走れバイト戦士よ
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『……はぁー…終わったぁー…』
「小エビちゃん、おつかれぇ♡」
営業が終了して、最後に溜まった洗い物、店内の掃除などその他もろもろを済ませて客席のソファに深く座り背もたれに体を預けていた。
その隣にオレンジジュースの入ったグラスを持ったフロイドさんがやってきた
「頑張った小エビちゃんに、先輩である俺からの奢りだよ?俺優しいからさ」
『ありがとうございます。優しすぎて涙が出そうですよ』
オレンジジュースを受けとり、刺さっていたストローに口をつけてジュースを飲む
疲れた体に甘みと、ほのかにある酸味が染み渡るような感じがした。
初日で久しぶりのバイトということもあり、とても疲れた
サバナクロー生に難癖をつけられた後は何事もなく仕事は順調に問題なく終わった
「初日だから疲れたでしょ〜」
『…えぇ…疲れましたね…』
「それもその筈です、今日はそこそこ混みましたからね」
レジを閉めて仕事が終わったであろうジェイドさんもこちらに来て、フロイドさんとは反対側の私の隣に座った
「先程アズールと話したのですが、夜も遅いので仕事が終わったら僕かフロイドがユウさんを寮まで送りますよ」
『…えぇ!申し訳ないですよ…』
「いえ、女性をこんな夜中に一人で出歩かせて何かあっては困りますので」
『…では、お言葉に甘えて……』
「今日は俺とジェイドの二人で送ってあげるね〜」
魔法も使えない私なんぞ襲っても何の得にもならないだろうが、夜中に学園を一人で歩くのは薄気味悪くて怖いので心強いと感じた
ということは、私の準備が遅くなってしまうと、二人が寮に帰る時間が遅くなってしまうと気づいた。
貰ったオレンジジュースを急いで飲んで、グラスを洗って倉庫に走って着替えに向かった
着替えが終わりアズールさんに帰宅する事を伝えにいって、挨拶を済ませてからお店の入り口へと向かった
「小エビちゃん早いね〜」
「急がせてしまいましたか?」
『…い、いえ!大丈夫ですよ!』
「ふふっ…では、帰りましょうか」
………
……
…
「ユウさんは前の世界でも熱心にアルバイトしていたのですか?」
『はい、部活は入っていなかったので週4位でバイトに入っていましたよ』
「げぇ〜そんなによく働けるね」
『私にとって部活よりバイトをしている方が楽しかったんですよ』
帰宅途中に他愛もない話をしていたら、出た話題
話した通り、前の世界では部活には入らないで、私はバイトを熱心にやっていた
これと言った趣味や特技もなくて、やりたい部活も無くて、そもそもうちの学校は部活が盛んな学校でもなかったのだ。
絶対に部活をしなくてはならないなどの校則もなかったし、逆にバイトをしてはならないという校則も無かった
他校の友達ができたり、パートのおばちゃん達と仲良くなったり、先輩と暇な時に休憩時間になるまでお喋りしていたりと、それがとても楽しかった
『だから、今のお店もそのくらい入ろうと思っていますよ』
「小エビちゃんがバイト始めたら、シフト増やしてなんて言ってたけどそんなに多くやりたくねぇ」
「無理をしない程度で大丈夫なんですよ、放課後の学園生活を楽しむ権利だってあるのですから」
『…ふふっ…ありがとうございます…!』
そんな話をしていたら、いつのまにか自分の寮についていた
早く戻ってグリムにご飯をあげないと、怒ってベットシーツを丸焦げにしてしまうかもしれない
『ジェイドさん、フロイドさん、ありがとうございました』
「いえいえ、今日はお疲れ様でした。明日もよろしくお願いしますね、ユウさん」
「おやすみ、小エビちゃん」
『おやすみなさい、です』
寮の門の前で二人に手を振って、別れを告げた
2人とも振り返ってこちらに手を振り返しながら歩いていってしまった
明日もバイトも学校もあるのだから、早くお風呂に入って寝よう!
………
……
…
「小エビちゃん楽しそうでよかったね」
「えぇ、他寮の生徒に絡まれてる時は焦りましたが、あまり気にしていないような素振りでしたしね」
「小エビちゃん、そういうところ肝が座ってるというか、度胸があるって感じだよね〜」
フロイドとジェイドは寮に戻り、お風呂を済ませてフロイドはベットに座り、ジェイド椅子に座ってフロイドの方に体を向けていた
「今日みたいな生徒がまた来たら絞めちゃうだけじゃ済まないかも」
「今日の生徒も目星がついているので、明日ご挨拶にでもいきましょうか」
「賛成〜悪い奴は絞めておかないといけないしね」
「えぇ、また来られてユウさんを困らせるような事があってはいけませんから」
そんな物騒な話が持ち上がっている事を、ご飯が遅くてグリムに怒られているユウが知る筈もなかった