act.15
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*
結局。
ぶっ倒れる事において前科がありまくりな私こと早瀬は、保健室には留まることなく病院送りされました。
そして医師から宣告されたのは、なんと過労。そして衰弱。
小学生が過労と衰弱ってどんだけだよと自分でもつっこみたくなりますけど。
振り返って考えてみれば、アリス祭前辺りから、ろくに睡眠と食事をしないでぶっ通しで来てた気がします。
いや、だって...本当に忙しかったんですってば。
「(今年は病院にお世話になる回数が最高記録なんじゃない?由香ちゃん)」
『うぅ...っ。ほっしゃんさんまで何だかトゲがある言い方...っ』
「(持ち上げ君が運んでくれてなかったらきっと、文字通り倒れてたんだよ?凄く心配したんだから)」
『ご、ごめんなさい...』
兎に角。
寝食共に、規則正しく健やかなものに戻せと耳にタコが出来る程に担当医からお叱り...いえいえ。ご指導を受けた私は。
(まぁ、年に何回もぶっ倒れて運ばれてくれば釘を指したくもなるか)
病室にて拘束...いえいえ。しばしの絶対安静を言い渡されました。
そして今現在、ちょっぴり膨れっ面のほっしゃんからお説教中なうです。
開き直る事において右に出るものはいないであろう、私こと早瀬由香。今回は流石にそうもいかないようであります...。
「(でも良かったね。退院出来たら、由香ちゃんは再試験やってくれるって聞いたよ)」
『そうなんだよ!しかも全科目っ。首の皮が一枚繋がった思いだよー。正直また試験受け直しかよって感じなんだけどね。
あの状態で受けたテストは、珍解答が大量だろうからなぁ...本当なら赤点確実...ん?ちょっと待って』
「(どうかした?)」
『全科目って...国語も?』
「(...ガンバッテ)」
『そんな!?』
あのほっしゃんさんに、あのほっしゃんさんに遠い目をされた!
あのほっしゃんさんにですよ!?
失礼。大事なこと過ぎて、三回も言っちゃいました。
聖母のような優しさで構成されているほっしゃんさんにまで見放されたら、人として色々終わってしまう気が...。
「(...由香ちゃん)」
『ごめんなさい!ここは聖母でなく、仏様辺りにしておけば...っ』
「(心読み君と、何かあったの?)」
『...!』
何かあったか、そうでないか。
そう聞かれたらあった、と答えるべきなのでしょう。
でも...具体的に説明しろと言われたら、言葉が詰まります。
後夜祭が終わった辺りからでしょうか。
心読み君の様子がいつもと違うような気がしたのです。
何処かよそよそしいような...それでも話し掛ければいつも通りの反応だったから、それを尋ねる勇気もなくて...。
今回の事は...何か、決定打を打ってしまった気がする。何かは、分からないけど...。
友達、だったら、どうするんでしょうか。こういう時。
どうするのが正しくて何が間違いなのか。
「(言い辛いんだったら、無理して言わなくてもいいけど...)」
『ありがと...ほっしゃんさん』
「(大丈夫...?)」
『...』
その問いに頷くことがとても出来なかった私は、笑って誤魔化すことしか出来ませんでした。
...その後も。
しばしの入院生活を余儀されたのですが。ゆっくり出来る時間は少なかったです。
何故なら予想外な事に、病室へ足を運んでくれるクラスメイトの方々がいまして。いつの間にかこんな多くの方と交友関係を広めたんでしょう。
いつもより賑やかな病室に、今はほっとしている自分がいました。
私が入院したら、文句を言いつつも一番に顔を出しに来てくれる心読み君は。
退院する最後の日まで、来てくれることは無かったのですから。