act.9
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『うぅぅぅー…っ、ひぐっ』
「…そういうば、泣き虫だとも言ってたかな…翼が」
『ぁ、安藤先輩、じゃべりずぎ…ぐしっ』
「由香ちゃん。もうちょっとこっちにおいで?」
『ぅ…?』
何の疑いもなく、ベッドサイドに近づいた瞬間。
世界が、揺れました。
そして気が付いたら、目の前には清潔そうな病院着が視界いっぱいに広がっていて…。
…ん?
あんまりにもナチュラルだったからなすがままになっちゃいましたけど…。
これって…だっ、だだ、抱き…っ!?
『せっ、せせせ先輩!?』
「僕、ハンカチ持ってないからさ」
『ははいっ?』
「由香ちゃんが泣き止むまで、こうしていてもいいかな?」
『ぇ、ぁ、ああの』
「由香ちゃんの事泣かせちゃったのを翼に知られたら、怒られちゃうよ」
『ぁ…あぅ…っ』
「ね?」
『………はい』
…ん?いえ、ちょっと待って下さい。
ちょっと冷静になった頭で考えたんですけど。
園生先輩にハグされて、ビックリしたあまりに…。
私、既に涙止まってません?
『…園生先輩?』
「どうしたの?」
『あの…』
「ん?」
『………』
この時、思いました。
園生先輩って、何というか…こう、凄く巧みな人だと。
自分が持っているスキルを最大限生かして、他人を思うがままに動かしているに違いないです。
言葉にすると悪人みたいだなおいおいおい…!
何でこんな事を思うに至ったかったって。
だってこんなに近くにいて、泣き止んでるの気が付かないわけないじゃないですか!
相手の心音とか、息遣いが伝わるくらいに、近く…ちょ、止めます。これ以上具体的に表現するの。
恥死してしまう。
「由香ちゃん?」
『…文化祭、晴れるといいですね』
それにしてもどうして離してくれないんだろう本当に分からない句読点を打つ余裕がないくらい頭混乱する…あまりに。
全然違う事を口走っていました私ちょっとしっかりして。
でも園生先輩は、楽しみだよと言って、嬉しそうに目を細めてくれました。