キラキラ
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「おー可愛いねぇ!中学生?」
灼熱の太陽がジリジリとアスファルトを焼き付ける、暑い暑い日の事。チャラチャラ着飾った如何にもと言った風体の男達ににじり寄られた少女は急いで走り去ろうとした。夏服のスカートがひらり翻る。
閑静な住宅街は、真昼間だと言うのに人の気配が無い。
「おっと逃げんなって。ちっと俺らと遊ぼーよ」
強い力で腕を掴まれては逃げるに逃げ切れず薄暗い路地裏に引き摺り込まれてしまう。すかさず塞がれる口、のし掛かる汗と香水が混じり合った独特の悪臭を放つ体。
ゲラゲラ下品な笑いが狭い空間に反響する。
助けて、助けて!誰か来て!!
心の叫びはくぐもった小さな呻きにしかならず、バタつかせる四肢は四方から伸びて来た腕でいとも容易く拘束され。
レイプ、される。
恐怖に支配された全身から汗が吹き出した。心臓がバクバク早鐘のように鳴り喉はカラカラ、吐き気が込み上げて来る。
ゴツゴツした男の手が少女のブラウスのボタンを外しに掛かろうとしたその時。
ガッ!
鈍い音が耳に届いた次の瞬間、のし掛かっていた男の体がぐらりと傾ぐ。
何が起こったのか把握出来ずにパッと顔を上げると。
「何だテメェ!?」
「ぶっ殺すぞ糞ガキ!」
腕を拘束していた男達が、何時の間にかそこに立っていたシルエットに向かって罵声と共に腕を振り上げた。少女からは逆光で相手の姿が良く見えない。
「婦女暴行罪。咬み殺す」
何処かで聞いたフレーズと共にシルエットが動き出す。それはまるで、優雅な舞踏。流れるようにさして大きくも無い身体を翻しその度銀色の何かが太陽光にギラリと輝き鈍い音を立てる。一度、二度、三度。
事は一瞬で片付いた。たちまち地面に転がる四人の男。
「…あ、…」
言葉を失い目を瞬かせる少女にシルエットが歩み寄り、目線を合わせるようにその場に片膝を付いた。
角度が変わり、太陽がその容貌を照らし出す。そこに居たのは──
蒸し暑さに目が醒める。全身に纏わりつく汗が不快この上無く、女はぐいっと額を拭うと小さな息を零した。
チッチッチッチッ……
ベッドヘッドの小さな置き時計が針を刻む以外には何も聴こえない、締め切った狭い部屋。薄いカーテンを通過した外の光が雑然とした室内を薄暗く照らし出している。そちこちに散乱している空き缶、小瓶、脱ぎっ放しの衣類。
はぁー。再度溜息を吐くと、ぼふりと寝返りを打ちぼりぼりと頭を掻く。
懐かしい夢を見た。
あれはもう十年程前の事。まだ目に映る全てがきらきらと輝いていた頃、その中でも鮮烈に眩く脳裏に焼き付いていた、愛おしい記憶。
時計が指し示す時刻は午後一時半。喉がカラカラだ。飲みかけの缶に手を伸ばし喉に流し込めば、すっかり気の抜けた生温かいビールの味。
昨夜はシャワーも浴びやしなかった。汗と混じり合ったファンデーションが張り付く顔は心無し痒く、きっとダニでも巣食っているに違いない。全く何て体たらくだろう。
あの頃、学校指定の真白いブラウスに袖を通していた頃は、努力一つで何だって手に入ると思っていた。夢に描いたどんな未来だって掴み取れる、そんな自信と希望に溢れていたと言うのに。
あの頃の少女はもう居ない。
居るのは只、死んだ魚の目で怠惰な日々を送る惨めな女だけ。
三度目の息が漏れる。今度は随分と大きく。
何故あんな夢を見てしまったのだろう。きっと、この暑さのせいだ。
常から猛暑のパレルモでも珍しい程に今日は酷い。空調も何も無い部屋を真昼間から締め切って、よくもまあ無事で居られたものだと自分の生命力に辟易。ゴキブリ並みだと頭に過る今の自分に相応し過ぎる形容には最早乾いた笑いも出やしない。
いっその事、くたばってしまえれば良かったのに。
あの頃の少女に戻り、今尚胸を擽って来る彩りに満ちた甘酸っぱい夢に抱かれたまま逝ければどんなに幸せだったろう。
健康な身体を持っていながら贅沢な事だと自分に皮肉を吐きながら、女は痩せぎすの上体に力を込め起き上がる。気怠い欠伸を零してベッドから降りくたびれたTシャツを脱ぎ去ると、シャワーを浴びに浴室へと足を踏み出した。
灼熱の太陽がジリジリとアスファルトを焼き付ける、暑い暑い日の事。チャラチャラ着飾った如何にもと言った風体の男達ににじり寄られた少女は急いで走り去ろうとした。夏服のスカートがひらり翻る。
閑静な住宅街は、真昼間だと言うのに人の気配が無い。
「おっと逃げんなって。ちっと俺らと遊ぼーよ」
強い力で腕を掴まれては逃げるに逃げ切れず薄暗い路地裏に引き摺り込まれてしまう。すかさず塞がれる口、のし掛かる汗と香水が混じり合った独特の悪臭を放つ体。
ゲラゲラ下品な笑いが狭い空間に反響する。
助けて、助けて!誰か来て!!
心の叫びはくぐもった小さな呻きにしかならず、バタつかせる四肢は四方から伸びて来た腕でいとも容易く拘束され。
レイプ、される。
恐怖に支配された全身から汗が吹き出した。心臓がバクバク早鐘のように鳴り喉はカラカラ、吐き気が込み上げて来る。
ゴツゴツした男の手が少女のブラウスのボタンを外しに掛かろうとしたその時。
ガッ!
鈍い音が耳に届いた次の瞬間、のし掛かっていた男の体がぐらりと傾ぐ。
何が起こったのか把握出来ずにパッと顔を上げると。
「何だテメェ!?」
「ぶっ殺すぞ糞ガキ!」
腕を拘束していた男達が、何時の間にかそこに立っていたシルエットに向かって罵声と共に腕を振り上げた。少女からは逆光で相手の姿が良く見えない。
「婦女暴行罪。咬み殺す」
何処かで聞いたフレーズと共にシルエットが動き出す。それはまるで、優雅な舞踏。流れるようにさして大きくも無い身体を翻しその度銀色の何かが太陽光にギラリと輝き鈍い音を立てる。一度、二度、三度。
事は一瞬で片付いた。たちまち地面に転がる四人の男。
「…あ、…」
言葉を失い目を瞬かせる少女にシルエットが歩み寄り、目線を合わせるようにその場に片膝を付いた。
角度が変わり、太陽がその容貌を照らし出す。そこに居たのは──
蒸し暑さに目が醒める。全身に纏わりつく汗が不快この上無く、女はぐいっと額を拭うと小さな息を零した。
チッチッチッチッ……
ベッドヘッドの小さな置き時計が針を刻む以外には何も聴こえない、締め切った狭い部屋。薄いカーテンを通過した外の光が雑然とした室内を薄暗く照らし出している。そちこちに散乱している空き缶、小瓶、脱ぎっ放しの衣類。
はぁー。再度溜息を吐くと、ぼふりと寝返りを打ちぼりぼりと頭を掻く。
懐かしい夢を見た。
あれはもう十年程前の事。まだ目に映る全てがきらきらと輝いていた頃、その中でも鮮烈に眩く脳裏に焼き付いていた、愛おしい記憶。
時計が指し示す時刻は午後一時半。喉がカラカラだ。飲みかけの缶に手を伸ばし喉に流し込めば、すっかり気の抜けた生温かいビールの味。
昨夜はシャワーも浴びやしなかった。汗と混じり合ったファンデーションが張り付く顔は心無し痒く、きっとダニでも巣食っているに違いない。全く何て体たらくだろう。
あの頃、学校指定の真白いブラウスに袖を通していた頃は、努力一つで何だって手に入ると思っていた。夢に描いたどんな未来だって掴み取れる、そんな自信と希望に溢れていたと言うのに。
あの頃の少女はもう居ない。
居るのは只、死んだ魚の目で怠惰な日々を送る惨めな女だけ。
三度目の息が漏れる。今度は随分と大きく。
何故あんな夢を見てしまったのだろう。きっと、この暑さのせいだ。
常から猛暑のパレルモでも珍しい程に今日は酷い。空調も何も無い部屋を真昼間から締め切って、よくもまあ無事で居られたものだと自分の生命力に辟易。ゴキブリ並みだと頭に過る今の自分に相応し過ぎる形容には最早乾いた笑いも出やしない。
いっその事、くたばってしまえれば良かったのに。
あの頃の少女に戻り、今尚胸を擽って来る彩りに満ちた甘酸っぱい夢に抱かれたまま逝ければどんなに幸せだったろう。
健康な身体を持っていながら贅沢な事だと自分に皮肉を吐きながら、女は痩せぎすの上体に力を込め起き上がる。気怠い欠伸を零してベッドから降りくたびれたTシャツを脱ぎ去ると、シャワーを浴びに浴室へと足を踏み出した。
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