クロガネの街で
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(その先に見えるものとは、-前-)
最後の三戦目の相手としてバトルスタンバイされたのは、シンジさんが最も信頼を寄せているであろうエレキさん。
先程のグマさんとは正反対の、小柄なタイプなのですが。ジム戦で拝見した限り、パワーもかなりありそうです。そのくせ、スピードの方も申し分なくて...。
何が言いたいのかというと。今現在、私こと早瀬は物凄い苦戦を強いられていました。
「エレキッド、かわらわりだ!」
『エネさん、たいあたりで相殺を...っ!え!?』
「ビビーッ!」
「ニァ...っ」
『エネさん!』
「技の相性も把握していないのか。それとも、自分のペース配分を考えなかったせいで指示がおろそかになっているのか?どちらにせよ、想像したよりも使えない奴だ。早々に終わらせてもらうぞ!」
『あ...!』
「ねぇ、タケシ。技の相性ってどういう事なの?」
「おそらく、ポケモンのタイプによる弱点の事を言っているんだろうな。例えばユカのエネコはノーマルタイプだが、かくとうタイプの技が大ダメージに繋がりやすい弱点を持っているんだ」
「じゃぁさっきのかわらわりっていう技って、もしかして...!」
「あぁ。かくとうタイプに分類される技だ。十中八九、シンジはそれを理解して指示をしているんだろうな」
「シンジの奴...っ!」
「おい、落ち着けサトシ。確かに新人トレーナーに対して大人げないとは思うが...」
「それだけじゃない。何であんなに、ユカを追い詰めるような事ばっかり言うんだよ!俺がユカに知って欲しかったバトルは、こんなんじゃ...!」
「サトシ...気持ちは分かるが、」
「サトシ、タケシ!エネコが!」
『エネさん!?エネさん、無事ですか!』
「ニァ...!」
「技をくらう前に穴へ落ちて避けたか...そんな子供だましが何度も通用すると思うな。次でトドメをさしてやる」
『...っ』
あと一勝。それが手に入れば勝てるのに?あとひとつ。それがこんなにも、苦しくて遠い。
メタさんもチルさんも、エネさんも皆。みんなこんなに頑張ったのに。ここで終わってしまうんでしょうか。
やっぱり私には、最初から...
「ユカ!」
『へ...っ、ちょ、えぇっ?サトシさん...!?どうしていつの間に隣に...っ』
「おい...お前ら常識がないのもいい加減にしろ。バトル中に部外者が立っていい場所では、」
「諦めるな、最後の最後まで!皆お前の事を信じてここまで頑張ったんだ。お前がそれに応えないでどうするんだよ!」
『本当に...いつの間に、隣に来てたんです...?』
「気が付かないぐらいに、集中してたんだろ。それに言ったじゃないか。いつでも隣に居るって。楽しいって思える事を一緒に見せてやりたいから」
そう言って肩を握る手は、真剣な気持ちがそのまま伝わるぐらいに力強かったです。
ふとバトルフィールドに目を向ければ、満身創痍でボロボロなエネさんの姿。それでも、シャンとして対戦相手を見据えていて...凄く、格好いいです。その姿は今隣に居る彼を彷彿とさせます。
...そう。サトシさんのバトルは。いつだって。これでもかというぐらいに食らいついて。最後の最後まで...
『本当...ボロボロです。何もかも。だったらいっそ...』
「もういい。終わらせてやるから好きにやってろ。エレキッド、とどめだ!かみなり!」
『エネさん、ありったけのスピードスターを相手の足元へぶつけて下さい!』
かみなりの閃光と、スピードスターで舞い上がった砂ぼこりで思わず目を閉じてしまいました。
多分お互いがありったけの力を込めた技をくり出したのだと思います。これで多分...勝負は決まる。
結果、どうなったのか。それを待つ時間がやたら長くて。乾いた地面に何かがドサリと倒れる音が、物凄く大きく響いたように感じました。
「エネコ、戦闘不能!」
『エネさん...っ!』
「ふん、当然の結果...。...なんだ...?」
「よって勝者は...!」
審判の判定が下されようとしたその瞬間でした。一番最初に異変に気が付いたのはシンジさんだと思います。
フィールドもボロボロなら、いっそ壊してしまえばいい。そう思い立って エレキさんの足元に作った大きな亀裂が、割れて。大きな雪崩のようになって落ちていき...そして。
「ねぇ...タケシ。シンジのエレキッドも、もう戦えないんじゃないの?」
「あぁ...土壇場で、エネコがフィールドを崩してそれがダメージに繋がったんだろう」
「もう判定が出る所でこうなった場合って...勝負は、どうなるの?」
「それは...」
最終的に決めるのは、やはり審判員の役をかってでたヒョウタさんにかかっているのでしょう。
予想外な事が起きて驚いたのか、判定をしようと上げた腕がそのまま固まってしまっています。
けれど視線を集めている事に、すぐに気が付いたようです。止まってしまっていた言葉が、結果が。いよいよ下されるようです。
最後の三戦目の相手としてバトルスタンバイされたのは、シンジさんが最も信頼を寄せているであろうエレキさん。
先程のグマさんとは正反対の、小柄なタイプなのですが。ジム戦で拝見した限り、パワーもかなりありそうです。そのくせ、スピードの方も申し分なくて...。
何が言いたいのかというと。今現在、私こと早瀬は物凄い苦戦を強いられていました。
「エレキッド、かわらわりだ!」
『エネさん、たいあたりで相殺を...っ!え!?』
「ビビーッ!」
「ニァ...っ」
『エネさん!』
「技の相性も把握していないのか。それとも、自分のペース配分を考えなかったせいで指示がおろそかになっているのか?どちらにせよ、想像したよりも使えない奴だ。早々に終わらせてもらうぞ!」
『あ...!』
*
「ねぇ、タケシ。技の相性ってどういう事なの?」
「おそらく、ポケモンのタイプによる弱点の事を言っているんだろうな。例えばユカのエネコはノーマルタイプだが、かくとうタイプの技が大ダメージに繋がりやすい弱点を持っているんだ」
「じゃぁさっきのかわらわりっていう技って、もしかして...!」
「あぁ。かくとうタイプに分類される技だ。十中八九、シンジはそれを理解して指示をしているんだろうな」
「シンジの奴...っ!」
「おい、落ち着けサトシ。確かに新人トレーナーに対して大人げないとは思うが...」
「それだけじゃない。何であんなに、ユカを追い詰めるような事ばっかり言うんだよ!俺がユカに知って欲しかったバトルは、こんなんじゃ...!」
「サトシ...気持ちは分かるが、」
「サトシ、タケシ!エネコが!」
*
『エネさん!?エネさん、無事ですか!』
「ニァ...!」
「技をくらう前に穴へ落ちて避けたか...そんな子供だましが何度も通用すると思うな。次でトドメをさしてやる」
『...っ』
あと一勝。それが手に入れば勝てるのに?あとひとつ。それがこんなにも、苦しくて遠い。
メタさんもチルさんも、エネさんも皆。みんなこんなに頑張ったのに。ここで終わってしまうんでしょうか。
やっぱり私には、最初から...
「ユカ!」
『へ...っ、ちょ、えぇっ?サトシさん...!?どうしていつの間に隣に...っ』
「おい...お前ら常識がないのもいい加減にしろ。バトル中に部外者が立っていい場所では、」
「諦めるな、最後の最後まで!皆お前の事を信じてここまで頑張ったんだ。お前がそれに応えないでどうするんだよ!」
『本当に...いつの間に、隣に来てたんです...?』
「気が付かないぐらいに、集中してたんだろ。それに言ったじゃないか。いつでも隣に居るって。楽しいって思える事を一緒に見せてやりたいから」
そう言って肩を握る手は、真剣な気持ちがそのまま伝わるぐらいに力強かったです。
ふとバトルフィールドに目を向ければ、満身創痍でボロボロなエネさんの姿。それでも、シャンとして対戦相手を見据えていて...凄く、格好いいです。その姿は今隣に居る彼を彷彿とさせます。
...そう。サトシさんのバトルは。いつだって。これでもかというぐらいに食らいついて。最後の最後まで...
『本当...ボロボロです。何もかも。だったらいっそ...』
「もういい。終わらせてやるから好きにやってろ。エレキッド、とどめだ!かみなり!」
『エネさん、ありったけのスピードスターを相手の足元へぶつけて下さい!』
かみなりの閃光と、スピードスターで舞い上がった砂ぼこりで思わず目を閉じてしまいました。
多分お互いがありったけの力を込めた技をくり出したのだと思います。これで多分...勝負は決まる。
結果、どうなったのか。それを待つ時間がやたら長くて。乾いた地面に何かがドサリと倒れる音が、物凄く大きく響いたように感じました。
「エネコ、戦闘不能!」
『エネさん...っ!』
「ふん、当然の結果...。...なんだ...?」
「よって勝者は...!」
審判の判定が下されようとしたその瞬間でした。一番最初に異変に気が付いたのはシンジさんだと思います。
フィールドもボロボロなら、いっそ壊してしまえばいい。そう思い立って エレキさんの足元に作った大きな亀裂が、割れて。大きな雪崩のようになって落ちていき...そして。
「ねぇ...タケシ。シンジのエレキッドも、もう戦えないんじゃないの?」
「あぁ...土壇場で、エネコがフィールドを崩してそれがダメージに繋がったんだろう」
「もう判定が出る所でこうなった場合って...勝負は、どうなるの?」
「それは...」
最終的に決めるのは、やはり審判員の役をかってでたヒョウタさんにかかっているのでしょう。
予想外な事が起きて驚いたのか、判定をしようと上げた腕がそのまま固まってしまっています。
けれど視線を集めている事に、すぐに気が付いたようです。止まってしまっていた言葉が、結果が。いよいよ下されるようです。