act.22
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#4
過去の自分って、今を真剣に生きて行動していると思うんですよ。その時の頑張りがどうであれ。
だけどそれを後になって振り返ると、時にそれは自分を激しくさいなませる一因…。まさしく黒歴史と呼ぶに相応しい鋭利な武器になって、容赦なく自分に突き刺さる事があるのだと。今、痛感しています。なうですよ。現在進行形。
どういう状況なのかって。
「いつかきっと、みんなと笑って会える日を葵、ずっと待ってるから。本当にありがとう。みんな。…その為に、葵も頑張るね。
葵、由香お姉ちゃんみたいに強くなりたい。嫌な事があっても、真っ正面から立ち向かって…回し蹴りで吹っ飛ばしたり、アッパー仕掛けて爽快にやっつけて大切な人の笑顔を守れるように!」
「お姉ちゃんって、それ…由香ちゃんの事言うとるん?」
「えへへ、うん。そうだよ!花姫殿の地下で、みかんちゃんには勇気を貰ってあの場所から一歩踏み出せたけど…。葵、由香お姉ちゃんにも小さい頃沢山たくさん助けられたんだよ!」
「そうやったんや…!」
「てか回し蹴りって…」
「あんなに可愛い子の口からアッパーとかいう言葉も出てたぞ…どういう状況」
「というかそれ全部…早瀬さんが…?」
『公衆の面前で過去の出来事が暴露とか。これ…なんていう公開処刑ですか…っ』
「あ、由香ちゃんや!無事退院出来たん?」
『佐倉さん…。そ、ですね…主治医の方のお小言…もとい、お話が長引いてしまったんですけど…何とか』
「由香ちゃん、何やまだ具合悪いん?大丈夫?」
正直、大丈夫とは言いがたいです。
たった今、精神的にダメージをくらってしまったので。
場所は病院から一転、学園の校門付近です。
葵ちゃんがこの場所から晴れて解放される日だというのは聞いていたので、主治医の方のお話もそこそこにして切り上げてから急いで向かったはいいんですけど…。
自分限定暴露大会が待っているとは、思いもよらずでした。
「わー早瀬さんだ何か久しぶりー。元気だったー?何かに大分打ちのめされてるけど!」
『そこで私を更に打ちのめす援護射撃はもう、最早流石だよ心読み君…っ』
ここぞとばかりに、すかさず追撃をかます心読み君に応える余裕はなさそうです…。
葵ちゃんがいじめられっ子に泣かされて撃退した時の部分のみが、ダイジェストに公開されたので…はい。周囲の視線が…非常にいたたまれなくて。うっかり泣きそうなんですけど。これ。
「由香お姉ちゃん!ここを離れる前にもう一度、お姉ちゃんに会えると思ってなかった…!急いで会いに来てくれたの?」
『ちょ…あの、葵さん?何だか私、昔のお話の一件で、この場にいる方々にあらぬ誤解を受けてしまったような気が激しくするんですけど…!』
「そ、そうかな?ごめんなさい…。でも、私にとっては凄くカッコ良くて。私のお友達は、こんなに凄いんだよって。自慢したくなっちゃったの…」
そう言ってしょんぼりする姿は、庇護欲をそそられるような可愛さしかなくて。
くっそ、釈然としないけど可愛いは正義ですよこんちきしょー。
『まあ…いいです、とりあえず。ともかくお見送りが間に合って良かったです。…元気で、葵ちゃん』
「うん…っ。必ず、また会おうね…!」
『…約束、ですか?』
「ふふっ、うん、約束!葵、今度はきっと、忘れないから」
『はい。私ももう、忘れないです。絶対に。…あと…』
視線を巡らせれば、やっぱりこの場にも日向君がいました。
彼もおそらくそれなりの怪我をした筈なので、入院先で顔を合わせると思っていたのですが。
これが面白い程にエンカウントしなくて。話も出来ずに、今に至ってしまいました。…やっと、色々思い出せたのに。
過去を清算できたのなら、彼もここにいる理由はなくなって居なくなるのではないかと思い至って。面と向かって話す機会は、今日で最後かもしれないから。
それがこの場へ来た大きな理由、なのですけど…。
『なつ…日向君も…その』
「帰らねーよ」
『はい?帰らないって…え、残るんですか。ここに』
「てかこのくだり、てめーが来る前にもやってんだよ。何度も言わせるな」
『えぇぇ…そんな事言われても理不尽なんですが…!これでも急いで、』
「知るか」
『せめて最後まで言わせてくれませんかね…っ』
「ふふ…っ。ねぇお兄ちゃん。由香お姉ちゃんのこと、お願いね」
元々、日向君は口数が少ない人でしたから。
お願いに対して特に何か答えるわけでもなく、お互いじっと見ていただけのように思ったのですけど。
葵ちゃんは、それでも満足そうに笑ってみせてくれました。
間もなく迎えの人が来て、姿が見えなくなるまで。彼女はずっと笑ってました。
笑顔の姿が、日向君の目に焼き付いて、少しでも長く残るようにと。願っているようにも…そう、見えたのです。
過去の自分って、今を真剣に生きて行動していると思うんですよ。その時の頑張りがどうであれ。
だけどそれを後になって振り返ると、時にそれは自分を激しくさいなませる一因…。まさしく黒歴史と呼ぶに相応しい鋭利な武器になって、容赦なく自分に突き刺さる事があるのだと。今、痛感しています。なうですよ。現在進行形。
どういう状況なのかって。
「いつかきっと、みんなと笑って会える日を葵、ずっと待ってるから。本当にありがとう。みんな。…その為に、葵も頑張るね。
葵、由香お姉ちゃんみたいに強くなりたい。嫌な事があっても、真っ正面から立ち向かって…回し蹴りで吹っ飛ばしたり、アッパー仕掛けて爽快にやっつけて大切な人の笑顔を守れるように!」
「お姉ちゃんって、それ…由香ちゃんの事言うとるん?」
「えへへ、うん。そうだよ!花姫殿の地下で、みかんちゃんには勇気を貰ってあの場所から一歩踏み出せたけど…。葵、由香お姉ちゃんにも小さい頃沢山たくさん助けられたんだよ!」
「そうやったんや…!」
「てか回し蹴りって…」
「あんなに可愛い子の口からアッパーとかいう言葉も出てたぞ…どういう状況」
「というかそれ全部…早瀬さんが…?」
『公衆の面前で過去の出来事が暴露とか。これ…なんていう公開処刑ですか…っ』
「あ、由香ちゃんや!無事退院出来たん?」
『佐倉さん…。そ、ですね…主治医の方のお小言…もとい、お話が長引いてしまったんですけど…何とか』
「由香ちゃん、何やまだ具合悪いん?大丈夫?」
正直、大丈夫とは言いがたいです。
たった今、精神的にダメージをくらってしまったので。
場所は病院から一転、学園の校門付近です。
葵ちゃんがこの場所から晴れて解放される日だというのは聞いていたので、主治医の方のお話もそこそこにして切り上げてから急いで向かったはいいんですけど…。
自分限定暴露大会が待っているとは、思いもよらずでした。
「わー早瀬さんだ何か久しぶりー。元気だったー?何かに大分打ちのめされてるけど!」
『そこで私を更に打ちのめす援護射撃はもう、最早流石だよ心読み君…っ』
ここぞとばかりに、すかさず追撃をかます心読み君に応える余裕はなさそうです…。
葵ちゃんがいじめられっ子に泣かされて撃退した時の部分のみが、ダイジェストに公開されたので…はい。周囲の視線が…非常にいたたまれなくて。うっかり泣きそうなんですけど。これ。
「由香お姉ちゃん!ここを離れる前にもう一度、お姉ちゃんに会えると思ってなかった…!急いで会いに来てくれたの?」
『ちょ…あの、葵さん?何だか私、昔のお話の一件で、この場にいる方々にあらぬ誤解を受けてしまったような気が激しくするんですけど…!』
「そ、そうかな?ごめんなさい…。でも、私にとっては凄くカッコ良くて。私のお友達は、こんなに凄いんだよって。自慢したくなっちゃったの…」
そう言ってしょんぼりする姿は、庇護欲をそそられるような可愛さしかなくて。
くっそ、釈然としないけど可愛いは正義ですよこんちきしょー。
『まあ…いいです、とりあえず。ともかくお見送りが間に合って良かったです。…元気で、葵ちゃん』
「うん…っ。必ず、また会おうね…!」
『…約束、ですか?』
「ふふっ、うん、約束!葵、今度はきっと、忘れないから」
『はい。私ももう、忘れないです。絶対に。…あと…』
視線を巡らせれば、やっぱりこの場にも日向君がいました。
彼もおそらくそれなりの怪我をした筈なので、入院先で顔を合わせると思っていたのですが。
これが面白い程にエンカウントしなくて。話も出来ずに、今に至ってしまいました。…やっと、色々思い出せたのに。
過去を清算できたのなら、彼もここにいる理由はなくなって居なくなるのではないかと思い至って。面と向かって話す機会は、今日で最後かもしれないから。
それがこの場へ来た大きな理由、なのですけど…。
『なつ…日向君も…その』
「帰らねーよ」
『はい?帰らないって…え、残るんですか。ここに』
「てかこのくだり、てめーが来る前にもやってんだよ。何度も言わせるな」
『えぇぇ…そんな事言われても理不尽なんですが…!これでも急いで、』
「知るか」
『せめて最後まで言わせてくれませんかね…っ』
「ふふ…っ。ねぇお兄ちゃん。由香お姉ちゃんのこと、お願いね」
元々、日向君は口数が少ない人でしたから。
お願いに対して特に何か答えるわけでもなく、お互いじっと見ていただけのように思ったのですけど。
葵ちゃんは、それでも満足そうに笑ってみせてくれました。
間もなく迎えの人が来て、姿が見えなくなるまで。彼女はずっと笑ってました。
笑顔の姿が、日向君の目に焼き付いて、少しでも長く残るようにと。願っているようにも…そう、見えたのです。