act.10
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「ミュージカルであんな役やらされるはめになって。本当は凄く嫌だったんだ。可愛いだとか似合ってるとか、言われるし。
特に演出のアイツが。
俺…男なのにさ」
『あー…はは』
乃木君が憎しみを込めて口にしたアイツって。あれですよね。
リハでやたら張り切ってた、金髪で奇抜な衣装が普段着の、あの人の事ですよね。
敢えて誰とは固有名詞出しませんが。
思わず苦笑いしていたら、不意に乃木君の雰囲気が柔らかくなりました。
「こんな役、散々だって思ってたけど。でも、今はちょっとだけ良かったって思えるよ」
『ふぇ…?な、何で…』
「早瀬は、俺のことをちゃんと男として見てくれてるって、分かったからさ」
『へっ…!?』
今度は私が、手で顔を隠す番になってしまいました。
あ、あれあれ?でもちょっとよく分からない。
乃木君は、男の子。当たり前じゃないですか。
でも、だったらどうして?
男の子として見てるんだって指摘されただけで、こんなにも動揺して、ドキドキしちゃうんですか…!?
そんな混乱は置いてけぼりにされて、話はどんどん進んでしまいます。
「だから、嬉しかったんだ」
『……は』
「早瀬、ありが…」
『くしょっ!』
「……」
『あ…いやっ。ごめっ。最近夜って肌寒…』
ぐうぅぅーっ
『……っ!』
「…ぷっ」
何があったか具体的に申しますと。
乃木君が感謝の言葉を述べようとした、結構シリアスな場面。
そこで私、変なくしゃみを炸裂させてしまう訳ですよ。
明らかに白けた空気に、言い訳して誤魔化そうとしたら、今度は腹の虫が鳴ってしまった…と。
今だ笑っている乃木君によって、赤面度倍増です。
うぅ…。穴があったら、沈みたい。入る通り越して。
これは日向君に、緊張感切れてると言われても仕方ないです…。
「あはは…っ。早瀬って、本当に面白い…っ」
『うぅ…。何だか乃木君には情けない所ばっかり目撃されてる気が』
「…早瀬」
『え…。んぇ…っ!?』