♯２

「待てーっ」

「ゴミ箱逃げんなコラーっ」

『…ん？』



最近日課と化した、花だんの花の水やりの為に外を歩いてたら。
何処からか声が聞こえてきました。

キョロキョロと声の主を探してみると、少し離れた所でゴミ箱を追い掛け回してる姿を見つけました。



『(佐倉蜜柑さん…)』



そういえば、今日遅刻してたなぁ…佐倉さん。

ふと視線を逸らすと、私と同じように佐倉さんを見ている姿が目に止まりました。



『(鳴海先生…？)』



…思わず見入ってしまいました。鳴海先生を。

何故なら、佐倉さんを見つめる先生の顔が、今までにないってくらいに優しいものだったから。
例えるなら、我が子の成長を微笑ましく見つめる親の顔？

佐倉蜜柑さんって…他の子とは違う、何かがあるんでしょうか。
少なくとも、鳴海先生にとっては。


…にしても。
鳴海先生って、黙ってれば普通にイケメンなんですね。

どうして口を開くと、色々残念な感じになってしまうんでしょうか…。

口が裂けても絶対言えない、失礼極まりない事を考えてたら。
鳴海先生が懐かしむように、何かを呟きました。