クロガネの街で
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(それでも立ち向かえるのは、-前-)
言葉のキャッチボールがままならなかった作戦会議を終えて。遂にバトルを始めようかという流れになった時。
審判をかって出てくれた人は、意外にもヒョウタさんでした。
「いいんですか」
「あぁ。構わないとも、シンジ君。このバトルに僕は興味があるからね。一番近くで拝見させてもらうよ」
『え、えと。お、お願いします?』
「宜しく。えっと...」
『あ、えと。由香です』
「ユカちゃんは、新人トレーナーだよね。初めてのバトルは、忘れがちな初心を思い出させてくれるからね。勉強させてもらうよ。それに...シンジ君が君の何に興味を持っているのか、少し気になってね。期待してるよ」
『は...』
掛けられる全ての言葉がプレッシャーとなって、何かもう、体が勝手に震えます。ガタガタするせいか、上手く力も入らないし。しかも相手はシンジさん。
ヤバい。今すぐ逃げ出したい。
「ユカーっ!」
『っ!さと、しさん』
「頑張れよー!」
「パートナーも一緒なんだからっ。大丈夫だいじょーぶ!」
「あんまり気負うなよー」
「ニィーアっ」
「ふふっ。ユカちゃんは、心強い仲間達が...パートナーが付いているんだね」
『...はい』
バトルとか、コンテストバトルといい。どうしてこんなやたら緊張するものに挑んでいけるのか。ずっと疑問でしたけど。
ふと足元に視線を落とせば、エネさんが寄り添うように隣にいてくれました。...謎だった答えが、何となく分かったような気がします。
初めてのコンテストバトルで、不安でいっぱいだったヒカリさんも。意気込みすぎて空回りしてしまうサトシさんも。一緒に、頑張ってくれる存在がいるからこそ...。
「使用ポケモンは3体。先に2勝したほうが勝ち。ポケモンの交代はあり。...それじゃぁ、始めようか」
「ヒコザル、バトルスタンバイ!」
『最初は、おヒコさんですか...』
「おい...何だその気が抜けるネーミングは」
何気にシンジさんが突っ込みを入れるという貴重な呟きが耳に届いたような気がしますが。今は全てスルーです。余裕なんて微塵もありません。
何故ならばこの場で頼れるのは自分の判断力だけだから。...でも。
「ニィーアっ」
『...そうですね。一緒に頑張れるのなら、怖さも半減です』
「ニァ!」
『それじゃぁ...行きます!最初は君です、メタさん!』
「メターモ~ン」
「一番手できたな...そいつの力、見極めさせてもらう!ヒコザル、火炎ぐるまだ!」
『!メタさんへんしんを!そのまま火炎ぐるまで突っ込んで!』
「ヒコーっ!」
「メター...モーン!」
『ひゃ...っ!』
「いきなり激しいぶつかりあいだな...!熱風がお互いのトレーナーに届いているんじゃないか?」
「ヒコザルはジム戦でかなり体力を消耗してる筈なのに、いきなりあんなにとばすなんて...シンジの奴!」
「サトシの気持ちも分かるけど...ユカの事も心配だよ。初めてのバトルなのに、いきなりこんな...」
「大丈夫さ、ユカなら」
「でも、前にバトルは怖じ気づいちゃいそうだって...」
「まだ少ししか一緒に過ごしてないけど。アイツは、自分で一度決めたことを最後までやり遂げられる奴だと思う。だから大丈夫」
「サトシ...」
「これだからリア充は...」
「うんタケシちょっと黙ろうか」
「ヒコ...っ」
「ふん...体力が削られた分、力で押し負けたか。だが。見た技をそのまま返すサル真似がいつまでも続けられると思うな!ヒコザル!あなをほるだ!」
「ヒコっ!」
『...っ。姿が見えなくなって...!』
「メター...?」
『ど、どうしよう。何処から...さっきのジム戦では、確か...』
「今だヒコザル!」
「ヒコーっ!」
「メタ...っ!」
『メタさん!』
初心者はどうしても、次の攻撃へ移る動作がワンテンポ遅れがちになりやすい。以前ノゾミさんがヒカリさんへアドバイスをしていた際、そんな話を耳にしました。
今その圧倒的な経験値不足のせいでメタさんが吹っ飛ばされてしまったのが、歯がゆくてもどかしいです。
どうしたら...どうしたらこの状況を打破できるのか。シンジさんはきっとまた同じ技を繰り出す筈。
相手の特性を把握して、確実に弱点を突く。そういうバトルをする人だというのは、さっきのジム戦でよく分かりましたから。
「飛ばされてもまだ変身を維持出来るか...相当タフだな」
『...タフ?』
「ならば倒れるまで攻撃するまでだ。ヒコザル!もう一度あなをほる!」
「ヒッコー!」
「メタ...っ」
『メタさん!その場で構えて!』
「メター?」
『メタメタ言ってる暇があったらさっさと構えんかい!!』
必死になるあまり、敬語どころか喧嘩腰口調になったような気がしないでもないのですが。
マイペースな王様メタさんは特に気にする様子もなく、指示の通りに動いてくれました。
あなをほる攻撃は、何処から出てくるのか分からないので心理的に不安になりがちですけど。
冷静に考えれば、攻撃の一種なんですから。必ず何処からか接触してくる筈なんです。だったら。
「いけ!」
『メタさん、おヒコさんを確保です!』
「メタ!」
「ヒコっ?」
「何...っ!?あなをほる攻撃ごと、ヒコザルを受け止めたのか!」
『攻撃に堪えきれなくて宙に浮いてしまいました...が、関係ありません!そのまま火炎ぐるまを!』
「...!」
『あっ、え、ちょっ、メタさん着地点は考えて...!』
気が付いた時には、既に時遅し。
メタさんはおヒコさんを確保したまま火炎ぐるまで突っ込んで行ってしまわれました。そう。
おヒコさんが先程掘った穴の中に。
技を上手く決められたと思ったら、何ですこの外した感。というか、穴に入れたのある意味凄いな。
『砂ぼこりでよく見えないです...どうなったんでしょうか...』
「...」
「ヒコザル、メタモン、両者戦闘不能!」
「おい...次に会うまでにそいつの間抜け面を何とかしろと言っただろうが...」
『やっ、約束は、してません...っ。というか、それ大分無茶難題だって分かって言ってますよね?絶対』
「チッ」
第一戦目の審判が下って、シンジさんは何やら文句?をブツブツ言いながらおヒコさんをボールに戻していました。
これは、あれです。のほほん面ポケモンと互角の結果が許せなかったのでしょう。分からないでもないですけど...。
『...はー...』
「ニーァ」
『エネさん...』
緊張の連続が物凄い勢いで全身を襲ってきて、震えは今だ治まりません。けれどバトルはやっと一戦目を終えたばかり。こんなんで私、最後まで持つのでしょうか...?
言葉のキャッチボールがままならなかった作戦会議を終えて。遂にバトルを始めようかという流れになった時。
審判をかって出てくれた人は、意外にもヒョウタさんでした。
「いいんですか」
「あぁ。構わないとも、シンジ君。このバトルに僕は興味があるからね。一番近くで拝見させてもらうよ」
『え、えと。お、お願いします?』
「宜しく。えっと...」
『あ、えと。由香です』
「ユカちゃんは、新人トレーナーだよね。初めてのバトルは、忘れがちな初心を思い出させてくれるからね。勉強させてもらうよ。それに...シンジ君が君の何に興味を持っているのか、少し気になってね。期待してるよ」
『は...』
掛けられる全ての言葉がプレッシャーとなって、何かもう、体が勝手に震えます。ガタガタするせいか、上手く力も入らないし。しかも相手はシンジさん。
ヤバい。今すぐ逃げ出したい。
「ユカーっ!」
『っ!さと、しさん』
「頑張れよー!」
「パートナーも一緒なんだからっ。大丈夫だいじょーぶ!」
「あんまり気負うなよー」
「ニィーアっ」
「ふふっ。ユカちゃんは、心強い仲間達が...パートナーが付いているんだね」
『...はい』
バトルとか、コンテストバトルといい。どうしてこんなやたら緊張するものに挑んでいけるのか。ずっと疑問でしたけど。
ふと足元に視線を落とせば、エネさんが寄り添うように隣にいてくれました。...謎だった答えが、何となく分かったような気がします。
初めてのコンテストバトルで、不安でいっぱいだったヒカリさんも。意気込みすぎて空回りしてしまうサトシさんも。一緒に、頑張ってくれる存在がいるからこそ...。
「使用ポケモンは3体。先に2勝したほうが勝ち。ポケモンの交代はあり。...それじゃぁ、始めようか」
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「ヒコザル、バトルスタンバイ!」
『最初は、おヒコさんですか...』
「おい...何だその気が抜けるネーミングは」
何気にシンジさんが突っ込みを入れるという貴重な呟きが耳に届いたような気がしますが。今は全てスルーです。余裕なんて微塵もありません。
何故ならばこの場で頼れるのは自分の判断力だけだから。...でも。
「ニィーアっ」
『...そうですね。一緒に頑張れるのなら、怖さも半減です』
「ニァ!」
『それじゃぁ...行きます!最初は君です、メタさん!』
「メターモ~ン」
「一番手できたな...そいつの力、見極めさせてもらう!ヒコザル、火炎ぐるまだ!」
『!メタさんへんしんを!そのまま火炎ぐるまで突っ込んで!』
「ヒコーっ!」
「メター...モーン!」
『ひゃ...っ!』
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「いきなり激しいぶつかりあいだな...!熱風がお互いのトレーナーに届いているんじゃないか?」
「ヒコザルはジム戦でかなり体力を消耗してる筈なのに、いきなりあんなにとばすなんて...シンジの奴!」
「サトシの気持ちも分かるけど...ユカの事も心配だよ。初めてのバトルなのに、いきなりこんな...」
「大丈夫さ、ユカなら」
「でも、前にバトルは怖じ気づいちゃいそうだって...」
「まだ少ししか一緒に過ごしてないけど。アイツは、自分で一度決めたことを最後までやり遂げられる奴だと思う。だから大丈夫」
「サトシ...」
「これだからリア充は...」
「うんタケシちょっと黙ろうか」
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「ヒコ...っ」
「ふん...体力が削られた分、力で押し負けたか。だが。見た技をそのまま返すサル真似がいつまでも続けられると思うな!ヒコザル!あなをほるだ!」
「ヒコっ!」
『...っ。姿が見えなくなって...!』
「メター...?」
『ど、どうしよう。何処から...さっきのジム戦では、確か...』
「今だヒコザル!」
「ヒコーっ!」
「メタ...っ!」
『メタさん!』
初心者はどうしても、次の攻撃へ移る動作がワンテンポ遅れがちになりやすい。以前ノゾミさんがヒカリさんへアドバイスをしていた際、そんな話を耳にしました。
今その圧倒的な経験値不足のせいでメタさんが吹っ飛ばされてしまったのが、歯がゆくてもどかしいです。
どうしたら...どうしたらこの状況を打破できるのか。シンジさんはきっとまた同じ技を繰り出す筈。
相手の特性を把握して、確実に弱点を突く。そういうバトルをする人だというのは、さっきのジム戦でよく分かりましたから。
「飛ばされてもまだ変身を維持出来るか...相当タフだな」
『...タフ?』
「ならば倒れるまで攻撃するまでだ。ヒコザル!もう一度あなをほる!」
「ヒッコー!」
「メタ...っ」
『メタさん!その場で構えて!』
「メター?」
『メタメタ言ってる暇があったらさっさと構えんかい!!』
必死になるあまり、敬語どころか喧嘩腰口調になったような気がしないでもないのですが。
マイペースな王様メタさんは特に気にする様子もなく、指示の通りに動いてくれました。
あなをほる攻撃は、何処から出てくるのか分からないので心理的に不安になりがちですけど。
冷静に考えれば、攻撃の一種なんですから。必ず何処からか接触してくる筈なんです。だったら。
「いけ!」
『メタさん、おヒコさんを確保です!』
「メタ!」
「ヒコっ?」
「何...っ!?あなをほる攻撃ごと、ヒコザルを受け止めたのか!」
『攻撃に堪えきれなくて宙に浮いてしまいました...が、関係ありません!そのまま火炎ぐるまを!』
「...!」
『あっ、え、ちょっ、メタさん着地点は考えて...!』
気が付いた時には、既に時遅し。
メタさんはおヒコさんを確保したまま火炎ぐるまで突っ込んで行ってしまわれました。そう。
おヒコさんが先程掘った穴の中に。
技を上手く決められたと思ったら、何ですこの外した感。というか、穴に入れたのある意味凄いな。
『砂ぼこりでよく見えないです...どうなったんでしょうか...』
「...」
「ヒコザル、メタモン、両者戦闘不能!」
「おい...次に会うまでにそいつの間抜け面を何とかしろと言っただろうが...」
『やっ、約束は、してません...っ。というか、それ大分無茶難題だって分かって言ってますよね?絶対』
「チッ」
第一戦目の審判が下って、シンジさんは何やら文句?をブツブツ言いながらおヒコさんをボールに戻していました。
これは、あれです。のほほん面ポケモンと互角の結果が許せなかったのでしょう。分からないでもないですけど...。
『...はー...』
「ニーァ」
『エネさん...』
緊張の連続が物凄い勢いで全身を襲ってきて、震えは今だ治まりません。けれどバトルはやっと一戦目を終えたばかり。こんなんで私、最後まで持つのでしょうか...?