うと、倍増です。
「急に居なくなったから何処に行ったのかと思ったら...ほら」
『へっ、あ、サンドイッチ...?』
「あんま食べてないんだろ?エネコはこっちな」
「ナァー」
そう言って、私だけでなく猫さんまで気配りしてくれたのは、意外にもサトシさんでした。
思った事がそのまま声に出る分かりやす...素直な性格の持ち主なのかと思っていたのですが。
その大人な対応で、何処からか聞いていたのか知りませんけど私の大きなひとり言も華麗にスルーして下さ...。
「何してるのかと思ったら、エネコの事を慰めてくれてたのか。ユカって優しいんだな!」
前言撤回。コイツ単純なんじゃねーかと感じた第一印象は間違っていませんでしたコノヤロー。それってほぼ最初から聞いてたって事じゃないですか!
「ポケモンを怖がってるのかと思ってたんだけど...変に距離があったし」
『まぁ...今まで培ってきた常識がひっくり返ったら、そりゃ警戒します』
「まだ怖いのか?でもエネコには...」
『それが想定内のサイズだったら、まだ驚きませんって...!
何でしたっけ。さっき見せてくれた...オオツバメ?自分の背丈と大して変わらないツバメを見た瞬間は、私、補食されるのかと...っ!』
「それ、オオスバメな。何でそこで驚くのか相変わらず分かんないけど...まぁ、俺の世界でもポケモンが苦手な奴いるしな。
今まで旅してきた仲間の内の一人も、最初はポケモンが苦手だったんだけどさ。でも、徐々にそれが変わっていったんだ」
『...何が、言いたいんですか』
「なぁユカ。昼間俺が言った気持ち、変わってないからな」
『...?やっぱりよく分かんないというくだりですか』
「違うって!俺と旅に出ようって話!」
そういえば、そんな事も言ってましたね。あなたとその他約一名がうるさかったので、すっかり忘れてましたけど。
「旅に出れば、ユカの探してるポケモンにも会えるかもしれないし。元の場所へ戻る方法だって。分かるかもしれないだろ?...っていうのは、建て前でさ。何だか放っておけないんだ。ユカの事」
『え?』
「俺がユカに初めて声掛けた時は、何かお前、泣きそうな顔してるし。ポケモンを見たら見たで、凄く怯えるしさ。
ここは...この世界は。そんな嫌な事ばっかりじゃないんだぜ?
俺が今まで旅をして見てきたものは、楽しくて、ワクワクする事がいっぱいだったんだ。それを見せてやりたいんだよ!」
『サトシさん...』
「だから俺との旅、考えておいてくれないか。俺...明日の朝まではここにいるからさ」
『...んっ?え、それって考える時間が一晩しか無いんじゃ、』
「それじゃぁな!」
『あっ!ちょ...っ!言いたいことだけ言ってさっさと行きやがった...!破天荒過ぎる所、誰かさんとそっくりですよ!』
「ニァー?」
『とりあえず...食べましょうか。折角ですし。後の事はそれからですかね』
「ニァ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
早瀬さんがここへ来てしまった原因はポケモンだとサトシ君は誤解したままですけど。
いちいち突っ込むのもいい加減めんどいので、早瀬さんはスルースキルを発動させました。
破天荒な誰かさんは、元いた場所の、とあるツインテールの女の子です。
とりあえず。直面してしまった問題は、考えて結論が出る程単純なものではないので。その場は解散になりました。
なし崩し的にサトシさんに付いていったおかげか、彼の家で晩ごはんにお呼ばれされる事になったのですが...。
「何でシゲルもいるんだよ!」
「ユカと親睦を深めたい事に、何か問題でも?」
「大アリだ!ここ俺ん家!」
「まぁまぁ賑やかでいいじゃない。ユカちゃんだったかしら?女の子のお客さんだなんて嬉しいわ~っ。沢山食べて行ってね!」
『あ、ありがとう、ございます...サトシさんのママさん』
突然ですけれども。動物園で管理されている動物って、種族ごとに檻に分けるのが普通じゃないですか。
ライオンなら、ライオンの所へ。しまうまなら、以下省略。
今、目の前に広がる景色はそんな秩序の欠片すらありません。多種多様な、ぽ...ポケモン?が、ひしめき合って食事を楽しんでいるんですよ。
え、これ、食物連鎖的にはどうなんですか?ライオンとしまうまが仲良くご飯食べてるみたいだって言っても、決して過言じゃないんですけど。
不思議免疫無いって主張しているのに、何ですかこのとんでも展開。望んでいない上に、今までの常識が覆されて色々とショッキングなんですけど...!
ワイワイと賑わっているのを見計らって、思わず外へ通じる中庭へ退避です。ちょっと落ち着こうと腰を降ろすと、小さな先客がいました。
『あ、さっきの...』
「...」
針山と勘違いしたピンク猫は、チラリと一瞥した後、そっぽを向いてしまいました。その背中は、寂しげで。
先程の透視してしまったビジョンが、頭に蘇ります。...そう。
『帰る場所が無くなってしまったのは、辛い事ですね...』
「ニァ...っ?」
『一緒に居たのが仲間か、家族なのかまでは分かりませんけど。散り散りになってしまって、もう会えないんですね...。
帰る場所を壊した、同じ人間が言っても説得力無いかもしれませんけど。その気持ち、分かります。私も...失って、もう二度と取り戻す事が出来ないから。帰る場所も。家族も』
「......」
このエネコという猫...ポケモン。人為的に、住みかを壊されてしまったようなのです。あの時...尻尾が触れてしまった時。その終わりの瞬間が、頭に流れてきたから分かりました。
例え人でないとしても心の内を暴かれるのって、どんな気持ちなんでしょうね。...気持ち悪い、ですかね。やっぱり。それでもその心に寄り添わずにはいられなかったのです。痛い程よく、分かるから。
『それでも、私を受け入れてくれる人や理解者はいました。まぁ...今は、はぐれてしまって会えないんですけど』
「ニァー」
『うっ...で、でも、それでもですよ。まさしく路頭に迷ったといえる私を保護してくれた人は、いい人でしたしっ。あなたもそうでしょう?まぁ...ちょっとあれは、性格に難ありかもしれませんが。や、でも基本的にいい人ですしっ。人生悪い事ばっかりじゃないというか...っ』
「何やってるんだ?」
『うわあぁおいっ!?』
お、おかしいですね。いつの間にか、慰めるつもりが自己弁護になっているような気がするんですが。
冷静になって考えてみれば、人の言葉が通じるのか不明な相手に、なんて長い言い訳を語っていたんでしょうか。恥ずかしすぎる...!それを目撃されてしまったのかと思うと、倍増です。
「急に居なくなったから何処に行ったのかと思ったら...ほら」
『へっ、あ、サンドイッチ...?』
「あんま食べてないんだろ?エネコはこっちな」
「ナァー」
そう言って、私だけでなく猫さんまで気配りしてくれたのは、意外にもサトシさんでした。
思った事がそのまま声に出る分かりやす...素直な性格の持ち主なのかと思っていたのですが。
その大人な対応で、何処からか聞いていたのか知りませんけど私の大きなひとり言も華麗にスルーして下さ...。
「何してるのかと思ったら、エネコの事を慰めてくれてたのか。ユカって優しいんだな!」
前言撤回。コイツ単純なんじゃねーかと感じた第一印象は間違っていませんでしたコノヤロー。それってほぼ最初から聞いてたって事じゃないですか!
「ポケモンを怖がってるのかと思ってたんだけど...変に距離があったし」
『まぁ...今まで培ってきた常識がひっくり返ったら、そりゃ警戒します』
「まだ怖いのか?でもエネコには...」
『それが想定内のサイズだったら、まだ驚きませんって...!
何でしたっけ。さっき見せてくれた...オオツバメ?自分の背丈と大して変わらないツバメを見た瞬間は、私、補食されるのかと...っ!』
「それ、オオスバメな。何でそこで驚くのか相変わらず分かんないけど...まぁ、俺の世界でもポケモンが苦手な奴いるしな。
今まで旅してきた仲間の内の一人も、最初はポケモンが苦手だったんだけどさ。でも、徐々にそれが変わっていったんだ」
『...何が、言いたいんですか』
「なぁユカ。昼間俺が言った気持ち、変わってないからな」
『...?やっぱりよく分かんないというくだりですか』
「違うって!俺と旅に出ようって話!」
そういえば、そんな事も言ってましたね。あなたとその他約一名がうるさかったので、すっかり忘れてましたけど。
「旅に出れば、ユカの探してるポケモンにも会えるかもしれないし。元の場所へ戻る方法だって。分かるかもしれないだろ?...っていうのは、建て前でさ。何だか放っておけないんだ。ユカの事」
『え?』
「俺がユカに初めて声掛けた時は、何かお前、泣きそうな顔してるし。ポケモンを見たら見たで、凄く怯えるしさ。
ここは...この世界は。そんな嫌な事ばっかりじゃないんだぜ?
俺が今まで旅をして見てきたものは、楽しくて、ワクワクする事がいっぱいだったんだ。それを見せてやりたいんだよ!」
『サトシさん...』
「だから俺との旅、考えておいてくれないか。俺...明日の朝まではここにいるからさ」
『...んっ?え、それって考える時間が一晩しか無いんじゃ、』
「それじゃぁな!」
『あっ!ちょ...っ!言いたいことだけ言ってさっさと行きやがった...!破天荒過ぎる所、誰かさんとそっくりですよ!』
「ニァー?」
『とりあえず...食べましょうか。折角ですし。後の事はそれからですかね』
「ニァ!」
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早瀬さんがここへ来てしまった原因はポケモンだとサトシ君は誤解したままですけど。
いちいち突っ込むのもいい加減めんどいので、早瀬さんはスルースキルを発動させました。
破天荒な誰かさんは、元いた場所の、とあるツインテールの女の子です。