世は情け
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(初めての場所では、未知の体験が沢山な訳であって)
上を仰げば果ての無い満天の星空。暗がりの中から耳を澄ませば、虫のような鳴き声だったりと何かしら気配を感じます。ふと鼻をつく香りは草や土の匂い。そう。今現在の私こと早瀬由香は、野宿なう。なのです。けど。
『はあぁぁー~あーぁ...』
ね、眠れない。あれです。理由としては、枕がいつもと違うと眠れないんだよね~的な。そんな感覚です。
学園では、学生寮のベッドで毎晩ぬくぬくと寝ていたものですから...激しすぎるギャップに苦しんでいます。
『学園の規則はやたら目茶苦茶でげんなりしてた部分もありましたけど...。その一方で、衣食住はちゃんと保証されてたんですね...。こういったサバイバルな場所に放り込まれると、その事実がより身に染みるというか』
「ユカっていつもデカいひとりごと言ってるなー」
『うぇっ!?ささ、サトシさんっ?ご、ごめんなさい。起こし、ちゃいましたか』
「いや、起きてた。ユカは眠れないのか?」
『その。野宿が、初めてで...落ち着かなくて』
「そっか。実は俺もなんだ」
『え。サトシさんも、野宿初めましてなんですか』
「違うって。落ち着かない方。新しい場所での冒険って、すっげぇワクワクしちゃってさ!明日はどんな事が待ってるんだろうとか、色々考えて眠れなくなっちゃうんだ」
『はは...何だかそれ、サトシさんらしいですね』
「まぁいつもはそれ考えながら寝ちゃうんだけどさ」
『ますますサトシさんらし...』
「ユカは?」
『え?』
「お前は、何を考えて眠れないんだ?」
静かに耳に届いた声の主を見やると、思ったよりすぐ隣に腰かけていたものだから少し驚きました。
その上、真剣な目をしていたから。これ適当に茶化しても駄目なんだろうなぁと、観念しました。
『...怖いんだと、思います』
「暗いのがか?」
『何かの気配が有りすぎるから、ですかね?今までは...眠る時って一人でしたから』
「うーん...うーん?」
『お腹痛いですか眠たいですか』
「じゃなくてっ!何でそれが怖くなっちゃうんだ?やっぱユカって分かんないなー。一人で眠るより、この方がずっと寂しくないのにな」
『私にとっては耳に入る鳴き声全てが未知の生命体なので。いつ奇襲が来やしないかと恐ろしいんですけど』
「じゃぁ今日は俺と一緒に寝ようぜ!」
『それはそれで後の弁解が面倒と言うか、』
「何の鳴き声が分からなくて怖いんだったらさ、一緒に調べながら寝るのもいいんじゃないか?」
『暗闇の中でブルーライト駄目。絶対』
「いいから。ほら!もうちょっとこっち来いよ」
『ふわっ!?ま、まさかの強制イベントとか...っ』
しかもいつの間にか自分の寝袋をここに持って来たんですか。あなた。ここで寝る気満々じゃないですか。
学園の学生寮では、私より小さい子ですら大部屋は男女別々だったのに。モラル的にどうなんですか、本当に。
というか、私もここで就寝してしまったら次の日の朝が果てしなく面倒くさい展開になりそうなんですけど。そこの所はどう思っているんでしょうか。
「暗くて姿も見えないからな...案外鳴き声だけだと何のポケモンか当てるのは難しいかも」
うん。何も考えてないですねこれは。
...でも。
『ひとりの定義は、人によって変わるものなんですね...』
「うん?何か言ったか?」
『...いえ』
「うーん...このポケモンかなー?いや、こっちかも...」
見知らぬ土地で、何なのか今だによく分からない生き物の気配を感じながら床に就くというのは。私にとっては強い孤独感に襲われているようなものでした。
そんな中でそれを真っ向から全否定して、当たり前みたいに隣に寄り添ってくれるその姿に。
『...ありがとうございます。サトシさん』
「へ?何が」
『多分分かんないですよ』
「何だよそれー」
多分どころか、きっと分からないと思います。震える程に恐ろしかった孤独感から、どれだけ救われた思いだったのかなんて。
「見て見てー!寝癖が酷かったからポッチャマにバブル光線やってもらったらね、こんなに髪がサラッサラに...何してるのこの二人」
「知らん。朝起きてきたら既にこうだった」
「お互いが、お互いに寄り添ってて...ものすごーく気持ち良さそうに眠ってるんだけど...」
「普通にイチャついてるようにしか見えないんだが!?何が保護者だ!不純にしか見えないぞ羨ましい...っ!」
「タケシ、事実の中にさりげなく願望を織り混ぜないで...っていうかいちいち泣かないでよ~っ。ご飯の仕度進まないじゃない、お腹空いたんだから」
「ますます涙が止まらないんだが」
「えぇーっ!?もぉ~っ、二人ともいい加減に起きなさーい!タケシがご飯作れないじゃないのー!」
ヒカリさん。あなたもいちいち泣くなという正論の中に、食欲という願望をしっかり織り混ぜちゃってるじゃないですか。
そんな突っ込みを入れてくれる人なんて、いる筈もなく。タケシさんが泣きながらご飯を作ったせいなのか、いつもより塩辛いスープを皆ですする羽目になりました。
上を仰げば果ての無い満天の星空。暗がりの中から耳を澄ませば、虫のような鳴き声だったりと何かしら気配を感じます。ふと鼻をつく香りは草や土の匂い。そう。今現在の私こと早瀬由香は、野宿なう。なのです。けど。
『はあぁぁー~あーぁ...』
ね、眠れない。あれです。理由としては、枕がいつもと違うと眠れないんだよね~的な。そんな感覚です。
学園では、学生寮のベッドで毎晩ぬくぬくと寝ていたものですから...激しすぎるギャップに苦しんでいます。
『学園の規則はやたら目茶苦茶でげんなりしてた部分もありましたけど...。その一方で、衣食住はちゃんと保証されてたんですね...。こういったサバイバルな場所に放り込まれると、その事実がより身に染みるというか』
「ユカっていつもデカいひとりごと言ってるなー」
『うぇっ!?ささ、サトシさんっ?ご、ごめんなさい。起こし、ちゃいましたか』
「いや、起きてた。ユカは眠れないのか?」
『その。野宿が、初めてで...落ち着かなくて』
「そっか。実は俺もなんだ」
『え。サトシさんも、野宿初めましてなんですか』
「違うって。落ち着かない方。新しい場所での冒険って、すっげぇワクワクしちゃってさ!明日はどんな事が待ってるんだろうとか、色々考えて眠れなくなっちゃうんだ」
『はは...何だかそれ、サトシさんらしいですね』
「まぁいつもはそれ考えながら寝ちゃうんだけどさ」
『ますますサトシさんらし...』
「ユカは?」
『え?』
「お前は、何を考えて眠れないんだ?」
静かに耳に届いた声の主を見やると、思ったよりすぐ隣に腰かけていたものだから少し驚きました。
その上、真剣な目をしていたから。これ適当に茶化しても駄目なんだろうなぁと、観念しました。
『...怖いんだと、思います』
「暗いのがか?」
『何かの気配が有りすぎるから、ですかね?今までは...眠る時って一人でしたから』
「うーん...うーん?」
『お腹痛いですか眠たいですか』
「じゃなくてっ!何でそれが怖くなっちゃうんだ?やっぱユカって分かんないなー。一人で眠るより、この方がずっと寂しくないのにな」
『私にとっては耳に入る鳴き声全てが未知の生命体なので。いつ奇襲が来やしないかと恐ろしいんですけど』
「じゃぁ今日は俺と一緒に寝ようぜ!」
『それはそれで後の弁解が面倒と言うか、』
「何の鳴き声が分からなくて怖いんだったらさ、一緒に調べながら寝るのもいいんじゃないか?」
『暗闇の中でブルーライト駄目。絶対』
「いいから。ほら!もうちょっとこっち来いよ」
『ふわっ!?ま、まさかの強制イベントとか...っ』
しかもいつの間にか自分の寝袋をここに持って来たんですか。あなた。ここで寝る気満々じゃないですか。
学園の学生寮では、私より小さい子ですら大部屋は男女別々だったのに。モラル的にどうなんですか、本当に。
というか、私もここで就寝してしまったら次の日の朝が果てしなく面倒くさい展開になりそうなんですけど。そこの所はどう思っているんでしょうか。
「暗くて姿も見えないからな...案外鳴き声だけだと何のポケモンか当てるのは難しいかも」
うん。何も考えてないですねこれは。
...でも。
『ひとりの定義は、人によって変わるものなんですね...』
「うん?何か言ったか?」
『...いえ』
「うーん...このポケモンかなー?いや、こっちかも...」
見知らぬ土地で、何なのか今だによく分からない生き物の気配を感じながら床に就くというのは。私にとっては強い孤独感に襲われているようなものでした。
そんな中でそれを真っ向から全否定して、当たり前みたいに隣に寄り添ってくれるその姿に。
『...ありがとうございます。サトシさん』
「へ?何が」
『多分分かんないですよ』
「何だよそれー」
多分どころか、きっと分からないと思います。震える程に恐ろしかった孤独感から、どれだけ救われた思いだったのかなんて。
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「見て見てー!寝癖が酷かったからポッチャマにバブル光線やってもらったらね、こんなに髪がサラッサラに...何してるのこの二人」
「知らん。朝起きてきたら既にこうだった」
「お互いが、お互いに寄り添ってて...ものすごーく気持ち良さそうに眠ってるんだけど...」
「普通にイチャついてるようにしか見えないんだが!?何が保護者だ!不純にしか見えないぞ羨ましい...っ!」
「タケシ、事実の中にさりげなく願望を織り混ぜないで...っていうかいちいち泣かないでよ~っ。ご飯の仕度進まないじゃない、お腹空いたんだから」
「ますます涙が止まらないんだが」
「えぇーっ!?もぉ~っ、二人ともいい加減に起きなさーい!タケシがご飯作れないじゃないのー!」
ヒカリさん。あなたもいちいち泣くなという正論の中に、食欲という願望をしっかり織り混ぜちゃってるじゃないですか。
そんな突っ込みを入れてくれる人なんて、いる筈もなく。タケシさんが泣きながらご飯を作ったせいなのか、いつもより塩辛いスープを皆ですする羽目になりました。