クロガネの街で
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(それでも立ち向かえるのは、-中-)
「リングマ、バトルスタンバイ!」
『そのデカグマさんは、あの時の...』
「お前のそのネーミングセンスはどうにかならないのか...」
2戦目の相手は、確かおヒコさんの特訓している時に一緒にいたポケモンでした。
先程のシンジさんのジム戦では、そのポケモンの出番は見られなかったのですが...。大柄で、その体格からしてかなりのパワーがありそうです。
『私の...私の、2番目のポケモンは...』
「ユカ、なかなか次のポケモンを出さないけど...どうしたのかしら」
「多分悩んでるんだ。次に出すポケモンはチルットにするって言ってたから...」
「成る程な。チルットの性格を考慮して、プレッシャーが一番少ないであろう真ん中に順番を持ってこようとしたのか」
「そうは言うけどさ、タケシ。リングマ相手だと一方的になっちゃいそうで、どっち道チルットにプレッシャーになるんじゃ...」
「何言ってるんだよ、ヒカリ。だから悩んでるんだろ、ユカは」
「「(というか、さっきの作戦会議で話聞いてたんだ...)」」
「ユカちゃん、そろそろ次のポケモンを...」
『勝つ必要はありません』
「はぁ...?急に何を言い出すんだ。お前は。何の為のバトルだと...」
『実際問題、生きていく中で敢えてこんな不利な戦いに立ち向かう必要は無いです。だからプレッシャーなんて感じなくていいんです。
ただ...。このバトルは私が君の良い所を存分に生かす事が出来れば、十分に活路は開ける筈なんです。...大丈夫。一人じゃないですから。行ってくれますか?チルさん』
「...チル...ッ」
フィールドに入り、対戦相手と向かい合う。それだけでも、チルさんにとってはどれだけ敷居が高かったのでしょう。
けれどそれをこなしてくれたから、取り敢えずは第一関門は突破です。あとは...上手く誘導できるかにかかっています。チルさんも勿論そうなのですが。対戦相手の動きも重要になりそうですね。
「ニァ」
『心臓がそろそろ過労死しそうです、エネさん。けど...』
「そんなポケモンが対等に戦えるものか見物だな。リングマ、ひっかく攻撃ではね飛ばせ!」
『そうも言ってられないですね...っ。チルさん、落ち着いて!風の流れに乗って飛んで下さい!』
「チ、チル...ッ」
まともに戦り合っても、体格の差でチルさんの攻撃はダメージに繋がらない事なんて重々承知です。
なので周りを上手く利用できるかどうかが、勝敗のカギになるでしょう。このフィールドは、岩が多くて地面も乾いているから砂ぼこりが立ちやすいみたいです。だったら...。
「的が小さい分、攻撃の風圧で逃れられたか。リングマ、アームハンマーだ!」
『チルさん、岩影に隠れて避けて下さい!』
「チル...ッ」
「ならば周りの隠れる場所をアームハンマーで叩き壊せ!」
「グマー!」
「チ、チル...ッ」
『大丈夫です、チルさん!そのまま隠れる所が出来る場所へどんどん移って行って下さい!』
相手の迫力に気圧されてしまっているけれど、チルさんはちゃんと指示に従って避け続けてくれています。
圧倒的な力の差で優位に立っているおかげか、シンジさんは積極的に攻撃を仕掛けて来ますね。
これでフィールドが変化していっている事に失念してくれていれば、このまま上手くいけそうですけど...。
「ちょこまかと...!リングマ、もう一度...!」
「グマ...っ?」
『......』
「これは...っ」
派手な攻撃の連続で、辺りはすっかり砂ぼこりが立ってしまっている事に気付いてしまったようですが。
小柄なチルさんが身を隠すには、既に充分過ぎる時間をいただきました。
『チルさん、今です!みだれづき!』
「チルチル!」
「グマ...っ」
「ちっ!だが小さい的が接触してきたのは好都合だ!リングマ、きあいだま!」
「チルゥ...ッ!」
『チルさん!』
ジム戦で彼のバトルスタイルは拝見して分かっていたつもりでしたけど。多少攻撃をくらっても、動揺しませんね。彼は。
それどころか、ダメージを受けたのが逆に好機とすかさず判断して次の指示に移れるのが凄いです。
油断させて動揺させるつもりが、アテが外れました。むしろ私の方が動揺してます。
あんなに体格差がある相手に一撃くらっただけで、チルさんにとっては大ダメージな筈。次をくらったら...。
「ふん。所詮こんなものか。リングマ、もう一度きあいだまだ!」
『...っ!チルさん、下に避けて!』
「グマーっ!!」
「ち、チル...っ」
グマさんの攻撃が炸裂すると、また砂ぼこりが辺りを包みました。体が大きい分、本当に攻撃が大味ですね...。
チルさんは既に大ダメージを負ってるので、上手くかわせたかどうか確認出来ませんけど...。でも、指示通りに動けていたのなら。
「...やったか?」
『...チルさん、もう一度です!もう一度、みだれづきを!』
「チルッ!」
「グマァ...ッ!」
「ヒコザルが掘った穴を通って上手く逃れたか...っ。だがこれで終わりだ!リングマ、アームハンマー!」
『...!』
チルさんが弧を描くように吹っ飛ばされて間もなく戦闘不能の審判が下ったのと、私がチルさんの名前を叫んで駆け寄ったのは同時のタイミングだったようです。シンジさんのいさめる声が飛んできました。
「おい、バトル中にフィールドへ入るな。そんな事も知らないのか」
『で、でも、チルさんが...っ!』
「そんなにその弱いポケモンが心配なら、さっさとボールへ戻せ」
『でもっ、せめて手当てをしなきゃ、このままだと危ないんじゃ...っ!』
「ユカちゃん、ボールの中はポケモンが休める環境になっているから大丈夫だよ。心配なら、彼の言う通り早くボールへ戻してあげた方がいい」
『え...ヒョウタさ、』
「さぁ」
『は、はい...っ』
かなり動揺していたんでしょうか。いつの間にかヒョウタさんが隣にいた事に、全く気が付きませんでした。
まだ気持ちがおさまらなくて、手が震えてしまいましたけど。ヒョウタさんが焦点が定まらない腕を支えてくれたので、何とかチルさんをボールの中へ戻すことが出来ました。
『チルさん...フィールドに立つのさえ怖かった、ですよね。ありがとうございます』
「いかにもプレッシャーに弱そうなポケモンだったな。バトルの中盤で持ってくると思った」
『...!手持ちが少ない分、お見通し、だったんですね』
「戦略は、新人にしては悪くない。何処かの行き当たりばったりの馬鹿よりはな。だがダメージに繋がらなければ意味がない。そのポケモンは、やはり使えな...」
『それはっ。...それは、バトルを最後までやってから言って、下さい』
「何...?」
シンジさんお決まりの台詞を宣告されてしまう前に、とっさに遮ってしまいました。
元々目付きが悪いのに更に睨まれてしまって。えぇ。正直に言わなくとも怖いです。
でも、どうしても納得がいかなかったのです。確かにチルさんは、結果を出せなかったかもしれませんけど。
『道は、繋いでくれましたから』
「次でお前の手持ちは最後だな。小柄なポケモンは攻撃がどうしても軽くなりがちだ。そのエネコでリングマ相手に勝てるものならやってみろ」
『や、やっぱりグマさんを選んだのはバトルを有利に進める為...っですか』
「相手がどれ程弱い新人だろうが、手は抜かない。それがバトルに対する礼儀だろ」
『今にその無駄に大きなグマさんを地にひれ伏させて言ってもらいますからね!ギャフンとか。ゲフンとか!』
「とりあえずその残念すぎるネーミングといい、ボキャブラリー辺りから何とかしろ」
「あの...。とりあえずユカちゃん、フィールドから出ようか?バトル中に入るのは、確かに好ましくないから...」
『すすっ、すみません...っ』
「はっ」
『~っ!』
いつまでもバトルフィールドに突っ立ってたら、ヒョウタさんにまでもやんわりといさめられてしまうという何たるミステイク。
その様子を見て鼻ひとつで笑い飛ばしやがったシンジさんには、ヤローてめー絶対ぶっ飛ばすと殺気めいたものが芽生えた瞬間でした。
「ニァ...」
『分かってます...いやほんと、分かってますってば。吹っ飛ばすのはグマさんの方です』
「ニァー」
『エネさんは落ち着いた性格かと思う一方で、バトルになると積極的になるからリキまないか少し心配ですけど...。でも、君が一番最初のパートナーですから。頼りにしているんです。
チルさん、善戦してくれた上に頑張って土台まで作っていってくれましたから...作戦通りに』
「ニァ!」
『それじゃぁ...いきましょうか』
「リングマ、バトルスタンバイ!」
『そのデカグマさんは、あの時の...』
「お前のそのネーミングセンスはどうにかならないのか...」
2戦目の相手は、確かおヒコさんの特訓している時に一緒にいたポケモンでした。
先程のシンジさんのジム戦では、そのポケモンの出番は見られなかったのですが...。大柄で、その体格からしてかなりのパワーがありそうです。
『私の...私の、2番目のポケモンは...』
*
「ユカ、なかなか次のポケモンを出さないけど...どうしたのかしら」
「多分悩んでるんだ。次に出すポケモンはチルットにするって言ってたから...」
「成る程な。チルットの性格を考慮して、プレッシャーが一番少ないであろう真ん中に順番を持ってこようとしたのか」
「そうは言うけどさ、タケシ。リングマ相手だと一方的になっちゃいそうで、どっち道チルットにプレッシャーになるんじゃ...」
「何言ってるんだよ、ヒカリ。だから悩んでるんだろ、ユカは」
「「(というか、さっきの作戦会議で話聞いてたんだ...)」」
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「ユカちゃん、そろそろ次のポケモンを...」
『勝つ必要はありません』
「はぁ...?急に何を言い出すんだ。お前は。何の為のバトルだと...」
『実際問題、生きていく中で敢えてこんな不利な戦いに立ち向かう必要は無いです。だからプレッシャーなんて感じなくていいんです。
ただ...。このバトルは私が君の良い所を存分に生かす事が出来れば、十分に活路は開ける筈なんです。...大丈夫。一人じゃないですから。行ってくれますか?チルさん』
「...チル...ッ」
フィールドに入り、対戦相手と向かい合う。それだけでも、チルさんにとってはどれだけ敷居が高かったのでしょう。
けれどそれをこなしてくれたから、取り敢えずは第一関門は突破です。あとは...上手く誘導できるかにかかっています。チルさんも勿論そうなのですが。対戦相手の動きも重要になりそうですね。
「ニァ」
『心臓がそろそろ過労死しそうです、エネさん。けど...』
「そんなポケモンが対等に戦えるものか見物だな。リングマ、ひっかく攻撃ではね飛ばせ!」
『そうも言ってられないですね...っ。チルさん、落ち着いて!風の流れに乗って飛んで下さい!』
「チ、チル...ッ」
まともに戦り合っても、体格の差でチルさんの攻撃はダメージに繋がらない事なんて重々承知です。
なので周りを上手く利用できるかどうかが、勝敗のカギになるでしょう。このフィールドは、岩が多くて地面も乾いているから砂ぼこりが立ちやすいみたいです。だったら...。
「的が小さい分、攻撃の風圧で逃れられたか。リングマ、アームハンマーだ!」
『チルさん、岩影に隠れて避けて下さい!』
「チル...ッ」
「ならば周りの隠れる場所をアームハンマーで叩き壊せ!」
「グマー!」
「チ、チル...ッ」
『大丈夫です、チルさん!そのまま隠れる所が出来る場所へどんどん移って行って下さい!』
相手の迫力に気圧されてしまっているけれど、チルさんはちゃんと指示に従って避け続けてくれています。
圧倒的な力の差で優位に立っているおかげか、シンジさんは積極的に攻撃を仕掛けて来ますね。
これでフィールドが変化していっている事に失念してくれていれば、このまま上手くいけそうですけど...。
「ちょこまかと...!リングマ、もう一度...!」
「グマ...っ?」
『......』
「これは...っ」
派手な攻撃の連続で、辺りはすっかり砂ぼこりが立ってしまっている事に気付いてしまったようですが。
小柄なチルさんが身を隠すには、既に充分過ぎる時間をいただきました。
『チルさん、今です!みだれづき!』
「チルチル!」
「グマ...っ」
「ちっ!だが小さい的が接触してきたのは好都合だ!リングマ、きあいだま!」
「チルゥ...ッ!」
『チルさん!』
ジム戦で彼のバトルスタイルは拝見して分かっていたつもりでしたけど。多少攻撃をくらっても、動揺しませんね。彼は。
それどころか、ダメージを受けたのが逆に好機とすかさず判断して次の指示に移れるのが凄いです。
油断させて動揺させるつもりが、アテが外れました。むしろ私の方が動揺してます。
あんなに体格差がある相手に一撃くらっただけで、チルさんにとっては大ダメージな筈。次をくらったら...。
「ふん。所詮こんなものか。リングマ、もう一度きあいだまだ!」
『...っ!チルさん、下に避けて!』
「グマーっ!!」
「ち、チル...っ」
グマさんの攻撃が炸裂すると、また砂ぼこりが辺りを包みました。体が大きい分、本当に攻撃が大味ですね...。
チルさんは既に大ダメージを負ってるので、上手くかわせたかどうか確認出来ませんけど...。でも、指示通りに動けていたのなら。
「...やったか?」
『...チルさん、もう一度です!もう一度、みだれづきを!』
「チルッ!」
「グマァ...ッ!」
「ヒコザルが掘った穴を通って上手く逃れたか...っ。だがこれで終わりだ!リングマ、アームハンマー!」
『...!』
チルさんが弧を描くように吹っ飛ばされて間もなく戦闘不能の審判が下ったのと、私がチルさんの名前を叫んで駆け寄ったのは同時のタイミングだったようです。シンジさんのいさめる声が飛んできました。
「おい、バトル中にフィールドへ入るな。そんな事も知らないのか」
『で、でも、チルさんが...っ!』
「そんなにその弱いポケモンが心配なら、さっさとボールへ戻せ」
『でもっ、せめて手当てをしなきゃ、このままだと危ないんじゃ...っ!』
「ユカちゃん、ボールの中はポケモンが休める環境になっているから大丈夫だよ。心配なら、彼の言う通り早くボールへ戻してあげた方がいい」
『え...ヒョウタさ、』
「さぁ」
『は、はい...っ』
かなり動揺していたんでしょうか。いつの間にかヒョウタさんが隣にいた事に、全く気が付きませんでした。
まだ気持ちがおさまらなくて、手が震えてしまいましたけど。ヒョウタさんが焦点が定まらない腕を支えてくれたので、何とかチルさんをボールの中へ戻すことが出来ました。
『チルさん...フィールドに立つのさえ怖かった、ですよね。ありがとうございます』
「いかにもプレッシャーに弱そうなポケモンだったな。バトルの中盤で持ってくると思った」
『...!手持ちが少ない分、お見通し、だったんですね』
「戦略は、新人にしては悪くない。何処かの行き当たりばったりの馬鹿よりはな。だがダメージに繋がらなければ意味がない。そのポケモンは、やはり使えな...」
『それはっ。...それは、バトルを最後までやってから言って、下さい』
「何...?」
シンジさんお決まりの台詞を宣告されてしまう前に、とっさに遮ってしまいました。
元々目付きが悪いのに更に睨まれてしまって。えぇ。正直に言わなくとも怖いです。
でも、どうしても納得がいかなかったのです。確かにチルさんは、結果を出せなかったかもしれませんけど。
『道は、繋いでくれましたから』
「次でお前の手持ちは最後だな。小柄なポケモンは攻撃がどうしても軽くなりがちだ。そのエネコでリングマ相手に勝てるものならやってみろ」
『や、やっぱりグマさんを選んだのはバトルを有利に進める為...っですか』
「相手がどれ程弱い新人だろうが、手は抜かない。それがバトルに対する礼儀だろ」
『今にその無駄に大きなグマさんを地にひれ伏させて言ってもらいますからね!ギャフンとか。ゲフンとか!』
「とりあえずその残念すぎるネーミングといい、ボキャブラリー辺りから何とかしろ」
「あの...。とりあえずユカちゃん、フィールドから出ようか?バトル中に入るのは、確かに好ましくないから...」
『すすっ、すみません...っ』
「はっ」
『~っ!』
いつまでもバトルフィールドに突っ立ってたら、ヒョウタさんにまでもやんわりといさめられてしまうという何たるミステイク。
その様子を見て鼻ひとつで笑い飛ばしやがったシンジさんには、ヤローてめー絶対ぶっ飛ばすと殺気めいたものが芽生えた瞬間でした。
「ニァ...」
『分かってます...いやほんと、分かってますってば。吹っ飛ばすのはグマさんの方です』
「ニァー」
『エネさんは落ち着いた性格かと思う一方で、バトルになると積極的になるからリキまないか少し心配ですけど...。でも、君が一番最初のパートナーですから。頼りにしているんです。
チルさん、善戦してくれた上に頑張って土台まで作っていってくれましたから...作戦通りに』
「ニァ!」
『それじゃぁ...いきましょうか』