act.5
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*
困ったような、悲しそうな笑顔を浮かべる人。
私を守る為に、そうやってずっと側にいてくれたあの人。
多分…ううん。きっと私は、心の何処かであの人と日向君を重ねてる。
だからこそ、あの時の日向君の笑顔が離れないんだと思う。
そしてあの人に出来なかったことを、日向君に押し付けているのかもしれない。
自己満足の、為に。
『日向君…?』
『ごめんなさい』
「…何がだ」
今は日向君が眠っている、私のベッドの枕元に立って。
こっそりと謝罪をしたら。
まさか、返事が返ってくるとは思いもよらず。
『ぉ、起き、て、きゃ、ぁっ』
あんまりにもビックリして、頭が真っ白になってオロオロしてたら。
日向君に腕を引っ張られて、ベッドになだれ込んでしまいました。
『ぁ、あの、近…っ』
「何で謝るんだよ。部屋に入れたのに下心でもあったのかよ。計算してたのか」
『!違うっ!ただ必死…で…』
「なら謝る事ねーんじゃねーの」
『それが…っ。たとえそれが自己満足でも、ですか…っ』
日向君を介抱したのはいいけど、もうそれがずっと頭の中でぐるぐるしていて。
つっかかっていたモヤモヤが、涙と一緒に思わずポロッと零れてしまいました。
次の瞬間、
ビシッ!
『いたっ!?』
本格的なデコピンくらいました。
…今日は叩かれ難の相ですかね。
涙も思わず引っ込みました。
「お前さ。色々深く考え過ぎなんじゃねーの。アホなくせに」
『あ、アホ…』
「アホだろ」
『な、何度も言わなくたって…』
「あんな必死で俺を引きずり上げたり、怒鳴りつけやがったり」
怒鳴ったこと、しっかり根に持ってません?この人…
怖いからつっこまないけど!
「そんな奴が、自己満足の為とかめんどくせー事まで考えられるかってんだよ」
『………』
「お前聞いてんのか。分かったのかよ」
『きっ、聞いてます!よく分かりましたっ』
えーと。
これって、つまり。
慰めてくれてるんですかね…あの日向君が。
「だったらもう、泣くな」
ポンポンと頭を軽く叩いてくれた手付きは、普段の日向君からは考えられないぐらいに、優しいものでした。
それに凄く安心した私は、急激に睡魔に襲われて。
そういえば最近よく眠れなかったなぁと思ったのを最後に、意識が遠のいていくのでした…。