世は情け
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(明日はどっち)
事の発端は、ヒカリさんの言う単語が分からなかった為に私が疑問の声を上げた事からでした。
「私はね、トップコーディネーターを目指してるの!」
『何ですか?その、トップコーディネーターって』
「絶対バトルの方が燃えるって!」
「いーえ!絶対ぜったいコンテストバトルの方がいいに決まってるんだから!」
「何おう!」
「何よぉ!」
『......』
「おいおい、二人とも落ち着けって...」
苦笑いで仲裁に入るタケシさんの声なんて、二人の耳に入ってません。えぇ。それこそ、絶対に。
戦いで強さの勝敗を決めるバトルと、技でいかに美しく見せるかを重点に置いたコンテストバトルと(その頂点を極めた人が、トップコーディネーターと言うらしい)
そのどちらがいいかといった言い争いになるまで、そう大して時間はかかりませんでした。
それにしても、サトシさんとシゲルさんの時といい。そんなに私は間に挟みやすい何かがあるんでしょうか。今現在、私こと早瀬由香はサトシさんとヒカリさんの間という特等席で喧騒を聞いております。わー、すげーうるせぇ。
『...あの。どっち(で)もいいんじゃ、』
「「ユカはどっち!?」」
『へ』
「絶対にポケモンバトルだよな!街に行けばさ、そこのジムのリーダーとバトルするジム戦があってさ...」
「あ、サトシってばズルい!コンテストバトルもすっごいんだよユカ!大勢の前でパフォーマンスをしてね...」
これ、それぞれが特別のオンリーワンだとか。そんな平和的な事を唱えても納得してくれそうにないですね。
かと言って白黒つけたら、どちらかに恨まれそうで怖いです。どうしたものかと首をひねったら、とある人の言葉がよぎりました。
『...ブリーダー』
「えっ?」
「ブリーダーって、ポケモンの体調管理とかする?」
『そ、そうです。私、バトルを実際にやったら怖じけそうですし。かといって人前で技を披露するとか、そんな目立つ...いえ。緊張してとても出来そうにないですから。
むしろそんな風に頑張るサトシさんやヒカリさん達を支える立場の方が、性に合うかなと』
逃げたな。ボソリとそんな言葉が背後から聞こえたのは、幻聴と思い込みたい。
そんな手痛い突っ込みを入れてくれた方の将来の方向性は、トップブリーダーだとか。そんな事を以前チラリと聞いたのを思い出したのです。
逃げ道だろうがなんだろうが。これで丸く収まりそうで何よりじゃないですか。
『でも、興味があるというのは本当ですよ?タケシさん。身近な所からポケモンを知れそうですから』
「逃げたのは否定しないんだな」
『あれ何だか急に耳が遠くなったのか、よく聞こえない』
「全く...。まぁいいさ。興味があるっていうなら、少しずつ追々教えていくよ。時間はまだまだこの先、沢山あるからな」
『...そうですね。』
その時間というのが、気が遠くなる位の長さに感じて胸が痛みました。いつか元の場所へ戻れるのでしょうか。そもそも迎えに来てくれる保証は?
この先にある知らない体験に期待する一方で、不安も尽きそうにありません。気持ちが滅入って思わずうつむいたら。
じっと私を見上げるエネコさんと目が合いました(そういえばボールに戻してなかった)
もしかしたら私の今の気持ちを、敏感に感じ取ったのかもしれません。帰る場所がないという似たような境遇であるから、余計に。
『エネさ...』
「何やってんだよヒカリ!その大きさのボール投げても、ポケモンはゲット出来ないだろ!?」
「ちょ、ちょっとド忘れしてただけだもんっ!今度こそ大丈夫!」
『エネさんは、やさ』
「痛ってー!俺に投げてどうするんだよ!」
「ポチャ!ポーチャポチャ!」
『やさし...』
「あぁーっ!ミミロルがいつ間のにか逃げちゃったじゃない!サトシがゴチャゴチャ言うからぁーっ」
「俺のせいかよ!?」
『......』
「ニァ」
一度は落ち着いたかと思っていた話は、知らない内に別の話でヒートアップしていました。何だかよく分かりませんが、話の流れ的に野生のポケモンをゲットしたかったようです。例のごとく、私を間に挟んで。
ため息にも聞こえたエネさんの鳴き声は、一番小さいのに余裕ある保護者のように感じました...。
事の発端は、ヒカリさんの言う単語が分からなかった為に私が疑問の声を上げた事からでした。
「私はね、トップコーディネーターを目指してるの!」
『何ですか?その、トップコーディネーターって』
*
「絶対バトルの方が燃えるって!」
「いーえ!絶対ぜったいコンテストバトルの方がいいに決まってるんだから!」
「何おう!」
「何よぉ!」
『......』
「おいおい、二人とも落ち着けって...」
苦笑いで仲裁に入るタケシさんの声なんて、二人の耳に入ってません。えぇ。それこそ、絶対に。
戦いで強さの勝敗を決めるバトルと、技でいかに美しく見せるかを重点に置いたコンテストバトルと(その頂点を極めた人が、トップコーディネーターと言うらしい)
そのどちらがいいかといった言い争いになるまで、そう大して時間はかかりませんでした。
それにしても、サトシさんとシゲルさんの時といい。そんなに私は間に挟みやすい何かがあるんでしょうか。今現在、私こと早瀬由香はサトシさんとヒカリさんの間という特等席で喧騒を聞いております。わー、すげーうるせぇ。
『...あの。どっち(で)もいいんじゃ、』
「「ユカはどっち!?」」
『へ』
「絶対にポケモンバトルだよな!街に行けばさ、そこのジムのリーダーとバトルするジム戦があってさ...」
「あ、サトシってばズルい!コンテストバトルもすっごいんだよユカ!大勢の前でパフォーマンスをしてね...」
これ、それぞれが特別のオンリーワンだとか。そんな平和的な事を唱えても納得してくれそうにないですね。
かと言って白黒つけたら、どちらかに恨まれそうで怖いです。どうしたものかと首をひねったら、とある人の言葉がよぎりました。
『...ブリーダー』
「えっ?」
「ブリーダーって、ポケモンの体調管理とかする?」
『そ、そうです。私、バトルを実際にやったら怖じけそうですし。かといって人前で技を披露するとか、そんな目立つ...いえ。緊張してとても出来そうにないですから。
むしろそんな風に頑張るサトシさんやヒカリさん達を支える立場の方が、性に合うかなと』
逃げたな。ボソリとそんな言葉が背後から聞こえたのは、幻聴と思い込みたい。
そんな手痛い突っ込みを入れてくれた方の将来の方向性は、トップブリーダーだとか。そんな事を以前チラリと聞いたのを思い出したのです。
逃げ道だろうがなんだろうが。これで丸く収まりそうで何よりじゃないですか。
『でも、興味があるというのは本当ですよ?タケシさん。身近な所からポケモンを知れそうですから』
「逃げたのは否定しないんだな」
『あれ何だか急に耳が遠くなったのか、よく聞こえない』
「全く...。まぁいいさ。興味があるっていうなら、少しずつ追々教えていくよ。時間はまだまだこの先、沢山あるからな」
『...そうですね。』
その時間というのが、気が遠くなる位の長さに感じて胸が痛みました。いつか元の場所へ戻れるのでしょうか。そもそも迎えに来てくれる保証は?
この先にある知らない体験に期待する一方で、不安も尽きそうにありません。気持ちが滅入って思わずうつむいたら。
じっと私を見上げるエネコさんと目が合いました(そういえばボールに戻してなかった)
もしかしたら私の今の気持ちを、敏感に感じ取ったのかもしれません。帰る場所がないという似たような境遇であるから、余計に。
『エネさ...』
「何やってんだよヒカリ!その大きさのボール投げても、ポケモンはゲット出来ないだろ!?」
「ちょ、ちょっとド忘れしてただけだもんっ!今度こそ大丈夫!」
『エネさんは、やさ』
「痛ってー!俺に投げてどうするんだよ!」
「ポチャ!ポーチャポチャ!」
『やさし...』
「あぁーっ!ミミロルがいつ間のにか逃げちゃったじゃない!サトシがゴチャゴチャ言うからぁーっ」
「俺のせいかよ!?」
『......』
「ニァ」
一度は落ち着いたかと思っていた話は、知らない内に別の話でヒートアップしていました。何だかよく分かりませんが、話の流れ的に野生のポケモンをゲットしたかったようです。例のごとく、私を間に挟んで。
ため息にも聞こえたエネさんの鳴き声は、一番小さいのに余裕ある保護者のように感じました...。