Ⅰ 白の教会
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どれほどの時間が経ったのか。
白の教会は、跡形もなく崩れ落ちていた。
礼拝堂も。
研究施設も。
子どもたちが眠っていた部屋も。
二人で何度も見上げた、偽物の空も。
すべてが瓦礫の下へ消えた。
その中心で。
一人の男が、瓦礫を掻き分けていた。
白の教会を率いていた神父。
そして地下では、「神の力」の研究を統括していた研究長。
かつて、行き場のない子どもたちを救いたいと願っていた男。
そしていつしか、その子どもたちを番号で呼び、実験材料として扱うようになった男。
血に濡れた手で瓦礫を退かす。
そして。
「…………」
見つけた。
瓦礫の隙間。
小さな身体が横たわっている。
研究長は、首筋を見た。
《024》
「……024」
呼びかけても反応はない。
研究長は震える指を少女の首筋へ当てた。
微かに。
本当に微かに。
脈がある。
生きている。
研究長は、しばらく動かなかった。
これまでなら、真っ先に考えただろう。
なぜこの個体だけが生き残ったのか。
神の力に何らかの反応を示したのではないか。
調べなければ。
記録しなければ。
けれど。
そのとき研究長の目に映ったのは、被験体024ではなかった。
傷だらけで。
裸足で。
泣いた跡を頬に残した。
ただの、少女だった。
研究長はゆっくりと、その身体を抱き上げた。
「…………すまない」
誰に向けた言葉だったのか。
024へなのか。
死んでいった子どもたちへなのか。
それとも──かつて人を救いたいと願っていた自分自身へなのか。
答える者はいなかった。
研究長は024を抱き、崩壊した白の教会を後にした。
誰にも見つからないように。
ただひたすら。
森の奥へ。
白の教会は、跡形もなく崩れ落ちていた。
礼拝堂も。
研究施設も。
子どもたちが眠っていた部屋も。
二人で何度も見上げた、偽物の空も。
すべてが瓦礫の下へ消えた。
その中心で。
一人の男が、瓦礫を掻き分けていた。
白の教会を率いていた神父。
そして地下では、「神の力」の研究を統括していた研究長。
かつて、行き場のない子どもたちを救いたいと願っていた男。
そしていつしか、その子どもたちを番号で呼び、実験材料として扱うようになった男。
血に濡れた手で瓦礫を退かす。
そして。
「…………」
見つけた。
瓦礫の隙間。
小さな身体が横たわっている。
研究長は、首筋を見た。
《024》
「……024」
呼びかけても反応はない。
研究長は震える指を少女の首筋へ当てた。
微かに。
本当に微かに。
脈がある。
生きている。
研究長は、しばらく動かなかった。
これまでなら、真っ先に考えただろう。
なぜこの個体だけが生き残ったのか。
神の力に何らかの反応を示したのではないか。
調べなければ。
記録しなければ。
けれど。
そのとき研究長の目に映ったのは、被験体024ではなかった。
傷だらけで。
裸足で。
泣いた跡を頬に残した。
ただの、少女だった。
研究長はゆっくりと、その身体を抱き上げた。
「…………すまない」
誰に向けた言葉だったのか。
024へなのか。
死んでいった子どもたちへなのか。
それとも──かつて人を救いたいと願っていた自分自身へなのか。
答える者はいなかった。
研究長は024を抱き、崩壊した白の教会を後にした。
誰にも見つからないように。
ただひたすら。
森の奥へ。