旅は道連れ
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(私と彼の関係はつまり、)
「ごめんな」
場所は変わって、只今の現在地はシンオウ地方のポケモン研究所です。ピカさんの怪我の治療は勿論、ナナなんちゃらー博士には先の件でお世話になったので報告も兼ねて、ここへやって来ました。すみません。カタカナは覚えが悪いので容赦して下さい。
設備が整っているこの場で、足の手当てをもう一度やろうとタケシさんが申し出てくれたのですが。何故かサトシさんがやると言って譲りませんでした。
正直、タケシさんがやってくれた方が上手くいったと思います。包帯ガタガタですし。でも思い詰めた顔をしたサトシさんには、とても言えませんでした。
不器用さが全面に押し出された包帯を巻き終わった後、サトシさんがポツリと言った台詞が冒頭のものです。
『いえ、言わなかった私も悪かったですし。思い詰める程気にすることは...』
「それもあるけど。俺、約束したのにさ...この世界の楽しいことを見せるって。俺を頼ってくれてたのに、いきなりこんな事になって。ごめん。恐かったよな」
『だったら、もう無茶とか苦茶とかしないでくれますか』
「それは約束出来ないけど」
『そこは悔い改めて下さいよ』
「だけどさ!」
まさか約束は出来ないと即答されるとは、全くの予想外でした。びっくりです。思わず声を荒らげてしまいました。
けれどその上回る声を上げて、サトシさんはこう言いました。
「これからはちゃんとユカの事、守ってやるからな!」
『...えっと。何がどうなってそうなったんですか?』
「俺がお前に教えたかったのは、ポケモンがさらわれるとか、足を痛めるだとか、そういう事じゃないんだ」
『いや、もう靴擦れの件は本当お気になさらず...。旅の初心者にはあるある展開だと思っ』
「だったら俺がいつでも隣にいて守ってやれば大丈夫だと思うんだ!何かあったらすぐに気が付けるし、楽しい事もすぐに教えてやれるから!」
『あの私の話聞いてますか』
多分...というか、絶対に。私の酷い靴擦れの状態に責任を感じての発言なのでしょうけど。えぇ。けど、ですよ。これはあまりにも...。
「あはは...何というか、凄いアツアツねー、お二人さん」
「サトシの...サトシの、裏切り者め...っ」
『あの。やっと慎んで訂正出来そうなので、はっきり言わせて下さい。私とサトシさんは、そういった間柄ではありませんから』
「えっ!?」
「そ、そうなのか!?」
「何の話してるんだ?」
『サトシさん、あなたが間に入るとややこしくなるから少し黙って...いえ。そうですね...』
明記していませんでしたが。タケシさんとピカさんを保護してくれた女の子(ヒカリさんと言うそうです)も、一緒です。
うっそうとした空気から一転、明らかに嬉しそうな声の上ずり方をしたタケシさんはさておき。
自分で歩けると言っても、聞き入れずにここまでおぶってきた事といい。足の手当てを強引にかって出た事といい。先程からのサトシさんの過保護っぷりは、少し異常と言うか。確かにそういう...お付き合いしていると誤解されてもおかしくないんですよね。
ここはひとつ、彼の口からどういうつもりなのかはっきりと言ってもらうのがいいかもしれません。これ以上誤解されると面倒くさ...いえ。大変ですし。
『聞きたいんですけど。サトシさんは私をどう見てるんですか?』
「やだ、告白!?」
「やっぱりリア充なのか!?」
『ちょっと外野黙っていて下さい。
変な意味ではなくて。サトシさん、私に大して過保護すぎやしませんか?何でそこまで...』
「何でって言われたら、それは...」
『それは?』
「保護者だから?」
『......え、今なんて?』
「だからお前の保護者!だって俺が迷子のユカを見つけたんだからな!」
『ちょっと待って下さい何この憤りしかない展開』
思わず人様に指差して異議ありと全力で叫びたい。じゃぁ何でそれをしないのかって。それは。
「ユカ...お前迷子だったのか...?」
「迷子って...親とはぐれちゃった的な意味の、あの迷子ってこと...?」
『不慮の事故で...連れと、運悪くはぐれてしまいまして...その。路頭に迷いそうな所を、サトシさんに保護していただきました...』
「へぇ...」
「そうだったんだ...」
まごうことなき真実だからですね。
反論を唱えたいのは山々なのに、事実も織り交ぜてくれちゃったものだから下手に否定出来ません。
この年代で、迷子とかね。もうね。外野だった二名の何とも言えない微妙な空気が、絶妙に私の心をえぐります。新手の拷問ですか。これは。
しかも見た目は子供、頭脳も子供という、まんま子供なお方が保護者とか。さりげなく屈辱的であります。
耐えられないあまりに、激しく真実を告げてしまいたいのですけど。
それは芋づる式に、ここへやってきた経緯も明かさなくてはならなくなるので...無理そうです。
このやり場のない憤りは、無理矢理飲み込むしかないのでしょうか。
『...んな事やれる程、私人間出来てませんから!』
「何いきなり怒ってるんだよ?」
『誰のせいだと思ってるんですか!誰の!私、保護者発言だけは納得できないんですけど!?』
「だってタケシに初めて会った時は、俺の後ろに隠れるし。船に乗った時は怖いってしがみついてくるしさ。危なっかしいから、ちゃんと帰れる日が来るまで守ってやらなきゃって...」
『ちゃんと理由があっての反応の数々が、都合よく解釈されてる気が...っ!』
「まぁ細かいことは何でもいいじゃん!」
『死活問題なんですけど!?』
「それよりもユカの靴、一度ちゃんとしたやつを選びに行かないとだな。そのままじゃこれから困るし...」
『私の今後に関わる問題をスルーしないで下さいよ!?』
「へ?だからちゃんとした靴を選ぼうって...」
『またしても意思疏通が図れないとか...っ!!』
思わず床に崩れ落ちて項垂れるレベルです。というか、論破も弁解も叶わなかったということは...サトシさんが私の保護者ポジというのは確定なんですか...?
外野二人組の生暖かい視線がよりいっそう、私の心をえぐりました。
「ごめんな」
場所は変わって、只今の現在地はシンオウ地方のポケモン研究所です。ピカさんの怪我の治療は勿論、ナナなんちゃらー博士には先の件でお世話になったので報告も兼ねて、ここへやって来ました。すみません。カタカナは覚えが悪いので容赦して下さい。
設備が整っているこの場で、足の手当てをもう一度やろうとタケシさんが申し出てくれたのですが。何故かサトシさんがやると言って譲りませんでした。
正直、タケシさんがやってくれた方が上手くいったと思います。包帯ガタガタですし。でも思い詰めた顔をしたサトシさんには、とても言えませんでした。
不器用さが全面に押し出された包帯を巻き終わった後、サトシさんがポツリと言った台詞が冒頭のものです。
『いえ、言わなかった私も悪かったですし。思い詰める程気にすることは...』
「それもあるけど。俺、約束したのにさ...この世界の楽しいことを見せるって。俺を頼ってくれてたのに、いきなりこんな事になって。ごめん。恐かったよな」
『だったら、もう無茶とか苦茶とかしないでくれますか』
「それは約束出来ないけど」
『そこは悔い改めて下さいよ』
「だけどさ!」
まさか約束は出来ないと即答されるとは、全くの予想外でした。びっくりです。思わず声を荒らげてしまいました。
けれどその上回る声を上げて、サトシさんはこう言いました。
「これからはちゃんとユカの事、守ってやるからな!」
『...えっと。何がどうなってそうなったんですか?』
「俺がお前に教えたかったのは、ポケモンがさらわれるとか、足を痛めるだとか、そういう事じゃないんだ」
『いや、もう靴擦れの件は本当お気になさらず...。旅の初心者にはあるある展開だと思っ』
「だったら俺がいつでも隣にいて守ってやれば大丈夫だと思うんだ!何かあったらすぐに気が付けるし、楽しい事もすぐに教えてやれるから!」
『あの私の話聞いてますか』
多分...というか、絶対に。私の酷い靴擦れの状態に責任を感じての発言なのでしょうけど。えぇ。けど、ですよ。これはあまりにも...。
「あはは...何というか、凄いアツアツねー、お二人さん」
「サトシの...サトシの、裏切り者め...っ」
『あの。やっと慎んで訂正出来そうなので、はっきり言わせて下さい。私とサトシさんは、そういった間柄ではありませんから』
「えっ!?」
「そ、そうなのか!?」
「何の話してるんだ?」
『サトシさん、あなたが間に入るとややこしくなるから少し黙って...いえ。そうですね...』
明記していませんでしたが。タケシさんとピカさんを保護してくれた女の子(ヒカリさんと言うそうです)も、一緒です。
うっそうとした空気から一転、明らかに嬉しそうな声の上ずり方をしたタケシさんはさておき。
自分で歩けると言っても、聞き入れずにここまでおぶってきた事といい。足の手当てを強引にかって出た事といい。先程からのサトシさんの過保護っぷりは、少し異常と言うか。確かにそういう...お付き合いしていると誤解されてもおかしくないんですよね。
ここはひとつ、彼の口からどういうつもりなのかはっきりと言ってもらうのがいいかもしれません。これ以上誤解されると面倒くさ...いえ。大変ですし。
『聞きたいんですけど。サトシさんは私をどう見てるんですか?』
「やだ、告白!?」
「やっぱりリア充なのか!?」
『ちょっと外野黙っていて下さい。
変な意味ではなくて。サトシさん、私に大して過保護すぎやしませんか?何でそこまで...』
「何でって言われたら、それは...」
『それは?』
「保護者だから?」
『......え、今なんて?』
「だからお前の保護者!だって俺が迷子のユカを見つけたんだからな!」
『ちょっと待って下さい何この憤りしかない展開』
思わず人様に指差して異議ありと全力で叫びたい。じゃぁ何でそれをしないのかって。それは。
「ユカ...お前迷子だったのか...?」
「迷子って...親とはぐれちゃった的な意味の、あの迷子ってこと...?」
『不慮の事故で...連れと、運悪くはぐれてしまいまして...その。路頭に迷いそうな所を、サトシさんに保護していただきました...』
「へぇ...」
「そうだったんだ...」
まごうことなき真実だからですね。
反論を唱えたいのは山々なのに、事実も織り交ぜてくれちゃったものだから下手に否定出来ません。
この年代で、迷子とかね。もうね。外野だった二名の何とも言えない微妙な空気が、絶妙に私の心をえぐります。新手の拷問ですか。これは。
しかも見た目は子供、頭脳も子供という、まんま子供なお方が保護者とか。さりげなく屈辱的であります。
耐えられないあまりに、激しく真実を告げてしまいたいのですけど。
それは芋づる式に、ここへやってきた経緯も明かさなくてはならなくなるので...無理そうです。
このやり場のない憤りは、無理矢理飲み込むしかないのでしょうか。
『...んな事やれる程、私人間出来てませんから!』
「何いきなり怒ってるんだよ?」
『誰のせいだと思ってるんですか!誰の!私、保護者発言だけは納得できないんですけど!?』
「だってタケシに初めて会った時は、俺の後ろに隠れるし。船に乗った時は怖いってしがみついてくるしさ。危なっかしいから、ちゃんと帰れる日が来るまで守ってやらなきゃって...」
『ちゃんと理由があっての反応の数々が、都合よく解釈されてる気が...っ!』
「まぁ細かいことは何でもいいじゃん!」
『死活問題なんですけど!?』
「それよりもユカの靴、一度ちゃんとしたやつを選びに行かないとだな。そのままじゃこれから困るし...」
『私の今後に関わる問題をスルーしないで下さいよ!?』
「へ?だからちゃんとした靴を選ぼうって...」
『またしても意思疏通が図れないとか...っ!!』
思わず床に崩れ落ちて項垂れるレベルです。というか、論破も弁解も叶わなかったということは...サトシさんが私の保護者ポジというのは確定なんですか...?
外野二人組の生暖かい視線がよりいっそう、私の心をえぐりました。