旅は道連れ
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(船旅の終着は)
『さっ、ささサトシさん!?ああの、海の中から船にしがみついてる人達がいるんですけど、あれもここでは普通の事なんですか!?』
主に私こと早瀬の独白とも言える主張を繰り返しつつ、今現在船に乗っているのですが。
ちょっと怖いもの見たさで船の上から見る海を覗きこんでみたら、衝撃的な景色が待ち受けていました。
「え?まさか!そんな訳ないだろー?」
『ですよね!?普通に考えてあの人達危な...!あ、あれ?居なくなってます...』
「何かのポケモンと見間違えたんじゃないか?」
『ポケモンが船にしがみついたりするものなんでしょうか...』
「そう見えただけじゃないか?」
腑には落ちませんが、こつぜんと消えてしまったからもう確かめようがないですね。
それよりもサトシさん的には、新天地が近付いて来ている事の方に気が逸れているようです。何故そう思うのかって。返事がおざなりと言うか...。何より、視線の先が明らかに戸惑う私ではなく船の進行方向ですから。
...どんどん切り替えていかないと、彼のテンションに付いていけず、本気で置いていかれそうな日が来そうで怖いです。
「ユカ!ピカチュウ!見えてきたぞ!」
『見えますから引っ張らないでくれますか...っ』
「あれが、シンオウ地方...っ!」
『はい聞いちゃいませんね分かってました、って、だだ、だから!あんまり引っ張らないで下さいって!怖いです!』
「平気だってー!」
『やあぁ!?やっ、本当、無理ですぅぅっ!』
「うわっ、急にしがみつく方が危ないって!そんなに怖がることないだろ?」
『だ、だって...!海も船も、初めてなんですよ私...!』
未知との遭遇で腰が引けてたのに、お構い無しに体が船からはみ出る勢いでぐいぐい引っ張ってくるものですから。思わずサトシさんの腕にしがみついてしまいました。
船旅どころか、こうして外を出歩くなんて。学園に入ってからは、そんなのした事も無いなんて伝えたとしたら。呆れられてしまうでしょうか。やっぱり。
こんなんで旅をしてみたいだとか、無理だったと...。
「何だ初めてだったんだな!」
『...へ』
「俺も初めて船に乗った時はビックリしたよ。その船、沈没しちゃってさー」
『...はい?』
「漂流生活もしたっけ。な!ピカチュウ」
「ピカチュ!」
『あのサトシさん私の悲痛な訴え聞いてましたか!?船初めてって言ったのに、何ですかその更に恐怖を煽る体験談!』
「何があっても、わりと何とかなるもんだって」
『意志疎通が図れない...っ!』
彼なりの励ましなのかもしれませんが。初めての船旅は、深い爪痕のようなトラウマが残りそうであります。
初めてと言っても決して馬鹿にしなかったその姿に、ちょっと救われたりしたのですけど...その後の言い分があまりにも強烈すぎました。
『そんな体験したのに...サトシさん、怖くないんですか?』
「俺はさ。今までどんなピンチにあった時でも、コイツ...ピカチュウと乗り越えて来たんだ。だから大丈夫さ!それに仲間がいると、旅はもっと楽しくなるしな!」
『ふ...船旅、どころか、私。こうやって外を出歩くの、初めてなんですよ?いちいち怖じ気づてるの見てたら、面倒くさくなるかも...』
「そうかぁ?反応が新鮮で面白いじゃん!」
『じ、時代も、違うから。サトシさんにとっては普通の事でも、私、本当にいちいちびっくりするかも...』
「何だよもーユカ!お前心配しすぎだって!」
『ふわっ!』
一度決めたことなのに、今更不安になってきた事を次から次へと口に出していると。
元々気が長い方ではないのでしょうね。痺れを切らしたかのように、サトシさんは私の首元に腕を回して肩を組んできました。何故か。
「俺、言ったよな?ユカに、この世界を見せてやりたいって。どんなに怖くたって、俺が一緒だから」
『で、でも...あんまりにもビビりすぎて、呆れちゃうかもですよ...』
「誰だって初めての事はあるんだから、馬鹿になんかしないさ。ひとりじゃないってだけで、俺は全然違うけど...ユカはどうなんだ?」
『はは...正直、まだ』
「まぁ徐々にでいいからさ!旅はまだまだこれからなんだぜ!」
『ぐへっ!?ちょ、そんな強く肩叩かれたら痛いですよ!』
「ははは!ちょっと変な声だった!」
『誰のせいだと...!』
そうやって、不安なんか全部笑い飛ばすその姿は誰かを思い出すような気がしたのですが...あれ。誰でしたっけか。やっぱり分かりませんでした。
私の気持ちを知っていてかどうかまでは、分かりませんけど。肩に回しされていた手は、今は私の手のひらをぎゅっと力強く握りしめてくれていました。まるで大丈夫だって、励ましてくれているようで。
『緊張も、あるのかもしれません』
「あぁ。それなら分かる。始まりって何かすげードキドキするんだよな」
『けど...そうですね。一緒ならって思うと、ちょっと肩の力を抜いて頑張れそうです』
「おう!その意気だぜユカ!...うわっ、帽子が...!」
急に強い風が吹いたせいで、サトシさんの帽子がふわりと飛んでいってしまったのですが。不自然な所でそれは止まりました。
どうやら誰かがキャッチしてくれたようです...けど...。
『紫の...カラバリ付きサ、』
「エイパムじゃないか!」
『...サル』
「だからエイパムだって!何だ、お前付いてきちゃったのか」
何だかこのやり取りもお決まりな流れになりそうな予感です。
今から引き返せる訳ではないですし。どうやらお供が増えたようですね。旅を続ければ、知らない体験は勿論のこと。出会いもあるんだろうかと、彼らを見てぼんやり思いました。分からないことだらけで、不安は尽きそうにないです。でも...そうですね。
「着いた!行こうぜ、ユカ!」
『...はいっ』
迷わず差し出してくれたその手に、今は付いていく事にしましょう。
サトシさんと一緒だと、不思議とこの先が楽しみだと思えるから。
『さっ、ささサトシさん!?ああの、海の中から船にしがみついてる人達がいるんですけど、あれもここでは普通の事なんですか!?』
主に私こと早瀬の独白とも言える主張を繰り返しつつ、今現在船に乗っているのですが。
ちょっと怖いもの見たさで船の上から見る海を覗きこんでみたら、衝撃的な景色が待ち受けていました。
「え?まさか!そんな訳ないだろー?」
『ですよね!?普通に考えてあの人達危な...!あ、あれ?居なくなってます...』
「何かのポケモンと見間違えたんじゃないか?」
『ポケモンが船にしがみついたりするものなんでしょうか...』
「そう見えただけじゃないか?」
腑には落ちませんが、こつぜんと消えてしまったからもう確かめようがないですね。
それよりもサトシさん的には、新天地が近付いて来ている事の方に気が逸れているようです。何故そう思うのかって。返事がおざなりと言うか...。何より、視線の先が明らかに戸惑う私ではなく船の進行方向ですから。
...どんどん切り替えていかないと、彼のテンションに付いていけず、本気で置いていかれそうな日が来そうで怖いです。
「ユカ!ピカチュウ!見えてきたぞ!」
『見えますから引っ張らないでくれますか...っ』
「あれが、シンオウ地方...っ!」
『はい聞いちゃいませんね分かってました、って、だだ、だから!あんまり引っ張らないで下さいって!怖いです!』
「平気だってー!」
『やあぁ!?やっ、本当、無理ですぅぅっ!』
「うわっ、急にしがみつく方が危ないって!そんなに怖がることないだろ?」
『だ、だって...!海も船も、初めてなんですよ私...!』
未知との遭遇で腰が引けてたのに、お構い無しに体が船からはみ出る勢いでぐいぐい引っ張ってくるものですから。思わずサトシさんの腕にしがみついてしまいました。
船旅どころか、こうして外を出歩くなんて。学園に入ってからは、そんなのした事も無いなんて伝えたとしたら。呆れられてしまうでしょうか。やっぱり。
こんなんで旅をしてみたいだとか、無理だったと...。
「何だ初めてだったんだな!」
『...へ』
「俺も初めて船に乗った時はビックリしたよ。その船、沈没しちゃってさー」
『...はい?』
「漂流生活もしたっけ。な!ピカチュウ」
「ピカチュ!」
『あのサトシさん私の悲痛な訴え聞いてましたか!?船初めてって言ったのに、何ですかその更に恐怖を煽る体験談!』
「何があっても、わりと何とかなるもんだって」
『意志疎通が図れない...っ!』
彼なりの励ましなのかもしれませんが。初めての船旅は、深い爪痕のようなトラウマが残りそうであります。
初めてと言っても決して馬鹿にしなかったその姿に、ちょっと救われたりしたのですけど...その後の言い分があまりにも強烈すぎました。
『そんな体験したのに...サトシさん、怖くないんですか?』
「俺はさ。今までどんなピンチにあった時でも、コイツ...ピカチュウと乗り越えて来たんだ。だから大丈夫さ!それに仲間がいると、旅はもっと楽しくなるしな!」
『ふ...船旅、どころか、私。こうやって外を出歩くの、初めてなんですよ?いちいち怖じ気づてるの見てたら、面倒くさくなるかも...』
「そうかぁ?反応が新鮮で面白いじゃん!」
『じ、時代も、違うから。サトシさんにとっては普通の事でも、私、本当にいちいちびっくりするかも...』
「何だよもーユカ!お前心配しすぎだって!」
『ふわっ!』
一度決めたことなのに、今更不安になってきた事を次から次へと口に出していると。
元々気が長い方ではないのでしょうね。痺れを切らしたかのように、サトシさんは私の首元に腕を回して肩を組んできました。何故か。
「俺、言ったよな?ユカに、この世界を見せてやりたいって。どんなに怖くたって、俺が一緒だから」
『で、でも...あんまりにもビビりすぎて、呆れちゃうかもですよ...』
「誰だって初めての事はあるんだから、馬鹿になんかしないさ。ひとりじゃないってだけで、俺は全然違うけど...ユカはどうなんだ?」
『はは...正直、まだ』
「まぁ徐々にでいいからさ!旅はまだまだこれからなんだぜ!」
『ぐへっ!?ちょ、そんな強く肩叩かれたら痛いですよ!』
「ははは!ちょっと変な声だった!」
『誰のせいだと...!』
そうやって、不安なんか全部笑い飛ばすその姿は誰かを思い出すような気がしたのですが...あれ。誰でしたっけか。やっぱり分かりませんでした。
私の気持ちを知っていてかどうかまでは、分かりませんけど。肩に回しされていた手は、今は私の手のひらをぎゅっと力強く握りしめてくれていました。まるで大丈夫だって、励ましてくれているようで。
『緊張も、あるのかもしれません』
「あぁ。それなら分かる。始まりって何かすげードキドキするんだよな」
『けど...そうですね。一緒ならって思うと、ちょっと肩の力を抜いて頑張れそうです』
「おう!その意気だぜユカ!...うわっ、帽子が...!」
急に強い風が吹いたせいで、サトシさんの帽子がふわりと飛んでいってしまったのですが。不自然な所でそれは止まりました。
どうやら誰かがキャッチしてくれたようです...けど...。
『紫の...カラバリ付きサ、』
「エイパムじゃないか!」
『...サル』
「だからエイパムだって!何だ、お前付いてきちゃったのか」
何だかこのやり取りもお決まりな流れになりそうな予感です。
今から引き返せる訳ではないですし。どうやらお供が増えたようですね。旅を続ければ、知らない体験は勿論のこと。出会いもあるんだろうかと、彼らを見てぼんやり思いました。分からないことだらけで、不安は尽きそうにないです。でも...そうですね。
「着いた!行こうぜ、ユカ!」
『...はいっ』
迷わず差し出してくれたその手に、今は付いていく事にしましょう。
サトシさんと一緒だと、不思議とこの先が楽しみだと思えるから。