クロガネの街で
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(その先に見えるものとは、-後-)
「残念だったわね、ユカ。負けちゃって」
「だが初めてにしては上出来だ。目の付け所が良かったな、本当に」
「あぁ。すっげーいいバトルだったよ!」
初めてのポケモンバトルは、黒星を上げる結果になって終わりました。
あと少し、ほんの少し指示が早ければ。もしかしたら引き分けに持っていけたかもしれなかったのですが。
既に判定が下る所だったので、そのほんの少しが勝負を分けてしまったようです。
「あんなバトル、引き分けと大差ない」
『シンジさん...?どうして...てっきり、もうとっくにこの場を後にしてるのかとばかり』
「あんなバトルって言い方はないだろシンジ!大体お前、バトル中にユカを動揺させるような事を散々...っ!」
『サトシさん...ちょ、どうどう...っ』
やたら長く感じたバトルがようやっと終わり、も、本当に色々と燃え尽きそうな所。
旅のお仲間が労いの言葉を掛けてくれる空気の中、何故かシンジさんがやって来て新たなバトルが勃発しそうです。もう止めて下さいお願いですから。
「お前に似た間抜け面なポケモンだが」
『この人わざわざ貶める為にこの場に残ったんですかね?あと私は断じて軟体動物、いえ。軟体ポケモンとは似てないです。断じて!』
「メタモンが間抜け面っていうのは認めるのね...」
「間抜けなのは問題だが、さっきのバトルで確信した。鍛え方次第ではそいつは使い道がある。寄越せ。勿論、タダでとは言わん」
『え、何、今度はカツアゲですか?』
「シンジの言い方も良くないが、ユカも普通に失礼だぞ...。多分トレードの申し出だな」
『トレード?』
軽くタケシさんにたしなめられた後、今の状況を丁寧に教えてくれました。流石大家族の長男。
ポケモントレード。お互いの持ち手のポケモンを交換するという、説明を受けたら名前そのまんまな交渉を今私こと早瀬は受けているようであります。
『私...ポケモンなるものが、まだよく分かりませんけど。この、メタさんは。私とエネさんが初めてゲットした子なんです。だから...大事にしたいと思っていて』
「それにしては、随分な言い方だったが」
『...大事にしたいと思っているんデス!』
「こら、明後日の方向を見て言うんじゃない」
『あいたっ』
真面目な雰囲気を醸し出そうとしたら、シンジさんに的確な指摘を受けた上に、タケシさんに突っ込み(物理)を受けてしまいました。痛い。二重的な意味で。
「もー、ユカってば、まだメタモンに慣れてないの?そんなにビクビクしなくってもだいじょーぶだって!」
『だってヒカリさん、見た目が...見た目が...!』
「そんなに震えるぐらいに受け入れがたいことなの!?」
「でも良かったぜ!ユカはメタモンとこれからも一緒にいるって事だよな!」
「は...っ。下らない友達ごっこだな」
この人...シンジさんは。どうしてこう。サトシさんが口を開けば対抗するかのように喧嘩をふっかけてくるんですかね?
最早大嫌いが一周回って大好きすぎるんじゃないですかね。これ。
「何だと...!」
『サトシさん、ちょっと。これ直しておいてもらっていいですか』
「何だよ急に、それどころじゃ...!って、うわ!?」
『私シンジさんと話まだ終わってないんで。じゃ、後宜しくです』
「だからってリングマのまんまのメタモン押し付けてくるな、倒れ...!」
「え...まだメタモンってリングマのまんまだったの...!」
「普通戦闘不能になれば、元の姿に戻る筈なんだが...最早規格外じゃないか、このメタモン」
「二人とも見てないで助けてくれよ~...!」
後ろは若干賑やかになってしまいましたが。これで外野の横やりは入らないですね。
...さて。
『折角の申し出ですけど。トレードは、その。すみません。出来ないです』
「そうか。分かった」
『あの。私。シンジさんのバトルスタイル。嫌いじゃないです。相手を知って、分析、対応策を立ててくるのは。迷いとか、隙がなくて...尊敬すらします』
「ふん...バトルフィールドを最大限活用したであろうお前の戦い方も悪くはなかった。まだまだ新人丸出しで甘い所だらけだが」
『でも私、あなたのポケモンとの関わり方は好きになれません。私、言いましたよね?シンジさんのやり方じゃ、きっとそれが合わないポケモンがいるって...!だから、』
「それこそ前にも言った。お前にとやかく言われる筋合いはない。必要だからやっていることだ」
どうしても納得出来ないのに、とりつく島すらなくてもどかしい。
シンジさんの腰にくっついているモンスターボールの中では、まだおヒコさんの傷は痛んでいるんでしょうか。
どれ程傷を重ねても、それでも、この子はシンジさんについていくんでしょうか。このままでは...
『先が、知れています』
「...何?」
『シンジさんのやり方は、きっと何処かで行き詰まります!きっついトレーニングでレベル上げに必死になったって、きっと強いトレーナーに当たれば普通に対抗してくるんだと思います。それに勝つには、きっと、ポケモンとの信頼関係が...!』
「だから友達ごっこをしろと?下らない。だったらその分トレーニングをした方がずっと有意義だ」
『~っ!この、分からず屋!何かこう、あるんですよ!多分!バトルでは、基礎能力とプラスアルファで何か、こう...!』
もどかしい余りに、喧嘩腰になった上に最早これは言語崩壊起こしてしまっていますね。これは。
何かといったニュアンスで伝われば、人間苦労しません。そんなん出来たらポケモンと意思疏通するのだって夢じゃない。何言ってるの私。
けれどシンジさんは別に気にする様子もなく、こう続けました。
「だったらまた俺とバトルをして証明してみろ」
『え...バトル?』
「当たり前だろう。ユカの言うポケモンとのぬるい馴れ合いで強くなれると言うなら。俺を倒して正しいと言ってみせればいいだろう」
『...それは』
「俺も、ユカの考え方が正しいと思う」
『サトシさん...』
「そうやってポケモンも、自分も一緒に強くなっていくんだと思うし。バトルがもっと何倍だって楽しくなるんだ。なぁ、シンジ」
「...なんだ」
「俺のバトルも見ていけよ...!」
『あ、サトシさんがキメ顔でここに立ってるって事はエセリングマさん直りました?どもでーす』
「ユカ、ほんとにメタモンを大事にしようって思ってるのよね...?」
「あとシリアス空気ぶち壊しだな...」
「残念だったわね、ユカ。負けちゃって」
「だが初めてにしては上出来だ。目の付け所が良かったな、本当に」
「あぁ。すっげーいいバトルだったよ!」
初めてのポケモンバトルは、黒星を上げる結果になって終わりました。
あと少し、ほんの少し指示が早ければ。もしかしたら引き分けに持っていけたかもしれなかったのですが。
既に判定が下る所だったので、そのほんの少しが勝負を分けてしまったようです。
「あんなバトル、引き分けと大差ない」
『シンジさん...?どうして...てっきり、もうとっくにこの場を後にしてるのかとばかり』
「あんなバトルって言い方はないだろシンジ!大体お前、バトル中にユカを動揺させるような事を散々...っ!」
『サトシさん...ちょ、どうどう...っ』
やたら長く感じたバトルがようやっと終わり、も、本当に色々と燃え尽きそうな所。
旅のお仲間が労いの言葉を掛けてくれる空気の中、何故かシンジさんがやって来て新たなバトルが勃発しそうです。もう止めて下さいお願いですから。
「お前に似た間抜け面なポケモンだが」
『この人わざわざ貶める為にこの場に残ったんですかね?あと私は断じて軟体動物、いえ。軟体ポケモンとは似てないです。断じて!』
「メタモンが間抜け面っていうのは認めるのね...」
「間抜けなのは問題だが、さっきのバトルで確信した。鍛え方次第ではそいつは使い道がある。寄越せ。勿論、タダでとは言わん」
『え、何、今度はカツアゲですか?』
「シンジの言い方も良くないが、ユカも普通に失礼だぞ...。多分トレードの申し出だな」
『トレード?』
軽くタケシさんにたしなめられた後、今の状況を丁寧に教えてくれました。流石大家族の長男。
ポケモントレード。お互いの持ち手のポケモンを交換するという、説明を受けたら名前そのまんまな交渉を今私こと早瀬は受けているようであります。
『私...ポケモンなるものが、まだよく分かりませんけど。この、メタさんは。私とエネさんが初めてゲットした子なんです。だから...大事にしたいと思っていて』
「それにしては、随分な言い方だったが」
『...大事にしたいと思っているんデス!』
「こら、明後日の方向を見て言うんじゃない」
『あいたっ』
真面目な雰囲気を醸し出そうとしたら、シンジさんに的確な指摘を受けた上に、タケシさんに突っ込み(物理)を受けてしまいました。痛い。二重的な意味で。
「もー、ユカってば、まだメタモンに慣れてないの?そんなにビクビクしなくってもだいじょーぶだって!」
『だってヒカリさん、見た目が...見た目が...!』
「そんなに震えるぐらいに受け入れがたいことなの!?」
「でも良かったぜ!ユカはメタモンとこれからも一緒にいるって事だよな!」
「は...っ。下らない友達ごっこだな」
この人...シンジさんは。どうしてこう。サトシさんが口を開けば対抗するかのように喧嘩をふっかけてくるんですかね?
最早大嫌いが一周回って大好きすぎるんじゃないですかね。これ。
「何だと...!」
『サトシさん、ちょっと。これ直しておいてもらっていいですか』
「何だよ急に、それどころじゃ...!って、うわ!?」
『私シンジさんと話まだ終わってないんで。じゃ、後宜しくです』
「だからってリングマのまんまのメタモン押し付けてくるな、倒れ...!」
「え...まだメタモンってリングマのまんまだったの...!」
「普通戦闘不能になれば、元の姿に戻る筈なんだが...最早規格外じゃないか、このメタモン」
「二人とも見てないで助けてくれよ~...!」
後ろは若干賑やかになってしまいましたが。これで外野の横やりは入らないですね。
...さて。
『折角の申し出ですけど。トレードは、その。すみません。出来ないです』
「そうか。分かった」
『あの。私。シンジさんのバトルスタイル。嫌いじゃないです。相手を知って、分析、対応策を立ててくるのは。迷いとか、隙がなくて...尊敬すらします』
「ふん...バトルフィールドを最大限活用したであろうお前の戦い方も悪くはなかった。まだまだ新人丸出しで甘い所だらけだが」
『でも私、あなたのポケモンとの関わり方は好きになれません。私、言いましたよね?シンジさんのやり方じゃ、きっとそれが合わないポケモンがいるって...!だから、』
「それこそ前にも言った。お前にとやかく言われる筋合いはない。必要だからやっていることだ」
どうしても納得出来ないのに、とりつく島すらなくてもどかしい。
シンジさんの腰にくっついているモンスターボールの中では、まだおヒコさんの傷は痛んでいるんでしょうか。
どれ程傷を重ねても、それでも、この子はシンジさんについていくんでしょうか。このままでは...
『先が、知れています』
「...何?」
『シンジさんのやり方は、きっと何処かで行き詰まります!きっついトレーニングでレベル上げに必死になったって、きっと強いトレーナーに当たれば普通に対抗してくるんだと思います。それに勝つには、きっと、ポケモンとの信頼関係が...!』
「だから友達ごっこをしろと?下らない。だったらその分トレーニングをした方がずっと有意義だ」
『~っ!この、分からず屋!何かこう、あるんですよ!多分!バトルでは、基礎能力とプラスアルファで何か、こう...!』
もどかしい余りに、喧嘩腰になった上に最早これは言語崩壊起こしてしまっていますね。これは。
何かといったニュアンスで伝われば、人間苦労しません。そんなん出来たらポケモンと意思疏通するのだって夢じゃない。何言ってるの私。
けれどシンジさんは別に気にする様子もなく、こう続けました。
「だったらまた俺とバトルをして証明してみろ」
『え...バトル?』
「当たり前だろう。ユカの言うポケモンとのぬるい馴れ合いで強くなれると言うなら。俺を倒して正しいと言ってみせればいいだろう」
『...それは』
「俺も、ユカの考え方が正しいと思う」
『サトシさん...』
「そうやってポケモンも、自分も一緒に強くなっていくんだと思うし。バトルがもっと何倍だって楽しくなるんだ。なぁ、シンジ」
「...なんだ」
「俺のバトルも見ていけよ...!」
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『あ、サトシさんがキメ顔でここに立ってるって事はエセリングマさん直りました?どもでーす』
「ユカ、ほんとにメタモンを大事にしようって思ってるのよね...?」
「あとシリアス空気ぶち壊しだな...」