act.22
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#2
「ねぇ。見たわよ。ハゲ」
「え"。見たって…どれ、いや何を」
「残念ながら音声は確認出来なかったのだけど。昨日の夜、由香泣いてたみたいじゃない。真夜中に一体何してたの…?」
「いやいやいや待て待て話せば分かるって、蛍ねーさん!由香、お前も起きろ!」
目を閉じていても、外の明るさを感じて只でさえも不快なのに。
ガクガクと揺さぶられて、ますます気が滅入りました。何かよく分からんけど話し声も聞こえるし。身をよじろうとしたら、ズキリと腰が痛んで上手く動けませんでした。
『う…腰いた…』
「腰が痛いですって…?本気で何したのよ」
「いや違うって!これはそういうあれじゃ」
「由香ねーちゃ、こしいたい?」
『ん…?これは確か…。そうだ。安藤先輩が無理矢理…ぐぅ』
「無理矢理…!?」
「由香!バカ、お前…っ。中途半端に喋ったまま寝るんじゃねぇー!」
耳元で叫ばれて渋々目を開くと。
近すぎてよく分からないけど、声的に目の前に安藤先輩が。
思考回路が働かないまま部屋を見渡すと、仁王立ちの今井さん(バカン砲装着済み)。後ろに流架君と陽一君の姿を確認出来ました。
何で朝っぱらからこんな面子が…?よくよく見たら、ベッドがいつも使ってるものと全然違う。めちゃくちゃ広い。
何だか意味が分からないけど、きっとこれはあれだ。
『何だ夢か…寝直そ』
「頼むから起きろーー!!」
俺の生命が危ぶまれる前にだとか叫んだその声は。
朝の初等部寮全体に響き渡ったらしいです。
『一晩寝たら元通り。みたいな展開を、期待したのですけど…』
「まぁ現実はそんな甘くはないっつー話だ。ほら。次は俺達の着付け手伝ってもらうぞ」
一夜明けまして。くっついたままの人達は、いずれも離れない状況が続いています。朝は普通に寝ぼけてましたね。心労おかけしました安藤先輩。すみませんてへぺろ。
そんな朝一番に届いたのは、中等部校長からの贈り物でした。昨日着用した着物よりも豪勢であろう振り袖が、四着分でしょうか。
そちらの事情は理解した。でも男子禁制だから、コブ付きも振り袖着させて女の子になって来てね、と。
要約するとそんな感じのお便り付きも一緒に。
そして招待にあずかったのは私達じゃないのに。何故ゆえ私達まで着物を着なくてはならんのですか。
「面倒でも仕方ねーの。蜜柑達を送らないとだから、俺達もそれなりの格好しないと変だろ?」
『あれ、私何か口に出してました?』
「口っていうか、顔に思い切り出てたな」
「早瀬さん、来年はポーカーフェイスを目指すとか言ってたのに。早々に駄目じゃん。笑えるー」
『君はいつも笑いが絶えないでしょうが、心読み君。年末に掲げた抱負が三が日以内で全部打ち砕かれるとか。もうやる気しない』
「はいはい。やる気なくても着付けしなきゃならんのは変わらないから。さっさとやるぞー」
『心読み君を筆頭に、皆さん時々私への対応が雑になるの本当に何なんです…?』
そんな訳で、辿り着きました。花園会の会場、中等部校長の住居でもある花姫殿。
あれ、京都御所にでも迷いこんでしまいましたかと。そんな錯覚すら起こす荘厳な佇まいは。…そうですね。
確かに、冬休みの気を抜いたラフな服装でうろついたら場違い感甚だしいです。そりゃめかしこめって言われるわ。
着付けを手伝って下さった正田さんをはじめ、クラスの女子の方々ありがとうございました。
そして何より。この花姫殿という場所。
「す…っすごい、すっごーい!何ここ?これが家!?」
「ありえねーよなー。この広さ…」
「校長先生何者!?」
「それは俺が聞きたい」
先ほど通ってきた中等部の校舎や寮よりも遥かに凌駕する大きさに、唖然とします。広っ。
何度か目にした事がある筈の安藤先輩ですら、圧倒させるものがあるようです。
佐倉さんのテンションがハイになって、物凄く日向君が迷惑そうにしていますけど。それをうっかり失念してしまう程には、確かに圧巻されますね。これは。
「ようこそおいで下さいました。ここより先は私が案内させて頂きます」
『(あ…この人)』
「花園会にて筆頭花姫のお役に就かせてもらっています。かきつばたこと、高等部三年の山之内静音でございます」
アリス祭の初日、佐倉さんと遅刻してしまった時。櫻野先輩と一緒にいた…技術系、総代表。
佐倉さんも覚えていたのか、目を真ん丸くして驚いているようです。…や、案外振り袖姿に見とれたのかも。
それにしても。平安時代にでもトリップしたようなこの場所へ、これから佐倉さん達は行くわけですね。わーすげー面倒くさそー。ま、頑張って下さい。私は関係な…。
「………」
『………っ?』
「なぁ…由香。お前さっきからすげー技術系総代表に見られてないか?」
『…気のせいじゃないですかね。安藤先輩』
「由香ちゃん今度は何やらかしたの…」
『鳴海先生まで!?信用ないな私…っ。大体、これといった面識は大して無い筈なんですけ、』
「思い出したわ。早瀬由香。櫻野会長のおもt…気にかけてた。話は、常々」
『今何て言いかけました…?』
櫻野先輩。一体山之内先輩に、私の事何て話したっていうんですか…!
あと、そんな突っ込み入れられた以上、実は状況ヤバくなってませんかね。
櫻野先輩と面識があるだなんて。どういう事なのって、鳴海先生辺りが疑問に思いでもしたら。
芋づる式に、Zの件の事が勘ぐられるのでは…?それこそ櫻野先輩からは内密にって言われてるのに!
「年末の大掃除、助かったと言っていたわ」
「そうなの?由香ちゃん」
『え!?何ていうか、その。流れでそんな事もありましたね…っ。えと、櫻野先輩に宜しくお伝え下さい!』
だからしらばっくれる時は堂々としていろと。
安藤先輩から肘鉄をくらってしまいました。身長差がある為、頭に突き刺さって地味に痛い。
「ねぇ。見たわよ。ハゲ」
「え"。見たって…どれ、いや何を」
「残念ながら音声は確認出来なかったのだけど。昨日の夜、由香泣いてたみたいじゃない。真夜中に一体何してたの…?」
「いやいやいや待て待て話せば分かるって、蛍ねーさん!由香、お前も起きろ!」
目を閉じていても、外の明るさを感じて只でさえも不快なのに。
ガクガクと揺さぶられて、ますます気が滅入りました。何かよく分からんけど話し声も聞こえるし。身をよじろうとしたら、ズキリと腰が痛んで上手く動けませんでした。
『う…腰いた…』
「腰が痛いですって…?本気で何したのよ」
「いや違うって!これはそういうあれじゃ」
「由香ねーちゃ、こしいたい?」
『ん…?これは確か…。そうだ。安藤先輩が無理矢理…ぐぅ』
「無理矢理…!?」
「由香!バカ、お前…っ。中途半端に喋ったまま寝るんじゃねぇー!」
耳元で叫ばれて渋々目を開くと。
近すぎてよく分からないけど、声的に目の前に安藤先輩が。
思考回路が働かないまま部屋を見渡すと、仁王立ちの今井さん(バカン砲装着済み)。後ろに流架君と陽一君の姿を確認出来ました。
何で朝っぱらからこんな面子が…?よくよく見たら、ベッドがいつも使ってるものと全然違う。めちゃくちゃ広い。
何だか意味が分からないけど、きっとこれはあれだ。
『何だ夢か…寝直そ』
「頼むから起きろーー!!」
俺の生命が危ぶまれる前にだとか叫んだその声は。
朝の初等部寮全体に響き渡ったらしいです。
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『一晩寝たら元通り。みたいな展開を、期待したのですけど…』
「まぁ現実はそんな甘くはないっつー話だ。ほら。次は俺達の着付け手伝ってもらうぞ」
一夜明けまして。くっついたままの人達は、いずれも離れない状況が続いています。朝は普通に寝ぼけてましたね。心労おかけしました安藤先輩。すみませんてへぺろ。
そんな朝一番に届いたのは、中等部校長からの贈り物でした。昨日着用した着物よりも豪勢であろう振り袖が、四着分でしょうか。
そちらの事情は理解した。でも男子禁制だから、コブ付きも振り袖着させて女の子になって来てね、と。
要約するとそんな感じのお便り付きも一緒に。
そして招待にあずかったのは私達じゃないのに。何故ゆえ私達まで着物を着なくてはならんのですか。
「面倒でも仕方ねーの。蜜柑達を送らないとだから、俺達もそれなりの格好しないと変だろ?」
『あれ、私何か口に出してました?』
「口っていうか、顔に思い切り出てたな」
「早瀬さん、来年はポーカーフェイスを目指すとか言ってたのに。早々に駄目じゃん。笑えるー」
『君はいつも笑いが絶えないでしょうが、心読み君。年末に掲げた抱負が三が日以内で全部打ち砕かれるとか。もうやる気しない』
「はいはい。やる気なくても着付けしなきゃならんのは変わらないから。さっさとやるぞー」
『心読み君を筆頭に、皆さん時々私への対応が雑になるの本当に何なんです…?』
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そんな訳で、辿り着きました。花園会の会場、中等部校長の住居でもある花姫殿。
あれ、京都御所にでも迷いこんでしまいましたかと。そんな錯覚すら起こす荘厳な佇まいは。…そうですね。
確かに、冬休みの気を抜いたラフな服装でうろついたら場違い感甚だしいです。そりゃめかしこめって言われるわ。
着付けを手伝って下さった正田さんをはじめ、クラスの女子の方々ありがとうございました。
そして何より。この花姫殿という場所。
「す…っすごい、すっごーい!何ここ?これが家!?」
「ありえねーよなー。この広さ…」
「校長先生何者!?」
「それは俺が聞きたい」
先ほど通ってきた中等部の校舎や寮よりも遥かに凌駕する大きさに、唖然とします。広っ。
何度か目にした事がある筈の安藤先輩ですら、圧倒させるものがあるようです。
佐倉さんのテンションがハイになって、物凄く日向君が迷惑そうにしていますけど。それをうっかり失念してしまう程には、確かに圧巻されますね。これは。
「ようこそおいで下さいました。ここより先は私が案内させて頂きます」
『(あ…この人)』
「花園会にて筆頭花姫のお役に就かせてもらっています。かきつばたこと、高等部三年の山之内静音でございます」
アリス祭の初日、佐倉さんと遅刻してしまった時。櫻野先輩と一緒にいた…技術系、総代表。
佐倉さんも覚えていたのか、目を真ん丸くして驚いているようです。…や、案外振り袖姿に見とれたのかも。
それにしても。平安時代にでもトリップしたようなこの場所へ、これから佐倉さん達は行くわけですね。わーすげー面倒くさそー。ま、頑張って下さい。私は関係な…。
「………」
『………っ?』
「なぁ…由香。お前さっきからすげー技術系総代表に見られてないか?」
『…気のせいじゃないですかね。安藤先輩』
「由香ちゃん今度は何やらかしたの…」
『鳴海先生まで!?信用ないな私…っ。大体、これといった面識は大して無い筈なんですけ、』
「思い出したわ。早瀬由香。櫻野会長のおもt…気にかけてた。話は、常々」
『今何て言いかけました…?』
櫻野先輩。一体山之内先輩に、私の事何て話したっていうんですか…!
あと、そんな突っ込み入れられた以上、実は状況ヤバくなってませんかね。
櫻野先輩と面識があるだなんて。どういう事なのって、鳴海先生辺りが疑問に思いでもしたら。
芋づる式に、Zの件の事が勘ぐられるのでは…?それこそ櫻野先輩からは内密にって言われてるのに!
「年末の大掃除、助かったと言っていたわ」
「そうなの?由香ちゃん」
『え!?何ていうか、その。流れでそんな事もありましたね…っ。えと、櫻野先輩に宜しくお伝え下さい!』
だからしらばっくれる時は堂々としていろと。
安藤先輩から肘鉄をくらってしまいました。身長差がある為、頭に突き刺さって地味に痛い。