act.4
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♯2
結局。
『…はぁ』
思い切り青春謳歌した感が否めないです。
…謳歌し過ぎて身体中の水分が足りなくなってしまいました。
只今ちょっと外れにある水飲み場で、早瀬由香は水分補給中です。
ドッジボールに思わず白熱して思い出したんですが。
そういえば私、元々は体動かすのは嫌いじゃなかったです。
でもいつの間にかそれをしなくなったんでしたっけ。
…いつから、だったかな。
『…!誰?』
水道の手前でぼんやりしてたら、後ろに人が立つ気配がしました。
「……」
『…あ、日向、君。どうかしたんですか?』
「……」
『……』
「……水」
『…あ。ですよね…すみません』
邪魔でしたかそうですか。
ではごゆっくり水分補給をどうぞ。私めは退散しますので。
そう思って踵を返そうとしたら、また誰かが来ました。…って、
『あの時の美人さん…』
「…棗。こんな所にいたのか」
「!」
「急な任務が入ってお前を探していた。来なさい」
「……っ」
私の不躾な独り言をスルーして、(いや独り言だから別にいいんですけど)二人だけの世界が目の前に出来上がりました。
…何?このピリピリした空気。
というか私いなくなってもいいでしょうか。何か怖いし。
「…お前」
『はい?』
「今見たもの聞いたこと、誰にも言うな」
元々つり目がちな赤い目で、更に睨みをきかせた日向君に凄まれました。
はい言われなくても勿論そのつもりでございます。
いつもより超怖いし。いや、何がって日向君が。
…そのつもりだったんですよ本当に。
「特に、流架にはな」
『…はぁ?』
…その言葉を聞くまでは。
「…何だよ」
『何ですかそれ…』
-辛い筈なのに、平気なふりするよりも…。
あの時の、乃木君の寂しそうな笑顔が、声が。頭の中でよみがえりました。
きっと私以外の誰かに伝えたかったその言葉。
誰か、なんて。
考えなくても、分かるじゃないですか。
『乃木君が本気で心配してるのに、何なんですかそれ!』
「…関係ねーだろ」
『でも乃木君は関係なく無いですっ。大アリです!』
「…随分肩入れするな。お前流架が好きなのか?」
『は?何ですかそれ。茶化して馬鹿にしてんですか。ふざけないで下さい』
私たちの言い合いを横目に、美人さんは傍観者決め込んで見てたみたいだけど、呆れたように口を開きました。
「棗…早くしなさい」
『話ならすぐに終わるんで、ちょっと黙っててもらっていーですかね。美人仮面さん』
「「………」」
あーだめです。
一度怒りの沸点に到達するともう止まらないわこれ。
何でだろう。何でこんなに、イライラするんだろう。
『茶化そうが馬鹿にしようが、もう何でもいいです。でも、乃木君を安心させることくらい、してあげたっていいんじゃないですか』
「……変な奴」
『茶化して馬鹿にした挙げ句、変な奴呼ばわりでです…か』
この瞬間、目なんて、合わせなきゃ良かったって思った。
困ったような、悲しげに赤い目を歪ませた笑顔を、見てしまったから。
『…お話、以上です。失礼しました!』
脱兎の如く逃げ去った後、早瀬由香…か。と呟いた声があったのを、私は知らない。
結局。
『…はぁ』
思い切り青春謳歌した感が否めないです。
…謳歌し過ぎて身体中の水分が足りなくなってしまいました。
只今ちょっと外れにある水飲み場で、早瀬由香は水分補給中です。
ドッジボールに思わず白熱して思い出したんですが。
そういえば私、元々は体動かすのは嫌いじゃなかったです。
でもいつの間にかそれをしなくなったんでしたっけ。
…いつから、だったかな。
『…!誰?』
水道の手前でぼんやりしてたら、後ろに人が立つ気配がしました。
「……」
『…あ、日向、君。どうかしたんですか?』
「……」
『……』
「……水」
『…あ。ですよね…すみません』
邪魔でしたかそうですか。
ではごゆっくり水分補給をどうぞ。私めは退散しますので。
そう思って踵を返そうとしたら、また誰かが来ました。…って、
『あの時の美人さん…』
「…棗。こんな所にいたのか」
「!」
「急な任務が入ってお前を探していた。来なさい」
「……っ」
私の不躾な独り言をスルーして、(いや独り言だから別にいいんですけど)二人だけの世界が目の前に出来上がりました。
…何?このピリピリした空気。
というか私いなくなってもいいでしょうか。何か怖いし。
「…お前」
『はい?』
「今見たもの聞いたこと、誰にも言うな」
元々つり目がちな赤い目で、更に睨みをきかせた日向君に凄まれました。
はい言われなくても勿論そのつもりでございます。
いつもより超怖いし。いや、何がって日向君が。
…そのつもりだったんですよ本当に。
「特に、流架にはな」
『…はぁ?』
…その言葉を聞くまでは。
「…何だよ」
『何ですかそれ…』
-辛い筈なのに、平気なふりするよりも…。
あの時の、乃木君の寂しそうな笑顔が、声が。頭の中でよみがえりました。
きっと私以外の誰かに伝えたかったその言葉。
誰か、なんて。
考えなくても、分かるじゃないですか。
『乃木君が本気で心配してるのに、何なんですかそれ!』
「…関係ねーだろ」
『でも乃木君は関係なく無いですっ。大アリです!』
「…随分肩入れするな。お前流架が好きなのか?」
『は?何ですかそれ。茶化して馬鹿にしてんですか。ふざけないで下さい』
私たちの言い合いを横目に、美人さんは傍観者決め込んで見てたみたいだけど、呆れたように口を開きました。
「棗…早くしなさい」
『話ならすぐに終わるんで、ちょっと黙っててもらっていーですかね。美人仮面さん』
「「………」」
あーだめです。
一度怒りの沸点に到達するともう止まらないわこれ。
何でだろう。何でこんなに、イライラするんだろう。
『茶化そうが馬鹿にしようが、もう何でもいいです。でも、乃木君を安心させることくらい、してあげたっていいんじゃないですか』
「……変な奴」
『茶化して馬鹿にした挙げ句、変な奴呼ばわりでです…か』
この瞬間、目なんて、合わせなきゃ良かったって思った。
困ったような、悲しげに赤い目を歪ませた笑顔を、見てしまったから。
『…お話、以上です。失礼しました!』
脱兎の如く逃げ去った後、早瀬由香…か。と呟いた声があったのを、私は知らない。