A tesoro mio
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「頼むよルイちゅわ~ん、せんせーの一生のお願いだからさぁ~」
昼下がりのオープンテラスのカフェテリア。降り注ぐ秋の柔らかな木漏れ日を滑らかな髪にきらきらしく反射させて、女は端末越しに届く我が敬愛する師の猫なで声を聴いていた。
「えーどーしよっかなぁ…私久しぶりに休暇取ろうと…うん、何?重傷者?えぇー…」
「な?おめー来てくんねぇとそいつら死んじまうかもよ?いついかなる時も人命第一、先生教えたよな?な?」
「そりゃあ…んんん、けどさ、それって先生の自業自得「じゃー頼んだよルイちゃん!俺の可愛い賢いガッティーナ!チャオチャオ!!」
ツーツーツー……
「ちょっとちょっと、冗談でしょせんせー…」
通話終了、Dr.シャマル。女は無情なディスプレイを見つめただただ呆然とするばかり。多忙を極める日々にやっと調整を付けて明日から楽しい一人旅行と洒落込むつもりで居たのに。
仕方が無い、甘たるいようで随分厳しかったこの身勝手な師匠に叩き込まれたドクターの精神は、如何なる理不尽の前にも決して消えてくれはしないのだから。
「ボンゴレか…久しぶりだな」
飲みかけのラッテマキャートを一息に流し込んで席を立つ。気分を切り替えたら、さぁ、懐かしきシチリア島へ出発だ。
高い空を仰ぎ見て、空と海の眩しく光る色鮮やかなかの島へ呑気に思いを馳せる彼女は未だ知る由も無い。
これから自分を待ち受ける、沢山のままならない感情の奔流を──
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