世は情け
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(未発達な気持ち)
「ふんっ」
『す、すご...っ!グレッグさん、氷の塊をあっという間に砕いちゃいました...』
「ニァ...」
「けっ」
あまりのとんでも展開に、どうすればいいか分からずに立ち尽くしていると。
何処からかタケシさんが最近ゲットしたグレッグルさんが登場して、現状をあっという間に打破してくれました。
そして。
『サトシさんが強引にミミロルさんをゲットしようとしたら、ミミロルさんがぶちギレて冷凍ビームを乱射。その後、ピカさんと愛の逃避行...!?』
「つまりはそういう事だ!」
どういう事だよ。
威張ってドヤ顔すんなや糸目が。脳内花畑状態なこの人の説明じゃ、何一つ展開が理解出来ないわボケが。失礼。心の中の暴言は通常運転でございます。
『つまりは、ヒカリさんのゲットしようとしたポケモンとピカさんが居なくなっちゃったって事ですよね』
「そうなの!何でかはよく分からないんだけど、ミミロルがピカチュウの事好きになっちゃったみたいで...!」
「まだそんなに遠くには行っていない筈だ。急いで探そう」
「ちょっと待ってくれ!」
「どうしたの?サトシ。タケシの言う通り、早く探すべきじゃ...」
「ユカ、足はどうなんだ」
『へっ?あ、えと、はい。その。大丈夫ですから、早く追いかけ...』
「本当なら俺の顔を見て言えよ」
『う...、そ、その。まだ行けますからだいじょう...』
「......」
チラリと伺うようにして見たサトシさんの顔はそれはもう。無言の圧力が。包み隠さず言えと言わんばかりの眼力が。
何この人、さっきポケモンゲットしようと躍起になってた人と本当に同一人物なんですか...!?
『...少しだけ、包帯がずれた感じがするだけなので、はい。あの、本当に、』
「タケシ、ヒカリ。ちょっと先に行っててくれ」
「大丈夫か?」
「ユカの手当てが終わったらすぐに追いかけるから大丈夫」
「(その手当てが大丈夫かと言ったんだが...)分かった。俺とヒカリはピカチュウ達を探しに先に行ってるからな」
「こっちの事は心配しないで。じゃぁ、後でね!」
「......」
『......』
「ユカ」
『うぁっはい!?』
「そこら辺座って足出して。手当てするから」
『はは、はい...っ』
「......」
『...さ、サトシさん?怒って、ます...?』
「なぁ、ユカ」
『は、はい』
「約束してくれないか。何かあったらすぐに言うって。辛い事を我慢したり隠されたりするのは...嫌だから」
タケシさんとヒカリさんが行ってしまってからすぐに、サトシさんは足の包帯を巻き直してくれました。
沈黙に耐えられなくて恐る恐る話し掛けると、返ってきた声は意外にも静かなものでした。
うつむいたサトシさんの顔は、帽子に隠れてしまって表情が伺えません。でも。
いつもと比べると全く覇気を感じられない声は、まるで泣いているようにも聞こえて。胸が、痛んだ気がしました。
『えと...ぜ、善処します』
「ん。立てるか?何ならおぶってくけど」
『い、いえっ!大丈夫です!』
「......」
『すみませんそれは流石に恥ずかしいので歩かせて下さいお願いします...!』
「よし。その調子だぜ、ユカ。約束だからな!」
サトシさんは私の正直な意見に満足げに笑って、手を引いてくれました。
...いつでも目の前の事ばかりで後先を考えず。ついでに周りをしっかり巻き込んで突っ込んでいく、子供っぽい人だなと思っていたのに。
どうして私の足が痛む事には目ざとく気付いたんでしょうか。上手く隠していたつもりなのに。
何だか...ズルいです。
どうしてそう思ったのかなんて、自分でもよく分かりません。ポツリとこぼしそうになったその言葉は、無理矢理飲み込んで。ただ黙って、歩くスピードを気遣って引く手を握り返しました。
「ふんっ」
『す、すご...っ!グレッグさん、氷の塊をあっという間に砕いちゃいました...』
「ニァ...」
「けっ」
あまりのとんでも展開に、どうすればいいか分からずに立ち尽くしていると。
何処からかタケシさんが最近ゲットしたグレッグルさんが登場して、現状をあっという間に打破してくれました。
そして。
『サトシさんが強引にミミロルさんをゲットしようとしたら、ミミロルさんがぶちギレて冷凍ビームを乱射。その後、ピカさんと愛の逃避行...!?』
「つまりはそういう事だ!」
どういう事だよ。
威張ってドヤ顔すんなや糸目が。脳内花畑状態なこの人の説明じゃ、何一つ展開が理解出来ないわボケが。失礼。心の中の暴言は通常運転でございます。
『つまりは、ヒカリさんのゲットしようとしたポケモンとピカさんが居なくなっちゃったって事ですよね』
「そうなの!何でかはよく分からないんだけど、ミミロルがピカチュウの事好きになっちゃったみたいで...!」
「まだそんなに遠くには行っていない筈だ。急いで探そう」
「ちょっと待ってくれ!」
「どうしたの?サトシ。タケシの言う通り、早く探すべきじゃ...」
「ユカ、足はどうなんだ」
『へっ?あ、えと、はい。その。大丈夫ですから、早く追いかけ...』
「本当なら俺の顔を見て言えよ」
『う...、そ、その。まだ行けますからだいじょう...』
「......」
チラリと伺うようにして見たサトシさんの顔はそれはもう。無言の圧力が。包み隠さず言えと言わんばかりの眼力が。
何この人、さっきポケモンゲットしようと躍起になってた人と本当に同一人物なんですか...!?
『...少しだけ、包帯がずれた感じがするだけなので、はい。あの、本当に、』
「タケシ、ヒカリ。ちょっと先に行っててくれ」
「大丈夫か?」
「ユカの手当てが終わったらすぐに追いかけるから大丈夫」
「(その手当てが大丈夫かと言ったんだが...)分かった。俺とヒカリはピカチュウ達を探しに先に行ってるからな」
「こっちの事は心配しないで。じゃぁ、後でね!」
「......」
『......』
「ユカ」
『うぁっはい!?』
「そこら辺座って足出して。手当てするから」
『はは、はい...っ』
「......」
『...さ、サトシさん?怒って、ます...?』
「なぁ、ユカ」
『は、はい』
「約束してくれないか。何かあったらすぐに言うって。辛い事を我慢したり隠されたりするのは...嫌だから」
タケシさんとヒカリさんが行ってしまってからすぐに、サトシさんは足の包帯を巻き直してくれました。
沈黙に耐えられなくて恐る恐る話し掛けると、返ってきた声は意外にも静かなものでした。
うつむいたサトシさんの顔は、帽子に隠れてしまって表情が伺えません。でも。
いつもと比べると全く覇気を感じられない声は、まるで泣いているようにも聞こえて。胸が、痛んだ気がしました。
『えと...ぜ、善処します』
「ん。立てるか?何ならおぶってくけど」
『い、いえっ!大丈夫です!』
「......」
『すみませんそれは流石に恥ずかしいので歩かせて下さいお願いします...!』
「よし。その調子だぜ、ユカ。約束だからな!」
サトシさんは私の正直な意見に満足げに笑って、手を引いてくれました。
...いつでも目の前の事ばかりで後先を考えず。ついでに周りをしっかり巻き込んで突っ込んでいく、子供っぽい人だなと思っていたのに。
どうして私の足が痛む事には目ざとく気付いたんでしょうか。上手く隠していたつもりなのに。
何だか...ズルいです。
どうしてそう思ったのかなんて、自分でもよく分かりません。ポツリとこぼしそうになったその言葉は、無理矢理飲み込んで。ただ黙って、歩くスピードを気遣って引く手を握り返しました。