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「…あれは」
「普通の鳥が飛んでるように見えるけど、アレからぶら下がってる子がちょっとね~」
「…何処かに向かって、飛んでいるように見えるな」
果たしてあれがそんじょそこらで飛んでいる、普通の鳥に見えるのか。
その議論はまたの機会になりそうです。
(だってどう見たって、あの鳥絶対デカいんですってば)
アレからぶら下がってる人は…クラスメイトの、乃木流架君に見えました。
動物フェロモンのアリスの持ち主だったら、ああやって空を飛ぶのも朝飯前…なんでしょうか。
とか思いながら、先生たちと飛行物体を眺めていると…。
『「「あ」」』
見事に私達の声がハモりました。その心は。
『乃木君…本部に突っ込んで行っちゃいましたね』
「あの部屋の辺りは、確か…」
「だとしたらちょっと面倒な事になりそうだね~」
「のん気に言ってる場合か!行くぞ、鳴海」
そうだね、と短く返事をした鳴海先生は、岬先生と足早にこの場を去ろうとしています。
…何だか状況が飲み込めないけど、私とりあえず帰っていいんでしょうか。
若干挙動不審になっていると、鳴海先生が思い出した様に私に声を掛けました。
「由香ちゃん、メガネ壊れちゃったんだよね?…岬先生が踏んで」
『へっ?あぁ、まぁ、はい。メガネとしての勤めが果たせなくなるほどに』
「………っ!」
今の発言に、誰かがあからさまなショックを受けたようですが。
うん。まぁ私は悪くない。
「僕も責任ちょっとあるからさ。放課後にでも買い物付き合うよ!」
『んぇ!?いっ、いやいやいや!だからそれは別に大じょ』
「あぁ、大丈夫大丈夫!送り迎えは岬先生がしてくれるから!」
『「はぁ!?」』
「じゃっ、よろしくね~っ」
い…行ってしまった。語尾に音符とかはぁととかが付きそうなテンションで。
それはまるで、初夏に駆け巡る一陣のさわやかな風のごとく………って。な、な、な…
何しくさってんだあの変態ぃぃぃ!!!
…とは叫ぶ勇気はやっぱりなく。
一人温室に取り残された私は、ただその場に立ち尽くしていました…。
どうにも割り切れない、このやるせなさを胸に抱いて。