act.19
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#2
しくじりました。これは選択を間違えたと言わざるを得ません。只今の日時はクリスマス当日。場所はそのクリスマス会が行われている迎賓館...の、2階。そこで私こと早瀬は現在。
「ビックリしたわー。あんたってば、ここが私達危力系の縄張りって知っててここに来たの?」
『そ、その...私、あんまりこの行事に真面目に参加した事がなくて。知らなかったとはいえ、ごめんなさい!るいおねーさん』
「ぶはっ、クリスマス会に真面目も何もあるのかよー。変な奴!」
『(このKY先輩殴り飛ばしてやりたい)食料だけいただいて、いつも早々にエスケープしていたので...』
「毎年ここ陣取ってるのに知らなかったのはそういう訳なのねー。ま、気持ちは分からなくもないけど!こうゆう浮かれた空気って、何かこうイラッとして殺りたくなっちゃうのよねぇ~」
『は、はは...(何これ嘘でも私同意した方がいいんですか!?)』
「ま、あんただったら特別に歓迎してあげるわ!」
『ここ、光栄です、るいおねーさん。ドレスもよく似合って素敵です...!』
「やぁねーっ。だからおだてても何も出ないったら!あ、颯ー。由香ちゃんに椅子用意してあげなさいよ」
「はぁ?何でオレが...」
「あ"ぁん?」
「はい只今」
特に考えなしで2階へ足を運んでみたら、とんでもない方達とエンカウントしてしまいました。
え、しかも今シレッと危力系て言いましたか。ナチュラル過ぎたせいでスルーしてしまい、驚くタイミングを逃してしまったんですけど。一体どうすれば...!
『あの私すぐおいとまするのでっ。本当、おかまいなく...』
「なーに水くさいこと言ってるのよぉ!いいから座って!ケーキも悪くないけどね。他のも割りとイケるわよ!ほら颯取り皿!」
「何言っ、」
「少しでも口答えしたらぶっ飛ばす」
「喜んで!」
それじゃ何処ぞの居酒屋のノリみたいですよ。KY先輩。クリスマス会って何だっけと疑問を感じる程のこのアウェー感。
深く考えずに、上へ登ってみようと思った数分前の私を心底恨みます。そもそもどうしてそんな行動をとる事になったのかは、訳があるのです。一応。
その理由はさらに数刻前にさかのぼりまして...。
「あっ、いたいた由香ちゃーん!探したでー!」
『...佐倉さん』
「何やその変な顔。ウチの顔に何か付いてる?」
あなたが登場する時って、大概トラブルか面倒ごとを引き連れて来ますからね。それをみなまで口に出すのは堪えたけれど、顔に思いきり出てしまっていたようです。
そういえば、心読み君にも顔に出るから分かりやすいと言われた事が。来年の目標はポーカーフェイスにでもしましょうかね。
『いえ。大きな袋を背負っているものですから。どうしたのかと思いまして』
「それやねん由香ちゃん!」
『いやどれですか』
「ウチと一緒に、ここの会場のゴミ集めしよ!」
とりあえず誰でもいいので、彼女の通訳をしてくれる方を連れてきてもらってもいいですかね。
日本語で会話している筈なのに、言っている事が全く理解できないので。
『ベアとの交換条件?』
「そ。本当ならベアの仕事であるここら一帯の掃除を全部引き受ける代わりに、よーちゃんの遊び相手をしてやれっていう交渉をしたわけよ。蜜柑は」
『はぁ...それはまた...』
突拍子もない且つ、またえらく無謀な事を思い付いたものですね。
因みに通訳は、恐らく佐倉さんと一緒にベア貸し出し(?)の交渉したであろう安藤先輩にお願いしました。
『あの...聞こえは悪いかもしれませんが。どうして私も一緒に掃除をやらなくちゃいけないんでしょうか』
「へ?だって、この前の棗の誕生日会でウチらドベやったやん!」
『?それが今と何の関係が...』
「一番はよーちゃんや!あっ、あとルカぴょんもか。由香ちゃん覚えてへんの?一番に選ばれた人がドベに何か命令できるやつ!」
『ベアと遊ぶ為に代わりに掃除をやって欲しいって、陽一君が言ったという事ですか?』
「いや、よーちゃんは別にいいって言ったんやけど...」
『...?』
その場に居合わせなかったせいなのか、どうにも話が見えてきません。
そもそも、どうして陽一君がベアと遊びたいという展開に?動くぬいぐるみが面白そうだったんでしょうか。
いまいち腑に落ちない私を察してなのか、安藤先輩が補足を入れてくれました。
「陽一のヤツ、昨日大事にしてたくまのぬいぐるみを何処かで落としたんだってさ」
『あぁ...その矢先の出来事が、ベアとの出会いだったと』
「そうゆう事。何でも、この学園に来る前にお母さんから貰ったものらしくてな。相当落ち込んでたから、何とか元気付けたかったんだろうな。蜜柑としては」
『...オカアサンから、ですか...』
「...由香?」
いけない。思い出したくない昔の事がよぎったせいで、私は今どんな表情をしていたんでしょうか。
安藤先輩に、変に思われてしまったかもしれません。
『あ...えと。そういう事なら、一緒にやらせてもらいますね。佐倉さん』
「良かったー!由香ちゃんならそう言ってくれると思った!ここ意外と広いから、中々ゴミ集め終わらなくてー」
『...え』
「じゃ、一緒にがんばろな!」
ウチはあっちの方から集めてくると言って、佐倉さんはさっさと行ってしまわれました。
ぶっちゃけていいですか。初、中、高等部の総勢で出すゴミの量を正直なめてました。
突然展開に呆然と立ち尽くす私に、安藤先輩は肩を叩いてくれましたけど。慰めの足しにもなりませんでした。
陽一君の所属する初等部A組は昨日、飾り付けが完成したこのクリスマスツリーを見に行った筈なんです。確か。
だったらもしかして、ここで落としたのかと思い至りまして。ついでに見つけられたらゴミ集めが免除にならないかなーとせこい考えがあった事をここに懺悔しておきましょう。
あ、じゃぁ2階へ行けばよく見えるから探しやすいんじゃね?といった軽い考えだったんです。それが...。
『こんな事になってしまうとは...人生、何があるのか分かったものじゃないですね』
「急に何言ってんだコイツ」
「由香ちゃんってば、何落ち込んでるの~?これ美味しいわよ!」
『いえ...その。実は今、探し物をしていて。2階から見渡せば見つけやすいんじゃないかと思ったんですけど...。そんなに甘くないですね...へぁっ?』
「...飲み物」
『え...っ。あ、ありがとうございます...?』
辺りを探し回っていたので、正直食べ物よりも喉を潤す物が欲しいなぁとわがままな事を考えていたら。
突然目の前にずいっと飲み物を差し出してくれた方がいらっしゃいました。
タキシードの衣装からして、多分高等部の方なんでしょうけど...初めて見る顔です。この人も危力系なんでしょうか。
腕や顔といった至る所が包帯だらけで少し怖いですけど...飲み物をくれた辺り、悪い方ではなさそうです。え、それはげんきんな考え方ですかね。
「あらやだ、八雲がそんな事するだなんて珍しい~っ」
「...らしくないのはお前もだろう。ルイ」
「だーって由香ちゃんってば、素直ないい子なんだもの!ねーっ」
「まぁそう言うしかないよなー...」
「何か言った颯」
「イエナニモ」
『な、何というか、すみません。団らんとしている所にお邪魔してしまって...』
アリスの力が周囲に影響を及ぼす程に強力であったり。その能力自体が害を為す恐れがあると見られる。危険能力系は、原則的にはそんな人達の集まりなんです。
危険といった言葉が印象に強く残るせいなのか、今まで怖いというイメージがあったのですけど。
目の前で仲睦まじく話をしているこの人達は、とてもそんな風には見えませんでした。
「......」
『...あ、あの。八雲、先輩?でいいですか...?』
「...あぁ」
『飲み物、ありがとうございました。動き回っていたから、ちょうど喉が渇いていて...』
「...何を」
『えっ?』
「...探し物」
『えと?あ、はい。ベアに似た感じのくまのぬいぐるみを探しているんですけど。多分。...あの、それが何か...?』
「うっそ八雲、あんたまさか探すの手伝ってあげるつもり?どうゆう風の吹き回しよ」
「てか多分てなんだよ」
『その落とし物は、私の物ではないので...。ここで落としたかは分からないから、見つけられないかも知れないんですけどね...でも。見つけて、あげたくて』
というか、さっきからKY先輩は無遠慮過ぎませんかと思ったけれど。この人、初対面でキューティピュアパープルとか言い放っていましたね。
その時点で、もう少し歯に衣を着せる言い方を期待するなんて。それこそ無理な話でした。
「ベアっぽいぬいぐるみねー...昨日よーちゃんがそんな感じの持ってここのツリー見に来てたわね。そういえば」
『え...っ。それマジですかっルイ先輩!』
「由香ちゃんってば、ルイおねーさんでしょー。何?探し物ってよーちゃんのなの?」
『は、はい...。何処かで落としたらしくて...あれ。何で陽一くんのこと知って...』
「何言ってるんだよ。アイツも危力系じゃん」
『そ、そうでした...』
KY先輩に突っ込みを入れられてしまうとは。さりげなく屈辱的であります。いえ。今はそれどころではなくて。
『と、とにかく昨日ここへ来た時は、まだあったんですね...!だったら、本当にここで落としたのかも...』
「それだけ聞ければ充分だ」
『へ...っ、八雲ぱ...!?ななっ、何で先輩の周りに虫が沢山...!』
「行け」
「どんな虫も呼び寄せて操る事が出来るのよ。八雲のアリスは」
『あ...だから急に虫が...って。も、もしかして、それで探し物を手伝ってくれるって事ですかっ?えと、手伝ってもらっておいて、凄く言いづらいのですが...。あんまり虫の数が多いと、下で大騒ぎになるかも...』
「...気を付けよう」
『...今なんで目そらされたんでしょうか。私』
「大方そこまで頭が回ってなかったんじゃねーの?バッカでー!」
「そういう颯は頭の構造がおバカで残念よねー」
アリスの能力系統が違うだけで、ここまで雰囲気が違うものなのでしょうか。この場所はアットホーム過ぎます。
このままだと長居してしまいそうなので。そろそろおいとまして、捜索を再開しましょうかね。え、ゴミ集め?。程々にやりますよ。探し物のついでに。え、普通はゴミ集めのついでに探し物だって?そんなの知りません。
程々にったら程々にです。だっていかんせん私、何かと働き詰めじゃありませんか?
しくじりました。これは選択を間違えたと言わざるを得ません。只今の日時はクリスマス当日。場所はそのクリスマス会が行われている迎賓館...の、2階。そこで私こと早瀬は現在。
「ビックリしたわー。あんたってば、ここが私達危力系の縄張りって知っててここに来たの?」
『そ、その...私、あんまりこの行事に真面目に参加した事がなくて。知らなかったとはいえ、ごめんなさい!るいおねーさん』
「ぶはっ、クリスマス会に真面目も何もあるのかよー。変な奴!」
『(このKY先輩殴り飛ばしてやりたい)食料だけいただいて、いつも早々にエスケープしていたので...』
「毎年ここ陣取ってるのに知らなかったのはそういう訳なのねー。ま、気持ちは分からなくもないけど!こうゆう浮かれた空気って、何かこうイラッとして殺りたくなっちゃうのよねぇ~」
『は、はは...(何これ嘘でも私同意した方がいいんですか!?)』
「ま、あんただったら特別に歓迎してあげるわ!」
『ここ、光栄です、るいおねーさん。ドレスもよく似合って素敵です...!』
「やぁねーっ。だからおだてても何も出ないったら!あ、颯ー。由香ちゃんに椅子用意してあげなさいよ」
「はぁ?何でオレが...」
「あ"ぁん?」
「はい只今」
特に考えなしで2階へ足を運んでみたら、とんでもない方達とエンカウントしてしまいました。
え、しかも今シレッと危力系て言いましたか。ナチュラル過ぎたせいでスルーしてしまい、驚くタイミングを逃してしまったんですけど。一体どうすれば...!
『あの私すぐおいとまするのでっ。本当、おかまいなく...』
「なーに水くさいこと言ってるのよぉ!いいから座って!ケーキも悪くないけどね。他のも割りとイケるわよ!ほら颯取り皿!」
「何言っ、」
「少しでも口答えしたらぶっ飛ばす」
「喜んで!」
それじゃ何処ぞの居酒屋のノリみたいですよ。KY先輩。クリスマス会って何だっけと疑問を感じる程のこのアウェー感。
深く考えずに、上へ登ってみようと思った数分前の私を心底恨みます。そもそもどうしてそんな行動をとる事になったのかは、訳があるのです。一応。
その理由はさらに数刻前にさかのぼりまして...。
*
「あっ、いたいた由香ちゃーん!探したでー!」
『...佐倉さん』
「何やその変な顔。ウチの顔に何か付いてる?」
あなたが登場する時って、大概トラブルか面倒ごとを引き連れて来ますからね。それをみなまで口に出すのは堪えたけれど、顔に思いきり出てしまっていたようです。
そういえば、心読み君にも顔に出るから分かりやすいと言われた事が。来年の目標はポーカーフェイスにでもしましょうかね。
『いえ。大きな袋を背負っているものですから。どうしたのかと思いまして』
「それやねん由香ちゃん!」
『いやどれですか』
「ウチと一緒に、ここの会場のゴミ集めしよ!」
とりあえず誰でもいいので、彼女の通訳をしてくれる方を連れてきてもらってもいいですかね。
日本語で会話している筈なのに、言っている事が全く理解できないので。
*
『ベアとの交換条件?』
「そ。本当ならベアの仕事であるここら一帯の掃除を全部引き受ける代わりに、よーちゃんの遊び相手をしてやれっていう交渉をしたわけよ。蜜柑は」
『はぁ...それはまた...』
突拍子もない且つ、またえらく無謀な事を思い付いたものですね。
因みに通訳は、恐らく佐倉さんと一緒にベア貸し出し(?)の交渉したであろう安藤先輩にお願いしました。
『あの...聞こえは悪いかもしれませんが。どうして私も一緒に掃除をやらなくちゃいけないんでしょうか』
「へ?だって、この前の棗の誕生日会でウチらドベやったやん!」
『?それが今と何の関係が...』
「一番はよーちゃんや!あっ、あとルカぴょんもか。由香ちゃん覚えてへんの?一番に選ばれた人がドベに何か命令できるやつ!」
『ベアと遊ぶ為に代わりに掃除をやって欲しいって、陽一君が言ったという事ですか?』
「いや、よーちゃんは別にいいって言ったんやけど...」
『...?』
その場に居合わせなかったせいなのか、どうにも話が見えてきません。
そもそも、どうして陽一君がベアと遊びたいという展開に?動くぬいぐるみが面白そうだったんでしょうか。
いまいち腑に落ちない私を察してなのか、安藤先輩が補足を入れてくれました。
「陽一のヤツ、昨日大事にしてたくまのぬいぐるみを何処かで落としたんだってさ」
『あぁ...その矢先の出来事が、ベアとの出会いだったと』
「そうゆう事。何でも、この学園に来る前にお母さんから貰ったものらしくてな。相当落ち込んでたから、何とか元気付けたかったんだろうな。蜜柑としては」
『...オカアサンから、ですか...』
「...由香?」
いけない。思い出したくない昔の事がよぎったせいで、私は今どんな表情をしていたんでしょうか。
安藤先輩に、変に思われてしまったかもしれません。
『あ...えと。そういう事なら、一緒にやらせてもらいますね。佐倉さん』
「良かったー!由香ちゃんならそう言ってくれると思った!ここ意外と広いから、中々ゴミ集め終わらなくてー」
『...え』
「じゃ、一緒にがんばろな!」
ウチはあっちの方から集めてくると言って、佐倉さんはさっさと行ってしまわれました。
ぶっちゃけていいですか。初、中、高等部の総勢で出すゴミの量を正直なめてました。
突然展開に呆然と立ち尽くす私に、安藤先輩は肩を叩いてくれましたけど。慰めの足しにもなりませんでした。
*
陽一君の所属する初等部A組は昨日、飾り付けが完成したこのクリスマスツリーを見に行った筈なんです。確か。
だったらもしかして、ここで落としたのかと思い至りまして。ついでに見つけられたらゴミ集めが免除にならないかなーとせこい考えがあった事をここに懺悔しておきましょう。
あ、じゃぁ2階へ行けばよく見えるから探しやすいんじゃね?といった軽い考えだったんです。それが...。
『こんな事になってしまうとは...人生、何があるのか分かったものじゃないですね』
「急に何言ってんだコイツ」
「由香ちゃんってば、何落ち込んでるの~?これ美味しいわよ!」
『いえ...その。実は今、探し物をしていて。2階から見渡せば見つけやすいんじゃないかと思ったんですけど...。そんなに甘くないですね...へぁっ?』
「...飲み物」
『え...っ。あ、ありがとうございます...?』
辺りを探し回っていたので、正直食べ物よりも喉を潤す物が欲しいなぁとわがままな事を考えていたら。
突然目の前にずいっと飲み物を差し出してくれた方がいらっしゃいました。
タキシードの衣装からして、多分高等部の方なんでしょうけど...初めて見る顔です。この人も危力系なんでしょうか。
腕や顔といった至る所が包帯だらけで少し怖いですけど...飲み物をくれた辺り、悪い方ではなさそうです。え、それはげんきんな考え方ですかね。
「あらやだ、八雲がそんな事するだなんて珍しい~っ」
「...らしくないのはお前もだろう。ルイ」
「だーって由香ちゃんってば、素直ないい子なんだもの!ねーっ」
「まぁそう言うしかないよなー...」
「何か言った颯」
「イエナニモ」
『な、何というか、すみません。団らんとしている所にお邪魔してしまって...』
アリスの力が周囲に影響を及ぼす程に強力であったり。その能力自体が害を為す恐れがあると見られる。危険能力系は、原則的にはそんな人達の集まりなんです。
危険といった言葉が印象に強く残るせいなのか、今まで怖いというイメージがあったのですけど。
目の前で仲睦まじく話をしているこの人達は、とてもそんな風には見えませんでした。
「......」
『...あ、あの。八雲、先輩?でいいですか...?』
「...あぁ」
『飲み物、ありがとうございました。動き回っていたから、ちょうど喉が渇いていて...』
「...何を」
『えっ?』
「...探し物」
『えと?あ、はい。ベアに似た感じのくまのぬいぐるみを探しているんですけど。多分。...あの、それが何か...?』
「うっそ八雲、あんたまさか探すの手伝ってあげるつもり?どうゆう風の吹き回しよ」
「てか多分てなんだよ」
『その落とし物は、私の物ではないので...。ここで落としたかは分からないから、見つけられないかも知れないんですけどね...でも。見つけて、あげたくて』
というか、さっきからKY先輩は無遠慮過ぎませんかと思ったけれど。この人、初対面でキューティピュアパープルとか言い放っていましたね。
その時点で、もう少し歯に衣を着せる言い方を期待するなんて。それこそ無理な話でした。
「ベアっぽいぬいぐるみねー...昨日よーちゃんがそんな感じの持ってここのツリー見に来てたわね。そういえば」
『え...っ。それマジですかっルイ先輩!』
「由香ちゃんってば、ルイおねーさんでしょー。何?探し物ってよーちゃんのなの?」
『は、はい...。何処かで落としたらしくて...あれ。何で陽一くんのこと知って...』
「何言ってるんだよ。アイツも危力系じゃん」
『そ、そうでした...』
KY先輩に突っ込みを入れられてしまうとは。さりげなく屈辱的であります。いえ。今はそれどころではなくて。
『と、とにかく昨日ここへ来た時は、まだあったんですね...!だったら、本当にここで落としたのかも...』
「それだけ聞ければ充分だ」
『へ...っ、八雲ぱ...!?ななっ、何で先輩の周りに虫が沢山...!』
「行け」
「どんな虫も呼び寄せて操る事が出来るのよ。八雲のアリスは」
『あ...だから急に虫が...って。も、もしかして、それで探し物を手伝ってくれるって事ですかっ?えと、手伝ってもらっておいて、凄く言いづらいのですが...。あんまり虫の数が多いと、下で大騒ぎになるかも...』
「...気を付けよう」
『...今なんで目そらされたんでしょうか。私』
「大方そこまで頭が回ってなかったんじゃねーの?バッカでー!」
「そういう颯は頭の構造がおバカで残念よねー」
アリスの能力系統が違うだけで、ここまで雰囲気が違うものなのでしょうか。この場所はアットホーム過ぎます。
このままだと長居してしまいそうなので。そろそろおいとまして、捜索を再開しましょうかね。え、ゴミ集め?。程々にやりますよ。探し物のついでに。え、普通はゴミ集めのついでに探し物だって?そんなの知りません。
程々にったら程々にです。だっていかんせん私、何かと働き詰めじゃありませんか?