桜が散る頃に
まだまだ春なんて程遠い季節。深々と降り積もる雪の中、俺の心に一輪の花が咲いた気がした。体は冷えてるというのに目の前の男を見ているだけで身体の芯からジワジワと温まってくるこの感覚。あぁ、駄目だ。この感情は抱いてはいけないものだ。と警鐘が鳴り響いているのが自分でも分かる。分かっているのに嫌悪感なんてまるでなくて。この男のせいだ。
石川祐希。
成人にさえなっていない儚げで無垢な少年に、俺は、恋をしてしまった。
〜87side〜
俺と祐希が初めて会ったのは、祐希の母校、星城高校にスカウトしに行った時だ。その頃から祐希は「日本史上最高の逸材」と噂されていたぐらいの有名人でどの大学も喉から手が出るくらい欲しい人材であっただろう。もちろん俺の大学もその一つであったけどダメ元で行ってみようくらいの気持ちだった。予想通り体育館の中はスカウトで来た人で溢れかえっていて、「この中で選ばれるのは不可能すぎんだろ。」とか他人事みたいに考えながら練習を見ていた俺に一緒に来た友達が突然、
「そういえばさぁ、俺あの石川祐希がお前のフォーム参考にしてるって聞いたことあるんだよね。」
「へぇ〜初耳。あの天才君がまさか俺の真似してくれてるだなんて。」
「な。それで俺は今いい考えを思いついた。」
「ん?ちょっと待て?(嫌な予感しかない)」
「ここまで来て手ぶらで帰れるかよ!ただ見てるだけじゃなんのアピールにもならない。そしたらやる事は一つ!マサ、お前逸材に話しかけて少しでもいいから慶應に興味持たせろ!」
石川祐希。
成人にさえなっていない儚げで無垢な少年に、俺は、恋をしてしまった。
〜87side〜
俺と祐希が初めて会ったのは、祐希の母校、星城高校にスカウトしに行った時だ。その頃から祐希は「日本史上最高の逸材」と噂されていたぐらいの有名人でどの大学も喉から手が出るくらい欲しい人材であっただろう。もちろん俺の大学もその一つであったけどダメ元で行ってみようくらいの気持ちだった。予想通り体育館の中はスカウトで来た人で溢れかえっていて、「この中で選ばれるのは不可能すぎんだろ。」とか他人事みたいに考えながら練習を見ていた俺に一緒に来た友達が突然、
「そういえばさぁ、俺あの石川祐希がお前のフォーム参考にしてるって聞いたことあるんだよね。」
「へぇ〜初耳。あの天才君がまさか俺の真似してくれてるだなんて。」
「な。それで俺は今いい考えを思いついた。」
「ん?ちょっと待て?(嫌な予感しかない)」
「ここまで来て手ぶらで帰れるかよ!ただ見てるだけじゃなんのアピールにもならない。そしたらやる事は一つ!マサ、お前逸材に話しかけて少しでもいいから慶應に興味持たせろ!」
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