旅は道連れ
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(秘密結社と主張しておきながら、)
『全く忍んでいないのはどういう事なんでしょうか』
「何だよいきなり」
『いえ、ひとり言です』
「なら急ごうぜ」
そう言って先を急かすサトシさんの表情は、こわばっています。その理由は少しさかのぼりまして、船が無事到着して間もなくの事です。
忍びなれども忍ばない忍者も驚愕しそうな程に忍んでいない、悪の秘密結社...何でしたっけ。
パケットだかコロッケ団だか。とにかくそんなニュアンスで名乗った彼らが、サトシさんのピカチュウを奪って逃走してしまったのです。
彼らの逃亡手段であった気球をすかさず追撃して、阻止できた所は良かったのですが。
ピカさんが何処へ落ちてしまったのか。安否はどうなのか。全く不明なのです。
「ピカチュウ...っ。何処にいるんだ...!」
『サトシさん...。...ん?』
「君たち!そんな所で何してるの?」
声をかけても、続ける言葉なんて見当もつかないのに。そうせずにはいられない程、サトシさんは落ち込んでいました。
土地勘も、頼れるツテもない。不安が更なる不安な気持ちを呼んで、いつか爆発してしまうんじゃないかと更に不安になった時です。それをかき消してくれたのは、バイクのエンジン音。どうやら警官さんみたいですね。
そこからはピカさんの目撃情報が見つかったりと、意外にもトントン拍子に話が進みました。このまますんなり見つかるといいのですけど...。
「やっぱり、サトシじゃないか!」
「タケシ!?どうしてここに...」
そう思った矢先の出会いは、サトシさんの顔見知りだったようです。道路を走っていたら、急にトラックに横付けされました。
当たり前なんですけど、トラックってデカイじゃないですか。でも、そんな大きな物体が急に真横に止まってきたらどうですか普通にビビりませんかビビりますよね?
ちょっと警戒していたら、出てきたのは糸目なちょっと年上であろう男性。
え、糸目発言が失礼?すみません。私をここに飛ばしやがったホシに容姿が少し似ていたものですから。つい。
第三者が次々に登場してくれるおかげで、切羽詰まっていた空気が少しだけ軽くなるのを感じます。
男の人だったものですから、トラックの主はてっきりこの人かと思ったんですけど。どうやら違ったようです。
奥の運転席に腰を掛けていたのは、姉御肌感がひしひしと伝わるお姉さんでした。こんなデカイ物を運転してるだけでもう、十分格好いいのですが。
今現在は、掛かってきた電話の相手に向かって乙女モード全開であります。
「ごめんねータケシ君!彼と会うことになったから、ここでお別れだね!」
「 え 」
「君もお友達と会えたみたいだし、ちょうど良かったじゃない!ここからは、一緒に行くのがいいわね。じゃぁねータケシ君。ご飯、美味しかったよ!」
「・・・」
糸目の彼、きっと相当凄い人物ですよ。
あのサトシさんを呆れ顔にさせるんですから。
いっそ清々しい程のフラれっぷりで、糸目男子は今も尚絶叫中です。そのお陰で、場の空気が変わったのはいいんですけど。
何か不安材料が増えたようにしか思えないのですが。
「行くぞサトシー!ここからは男二人旅だ...ん?サトシ、そこの彼女は...」
「えっ?あぁ。コイツ、ユカって言うんだ!今一緒に旅してるんだけど...って、何で俺の後ろに隠れてるんだよ」
『いえ...その、恐かったので(色んな意味で)』
「大丈夫だって。タケシは前に一緒に旅した仲間なんだ!いい奴だぜ!
そうだ、タケシ!ユカはさ、過去のせかっ、むぐ!」
『あぁーっ!?』
「むーっ!?」
サトシさん、紹介と共にサラッと重要な個人情報を漏洩させようとしましたよね?明らかに!
後ろからとっさに手を伸ばして、口を押さえつけたので。大丈夫ですよね?バレちゃいませんよね?
『常識的に考えて下さいよ!そんな事、軽々しくペロッと話したら駄目です!』
「ぷはっ、何でだよ!俺とシゲルにはあっさり話してたじゃないか!」
『あれは仕方ないじゃないですか!だって初めてここに来た時だったんですから!本当なら、あんまり言いふらすのは良くないです!』
「何でだよ?」
『それは...えっと。多分、モラル的な?』
「やっぱりユカって分かんねー!」
「......サトシ」
「何だよタケシ!今取り込み中...」
「俺は...っ。俺は、お前だけはずっと仲間だと思っていたのに...!うぅ...っ!」
「は?」
『え"ぇぇー...』
まるで後ろから抱き付くような、体勢が悪かったのでしょうか。
こいつらリア充だと激しく勘違いされたようです。糸目男子さんは、地面へ崩れ落ちて泣き始めてしまいました。
正直に言っていいですか。大の男の人の涙は、この上なく面倒くさい。
これ何とかして下さいよとダメもとで言ってみたら、意外にもサトシは糸目さんを立ち直らせてくれました。
前に旅した仲間だと言っていたので、扱い方が分かっているのかもしれませんね。
それにしたって、別方向からの不安が更にやって来た感が否めませんけど。サトシさんのこわばった顔が和らいだだけでも、一歩前進と捉えておきましょうかね。
『全く忍んでいないのはどういう事なんでしょうか』
「何だよいきなり」
『いえ、ひとり言です』
「なら急ごうぜ」
そう言って先を急かすサトシさんの表情は、こわばっています。その理由は少しさかのぼりまして、船が無事到着して間もなくの事です。
忍びなれども忍ばない忍者も驚愕しそうな程に忍んでいない、悪の秘密結社...何でしたっけ。
パケットだかコロッケ団だか。とにかくそんなニュアンスで名乗った彼らが、サトシさんのピカチュウを奪って逃走してしまったのです。
彼らの逃亡手段であった気球をすかさず追撃して、阻止できた所は良かったのですが。
ピカさんが何処へ落ちてしまったのか。安否はどうなのか。全く不明なのです。
「ピカチュウ...っ。何処にいるんだ...!」
『サトシさん...。...ん?』
「君たち!そんな所で何してるの?」
声をかけても、続ける言葉なんて見当もつかないのに。そうせずにはいられない程、サトシさんは落ち込んでいました。
土地勘も、頼れるツテもない。不安が更なる不安な気持ちを呼んで、いつか爆発してしまうんじゃないかと更に不安になった時です。それをかき消してくれたのは、バイクのエンジン音。どうやら警官さんみたいですね。
そこからはピカさんの目撃情報が見つかったりと、意外にもトントン拍子に話が進みました。このまますんなり見つかるといいのですけど...。
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「やっぱり、サトシじゃないか!」
「タケシ!?どうしてここに...」
そう思った矢先の出会いは、サトシさんの顔見知りだったようです。道路を走っていたら、急にトラックに横付けされました。
当たり前なんですけど、トラックってデカイじゃないですか。でも、そんな大きな物体が急に真横に止まってきたらどうですか普通にビビりませんかビビりますよね?
ちょっと警戒していたら、出てきたのは糸目なちょっと年上であろう男性。
え、糸目発言が失礼?すみません。私をここに飛ばしやがったホシに容姿が少し似ていたものですから。つい。
第三者が次々に登場してくれるおかげで、切羽詰まっていた空気が少しだけ軽くなるのを感じます。
男の人だったものですから、トラックの主はてっきりこの人かと思ったんですけど。どうやら違ったようです。
奥の運転席に腰を掛けていたのは、姉御肌感がひしひしと伝わるお姉さんでした。こんなデカイ物を運転してるだけでもう、十分格好いいのですが。
今現在は、掛かってきた電話の相手に向かって乙女モード全開であります。
「ごめんねータケシ君!彼と会うことになったから、ここでお別れだね!」
「 え 」
「君もお友達と会えたみたいだし、ちょうど良かったじゃない!ここからは、一緒に行くのがいいわね。じゃぁねータケシ君。ご飯、美味しかったよ!」
「・・・」
糸目の彼、きっと相当凄い人物ですよ。
あのサトシさんを呆れ顔にさせるんですから。
いっそ清々しい程のフラれっぷりで、糸目男子は今も尚絶叫中です。そのお陰で、場の空気が変わったのはいいんですけど。
何か不安材料が増えたようにしか思えないのですが。
「行くぞサトシー!ここからは男二人旅だ...ん?サトシ、そこの彼女は...」
「えっ?あぁ。コイツ、ユカって言うんだ!今一緒に旅してるんだけど...って、何で俺の後ろに隠れてるんだよ」
『いえ...その、恐かったので(色んな意味で)』
「大丈夫だって。タケシは前に一緒に旅した仲間なんだ!いい奴だぜ!
そうだ、タケシ!ユカはさ、過去のせかっ、むぐ!」
『あぁーっ!?』
「むーっ!?」
サトシさん、紹介と共にサラッと重要な個人情報を漏洩させようとしましたよね?明らかに!
後ろからとっさに手を伸ばして、口を押さえつけたので。大丈夫ですよね?バレちゃいませんよね?
『常識的に考えて下さいよ!そんな事、軽々しくペロッと話したら駄目です!』
「ぷはっ、何でだよ!俺とシゲルにはあっさり話してたじゃないか!」
『あれは仕方ないじゃないですか!だって初めてここに来た時だったんですから!本当なら、あんまり言いふらすのは良くないです!』
「何でだよ?」
『それは...えっと。多分、モラル的な?』
「やっぱりユカって分かんねー!」
「......サトシ」
「何だよタケシ!今取り込み中...」
「俺は...っ。俺は、お前だけはずっと仲間だと思っていたのに...!うぅ...っ!」
「は?」
『え"ぇぇー...』
まるで後ろから抱き付くような、体勢が悪かったのでしょうか。
こいつらリア充だと激しく勘違いされたようです。糸目男子さんは、地面へ崩れ落ちて泣き始めてしまいました。
正直に言っていいですか。大の男の人の涙は、この上なく面倒くさい。
これ何とかして下さいよとダメもとで言ってみたら、意外にもサトシは糸目さんを立ち直らせてくれました。
前に旅した仲間だと言っていたので、扱い方が分かっているのかもしれませんね。
それにしたって、別方向からの不安が更にやって来た感が否めませんけど。サトシさんのこわばった顔が和らいだだけでも、一歩前進と捉えておきましょうかね。