act.8
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♯2
嘘でした。出会いました。
次の日、大層なフルーツバスケットをぶら下げた乃木君と、正田さん+陽一君に遭遇しました。
昨日日向君が過労で入院したらしく、わざわざ許可を取ってお見舞いに来たらしいです。
(正田さんは何故かスケッチブックとカメラを持参していた)
日向君が入院ですか。
うーん…。
「見舞いと言う名の暇つぶしだったら燃やすぞ。てめぇ」
『し、失礼ですね!ちゃんとお見舞いです!ほらっお花ですっ』
「………」
日向君の疑わしい視線が突き刺さります。
では心の中だけで告白しましょう。
ごめんなさい。
文化祭の仕事を全部取り上げられてしまったので、暇、つぶしに来ました。
只今、日向君の病室にお見舞い(という名の暇つぶし)に来ています。
流石に手ぶらじゃあれかなぁと思いまして。
あれって何だよって…えぇ。
暇つぶしだとバレて燃やされる可能性が高いという事ですよ。
心読み君が持って来てくれた苺から、お花だけをちょっと摘み取りまして。
それを花束っぽくして持って来てみました。
『花瓶だと苺の花が溺れちゃうので、ついでに小皿も持ってきました!ちょっとお水を入れておけば、すぐに枯れることはないと思われ…』
「…それ」
『はい?』
「苺、なのか」
『そうですよ。白くて小さくて、可愛いですよね』
元々は岬先生が育てていたものなので。
もしかしたら歩き出すかもしれないことは、黙っておきましょう。
えぇ。勿論。
『苺、食べたかったですか?』
「………別に」
『?』
「嫌い、だから」
苦々しく、まるで言い聞かせるように呟いて、それきり日向君は口を閉ざしてしまいました。
…私、地雷踏んじゃった系ですかね。
『日向く…』
何とか取り繕うと、口を開いた時でした。
病室のドアがノックもなく乱暴に開かれて、男の人が入ってきました。
「あーらら。先客がいたんだ?仲良くしてる所悪いねぇ。
こんにちは、日向棗。…いや、黒猫」
「…誰だ。てめぇ」
「あれ、知らないの?結構有名だと思ったんだけどなー。レオだよ。毛利レオ」
突然の乱入者は、日向君の威嚇をものともせず、話を進めていきます。
…この人、顔は笑ってるのに。態度が凄く威圧的だ。
それに当てられて、身じろぎすら出来ないまま、ただ呆然と二人の会話を聞いていました。
「まさかこんな所で黒猫にお目にかかれるとはね。…来てもらうぞ」
「おい。…おい!」
『え…っ。わた、し、ですか』
「お前はここから逃げろ」
「馬鹿だなぁ黒猫は。この場を見られたんだ。その子も逃がすわけないだろ?」
「由香!」
『………!』
頭で考えるより、体が先に動いてました。
気がついたら、サイドテーブルに置いてあったフルーツバスケットを掴んで。
毛利レオに向かって思い切りぶん投げてました。
「な…っ!?」
『…っ』
体が震えて、上手く動けない。
でも何とか奮い立たせて向かった先は、日向君のベッド。
「てめぇ逃げろって言ったのが聞こえなかったのか!」
尋常じゃない緊迫感に飲まれて、日向君の怒鳴り声に言い返す余裕すら無いです。
震える手で探しているのは、ナースコール。
『ナースコール押せば、だ、誰か来てくれるはず…っ』
「力を抜け!」
『!?』
毛利レオの声を聞いた途端、全身の力が抜けて、床に倒れ込んでしまいました。
彼は私の腕をつかんで引っ張り上げて、耳元で囁くように言葉を続けます。
「悪いね、お嬢ちゃん。暫く、眠りにつけ」
『あ…』
「由香…っ!」
「あれ。黒猫にはあんまり効かなかった?俺の声フェロモン。
それとも…よっぽど大事?この子が」
「黙れ…っ」
「まぁいいけど。じゃ、お前はこの薬で暫く眠ってもらうよ」
「…っ」
意識が落ちていくのに、逆らえない。
日向君が毛利レオに押さえつけられるのを見たのを最後に、視界は暗転。
意識はプッツリ途絶えてしまいました。
嘘でした。出会いました。
次の日、大層なフルーツバスケットをぶら下げた乃木君と、正田さん+陽一君に遭遇しました。
昨日日向君が過労で入院したらしく、わざわざ許可を取ってお見舞いに来たらしいです。
(正田さんは何故かスケッチブックとカメラを持参していた)
日向君が入院ですか。
うーん…。
*
「見舞いと言う名の暇つぶしだったら燃やすぞ。てめぇ」
『し、失礼ですね!ちゃんとお見舞いです!ほらっお花ですっ』
「………」
日向君の疑わしい視線が突き刺さります。
では心の中だけで告白しましょう。
ごめんなさい。
文化祭の仕事を全部取り上げられてしまったので、暇、つぶしに来ました。
只今、日向君の病室にお見舞い(という名の暇つぶし)に来ています。
流石に手ぶらじゃあれかなぁと思いまして。
あれって何だよって…えぇ。
暇つぶしだとバレて燃やされる可能性が高いという事ですよ。
心読み君が持って来てくれた苺から、お花だけをちょっと摘み取りまして。
それを花束っぽくして持って来てみました。
『花瓶だと苺の花が溺れちゃうので、ついでに小皿も持ってきました!ちょっとお水を入れておけば、すぐに枯れることはないと思われ…』
「…それ」
『はい?』
「苺、なのか」
『そうですよ。白くて小さくて、可愛いですよね』
元々は岬先生が育てていたものなので。
もしかしたら歩き出すかもしれないことは、黙っておきましょう。
えぇ。勿論。
『苺、食べたかったですか?』
「………別に」
『?』
「嫌い、だから」
苦々しく、まるで言い聞かせるように呟いて、それきり日向君は口を閉ざしてしまいました。
…私、地雷踏んじゃった系ですかね。
『日向く…』
何とか取り繕うと、口を開いた時でした。
病室のドアがノックもなく乱暴に開かれて、男の人が入ってきました。
「あーらら。先客がいたんだ?仲良くしてる所悪いねぇ。
こんにちは、日向棗。…いや、黒猫」
「…誰だ。てめぇ」
「あれ、知らないの?結構有名だと思ったんだけどなー。レオだよ。毛利レオ」
突然の乱入者は、日向君の威嚇をものともせず、話を進めていきます。
…この人、顔は笑ってるのに。態度が凄く威圧的だ。
それに当てられて、身じろぎすら出来ないまま、ただ呆然と二人の会話を聞いていました。
「まさかこんな所で黒猫にお目にかかれるとはね。…来てもらうぞ」
「おい。…おい!」
『え…っ。わた、し、ですか』
「お前はここから逃げろ」
「馬鹿だなぁ黒猫は。この場を見られたんだ。その子も逃がすわけないだろ?」
「由香!」
『………!』
頭で考えるより、体が先に動いてました。
気がついたら、サイドテーブルに置いてあったフルーツバスケットを掴んで。
毛利レオに向かって思い切りぶん投げてました。
「な…っ!?」
『…っ』
体が震えて、上手く動けない。
でも何とか奮い立たせて向かった先は、日向君のベッド。
「てめぇ逃げろって言ったのが聞こえなかったのか!」
尋常じゃない緊迫感に飲まれて、日向君の怒鳴り声に言い返す余裕すら無いです。
震える手で探しているのは、ナースコール。
『ナースコール押せば、だ、誰か来てくれるはず…っ』
「力を抜け!」
『!?』
毛利レオの声を聞いた途端、全身の力が抜けて、床に倒れ込んでしまいました。
彼は私の腕をつかんで引っ張り上げて、耳元で囁くように言葉を続けます。
「悪いね、お嬢ちゃん。暫く、眠りにつけ」
『あ…』
「由香…っ!」
「あれ。黒猫にはあんまり効かなかった?俺の声フェロモン。
それとも…よっぽど大事?この子が」
「黙れ…っ」
「まぁいいけど。じゃ、お前はこの薬で暫く眠ってもらうよ」
「…っ」
意識が落ちていくのに、逆らえない。
日向君が毛利レオに押さえつけられるのを見たのを最後に、視界は暗転。
意識はプッツリ途絶えてしまいました。