act.13
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『...で?何ですか、これ。鳴海先生』
「急きょ付け足した台本だよ!時間ないけど今からチャチャッと台詞覚えてちゃってねっ。よろしくテヘペロ~」
『ふ...っ』
ざけんのも大概にしろこのカマ野郎が!頭カチ割って海に沈めるぞてめぇ!
...と、思わず口に出そうでしたが。
このお方は曲がりなりにも取り敢えず一応は教師という事を辛うじて思い出したので。
彼の尊厳と私のキャラが崩壊してしまうことは免れる事ができました。
『というか、私の出番はもう終わって後はラストの場面しか残って無いじゃないですかっ。何処でまた居眠り姫の台詞を入れ...っ』
「ねぇ、由香ちゃん。聞いてほしいんだ」
『へ...っ、な、何です』
「今回のミュージカル、本番に至るまで凄く大変だったのは由香ちゃんも知ってるでしょう?
ルカ君には申し訳ないと思ったけど、白雪姫の役を無理矢理お願いしちゃったし...」
『......』
自覚は一応あったんですかこの人。今びっくりして言葉が出ませんでしたよ、本当に。
いえ、それにしたって、練習中の乃木君への態度は無下だったような気がするんですが...。
悲しげに顔を歪ませた鳴海先生は、何処となくそれがわざとらしく見えました。
「それなのに、事故とはいえあんなトラブルが起きてしまって...。このままでは売りが...っ。いや、皆が頑張って来た舞台は全て台無しになってしまう...!」
『そ、そですかね...。一度は中止にまでなりかけたんですから、ここまで出来れば上出来な方じゃないで...』
「由香ちゃんっ!」
『んぎゃっ!?』
この真面目くさった言葉をつらつら言っているあなたは、本当に鳴海先生ですか!?
いえ、途中欲望が垣間見えるような不穏な言葉があった気がしますが。
こ、怖い。目が真剣過ぎる。それが何故か少女漫画風にキラキラしちゃってるけどお顔が美形だから違和感ない不思議!
「君がそれこそ血へどを吐く思いで頑張ってきた事も、全てが無駄になってしまうんだ!」
『は、はぁ...。確かにそれは嫌ですけど、でも、』
「じゃぁやってくれるね!?ありがとう!」
『あの、』
「それじゃぁ、あんまり時間無いからすぐに頭に台詞叩き込んじゃって!だーいじょうぶ!僕もフォローするからね!」
話聞けよ。
思わずそう言ってしまった時には、既に鳴海先生の姿はあらず。
確かに先生の言うことには一理あるので、もうひと付き合いする他方法は無いようです。
...一理あるんですよね?
そもそもトラブルがあった時点で、私の頑張りはほぼ無駄になってるじゃないですか。衣装班なんですから。
でもその事実に気が付いたのは、ミュージカルが終わってしばらく後の事。
くっそ、またしてもあのペテン師に言いくるめられましたともちきしょー!