act.20
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「由香ちゃん、そこで出るごみ大分溜まってきたから。僕、一回捨てて来ちゃうね...よいしょ、と」
『あ、ありがとうです飛田く...て。結構な量じゃないですか、それっ。私も行きます!』
「うん、ごめんね、ありがとう」
年末に差し掛かる頃。能力別教室にて、大掃除という名の労働に駆り出されやはり安寧な日々はないのかと勢いでグレてしまいそうな中。
飛田君というマイナスイオンスマイルに癒され、何とか仕事を投げることなくやっております...はい。私が早瀬由香です。
潜在系は、学園内で一、二を争う生徒数の多さなので。大掃除範囲が広いのですよね...やらためたらに。
『ふー...中々、まだまだ終わりそうもないですね』
「大丈夫?由香ちゃん。疲れてない?」
『大丈夫ですよ!も、そんな風に優しく労ってくれる言葉をかけてくれるだけで強くなれる気すらします!』
「あはは、普段の早瀬さんの日常ってばバイオレンスな匂いすらするよね、あはは~」
『そこの通りすがりの心を読む人、やる気スイッチを消失させないでもらえますか』
その発言を否めない辺りが、また悲しい所ですね。
そう考えると、忙しいだけの今の状況が少しだけマシなような気がしてきました。ふむ。気を取り直して、頑張りますかね...ぼちぼち。
けれど、やはりというかなんというか。
そんな私の背後に、無難に終われそうもない不穏な影はすぐそこまで迫っていたのです。
『提出漏れ書類...ですか』
「そうだ」
その不穏な影...神野先生は。少々焦げているような匂いを放って、ご機嫌ななめクライマックス状態で、よりによって私に話しかけに来やがりました。
その背後には焦げて萎縮なさっている潜在系生徒が。これは...既に一悶着ありましたな。
「各能力系への伝達事項や、その他諸々の書類は確認した後、各能力系へ回覧して最終的に生徒会へ届けることになっている...のだが」
『それをうっかり(後ろで焦げてる人が)忘れて色んな物に紛れてしまい。大掃除で発見に至る...と』
「書類には目を通して既に捺印はした。私はまだそのうっかりをやらかした生徒に話をつけたい。...由香」
『はっ、ひゃいっ』
「これを生徒会室まで」
『喜んで!』
今日も元気に忠実な権力の僕、早瀬由香です。
居酒屋並みにやたらハキハキした返事をした後、雷の巻き添えを喰らわない内に颯爽とその場を後にしました。
この時、生徒会室までの距離がいか程なのかを確認しないまま飛び出した事を後悔したのは。もう間もなく。
「そこは潜在系なんだからさ。テレポート頼むとか色々あっただろうに。徒歩て...っ」
『ぜぃ...、だ、だって、櫻野先輩...!はぁ、ほんと、怖かったんですってば!何か焦げた匂いをまとって、はい以外の返事は絶対求めていないであろう神野先生が!
というか、その草いっぱい生えそうな笑い止めてくださいよ!』
「まぁいいや。お疲れ様w」
『止めてって言ってるのにあえて生やすんですか!?草!』
ブッコロ。
ぶっ殺す略語である色黒ワンコさん的な方の口癖をうっかり口にしなかったのは。
はい。やはり私が権力の僕だからなのでしょう。
目的地の距離の遠さに後悔してから早数刻。苦労の挙げ句に私こと早瀬を待っていたのは、まさかの生徒会長殿からの爆笑でした。
や、確かに。他のアリス持ちの生徒に頼めば、もっと手っ取り早かっただろうに。何でお届け係が私に...!
「たまたま視界に入ってしまったんだろうな」
「あぁ。確かに。今井の言う通り、神野先生ってそういう所あるよね。それにしても、今日も元気に空回ってるね!由香ちゃん!やー、大掃除なんてダルかったけど元気出た」
『生徒会長こんなキャラでしたっけ、今井先輩!?』
「...ともかくお疲れ」
『(この人もスルーしやがりましたけど!?)』
畜生。大人なんていつも理不尽だ!
今井先輩がねぎらってお茶をわざわざ入れて下さらなかったら、今頃はきっともっと大罵倒でしたね。
大人は汚い。でも今井先輩いい人...!お茶が美味しいです。
「......」
『...?何ですか?櫻野先輩。そんなにジッと見て...』
「今、飲んだね?」
『え?』
「今出されたお茶を飲んだね?美味しい?」
『は、はい』
「それ、僕が用意したセントラル御用達の紅茶だよ」
『はぁ...とても美味しいです』
「働かざる者食うべからず」
え、私たった今働いたんですけど?
そんな異論は、寒気すら感じる笑顔の前で唱えることは叶いませんでした。
流石生徒会長を勤めるだけあるってことでしょうか。カリスマ性のあるお方は凄みが違う。有無を言わせやしない。
権力の僕ってやつはこれだからこういう時...!
「提出書類が滞っている所があってね。ちょうど困ってたんだ。...手伝ってくれるよね?」
その後の展開?喜んでという心のこもってない合言葉宜しく引き受けましたともさこんちきしょーめが!
『あ、ありがとうです飛田く...て。結構な量じゃないですか、それっ。私も行きます!』
「うん、ごめんね、ありがとう」
年末に差し掛かる頃。能力別教室にて、大掃除という名の労働に駆り出されやはり安寧な日々はないのかと勢いでグレてしまいそうな中。
飛田君というマイナスイオンスマイルに癒され、何とか仕事を投げることなくやっております...はい。私が早瀬由香です。
潜在系は、学園内で一、二を争う生徒数の多さなので。大掃除範囲が広いのですよね...やらためたらに。
『ふー...中々、まだまだ終わりそうもないですね』
「大丈夫?由香ちゃん。疲れてない?」
『大丈夫ですよ!も、そんな風に優しく労ってくれる言葉をかけてくれるだけで強くなれる気すらします!』
「あはは、普段の早瀬さんの日常ってばバイオレンスな匂いすらするよね、あはは~」
『そこの通りすがりの心を読む人、やる気スイッチを消失させないでもらえますか』
その発言を否めない辺りが、また悲しい所ですね。
そう考えると、忙しいだけの今の状況が少しだけマシなような気がしてきました。ふむ。気を取り直して、頑張りますかね...ぼちぼち。
けれど、やはりというかなんというか。
そんな私の背後に、無難に終われそうもない不穏な影はすぐそこまで迫っていたのです。
*
『提出漏れ書類...ですか』
「そうだ」
その不穏な影...神野先生は。少々焦げているような匂いを放って、ご機嫌ななめクライマックス状態で、よりによって私に話しかけに来やがりました。
その背後には焦げて萎縮なさっている潜在系生徒が。これは...既に一悶着ありましたな。
「各能力系への伝達事項や、その他諸々の書類は確認した後、各能力系へ回覧して最終的に生徒会へ届けることになっている...のだが」
『それをうっかり(後ろで焦げてる人が)忘れて色んな物に紛れてしまい。大掃除で発見に至る...と』
「書類には目を通して既に捺印はした。私はまだそのうっかりをやらかした生徒に話をつけたい。...由香」
『はっ、ひゃいっ』
「これを生徒会室まで」
『喜んで!』
今日も元気に忠実な権力の僕、早瀬由香です。
居酒屋並みにやたらハキハキした返事をした後、雷の巻き添えを喰らわない内に颯爽とその場を後にしました。
この時、生徒会室までの距離がいか程なのかを確認しないまま飛び出した事を後悔したのは。もう間もなく。
*
「そこは潜在系なんだからさ。テレポート頼むとか色々あっただろうに。徒歩て...っ」
『ぜぃ...、だ、だって、櫻野先輩...!はぁ、ほんと、怖かったんですってば!何か焦げた匂いをまとって、はい以外の返事は絶対求めていないであろう神野先生が!
というか、その草いっぱい生えそうな笑い止めてくださいよ!』
「まぁいいや。お疲れ様w」
『止めてって言ってるのにあえて生やすんですか!?草!』
ブッコロ。
ぶっ殺す略語である色黒ワンコさん的な方の口癖をうっかり口にしなかったのは。
はい。やはり私が権力の僕だからなのでしょう。
目的地の距離の遠さに後悔してから早数刻。苦労の挙げ句に私こと早瀬を待っていたのは、まさかの生徒会長殿からの爆笑でした。
や、確かに。他のアリス持ちの生徒に頼めば、もっと手っ取り早かっただろうに。何でお届け係が私に...!
「たまたま視界に入ってしまったんだろうな」
「あぁ。確かに。今井の言う通り、神野先生ってそういう所あるよね。それにしても、今日も元気に空回ってるね!由香ちゃん!やー、大掃除なんてダルかったけど元気出た」
『生徒会長こんなキャラでしたっけ、今井先輩!?』
「...ともかくお疲れ」
『(この人もスルーしやがりましたけど!?)』
畜生。大人なんていつも理不尽だ!
今井先輩がねぎらってお茶をわざわざ入れて下さらなかったら、今頃はきっともっと大罵倒でしたね。
大人は汚い。でも今井先輩いい人...!お茶が美味しいです。
「......」
『...?何ですか?櫻野先輩。そんなにジッと見て...』
「今、飲んだね?」
『え?』
「今出されたお茶を飲んだね?美味しい?」
『は、はい』
「それ、僕が用意したセントラル御用達の紅茶だよ」
『はぁ...とても美味しいです』
「働かざる者食うべからず」
え、私たった今働いたんですけど?
そんな異論は、寒気すら感じる笑顔の前で唱えることは叶いませんでした。
流石生徒会長を勤めるだけあるってことでしょうか。カリスマ性のあるお方は凄みが違う。有無を言わせやしない。
権力の僕ってやつはこれだからこういう時...!
「提出書類が滞っている所があってね。ちょうど困ってたんだ。...手伝ってくれるよね?」
その後の展開?喜んでという心のこもってない合言葉宜しく引き受けましたともさこんちきしょーめが!