走れバイト戦士よ
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ジェイドさんと約束をして、あれからだいぶ日が経った
バイトを卒なくこなして、毎日ジェイドさんかフロイドさんに寮まで送って貰って帰っていた
そして、今日はお店で月に一度の棚卸し作業
冷蔵庫や倉庫の棚の在庫の数を数えて売り上げと照らし合わせて確認をする大切な日だ
私もグリムにはエース達と一緒に晩ご飯を済ませて欲しいと頼み、遅くまで残る事にしていた
『さ、寒い……月末って大変ですね…終わりが見えませんよ…』
「お手伝いして頂いてとても助かります。普段ならまだ冷蔵庫の棚はカウントできてなくて、徹夜して終わらせてますから…」
ジェイドさんと一緒に業務用の部屋型冷蔵庫の中にある食材の数をカウントしながら、バインダーに挟まれた紙に材料名と数を書く
普段がどれだけ大変かを言って、遠い目をしながら明後日の方向を見るジェイドさんは本当に大変なんだなと感じた
「ジェイド、そろそろ集計しますので良いですか?」
「はい。ユウさん、あとはここの棚だけなので任せて大丈夫ですか?」
『はい、大丈夫です』
「では、頼みましたよユウさん」
疲れた顔をしたアズールさんがジェイドさんを呼びにきて、残りの棚を任されて冷蔵庫から出て行ってしまった
一人だけ大きな冷蔵庫の中に残されてしまい少し不気味だ
それに分厚いコートを着ているとは言え寒いから早く数え終えたい
『えーっと…35%の生クリームが4本っと… マスカルポーネチーズが1箱…』
ガチャガチャ…
『粉チーズが2袋……ん?』
カチャン…
扉の外からさっきからガチャガチャと音が…
そんな…まさかな…と思いながらバインダーを棚に置いて扉に向かい、扉を開けようとする
ガタガタ…ガタガタガタ……
『あ…あかない…』
………
……
…
「はぁーー…やっと常温の物の集計が終わりました……」
「お疲れ様です…あと少しですよ…」
大量の書類に囲まれながらアズールは机に突っ伏す
ただ食材の数を数えるだけだから楽だと思ったら大違いなのだ
1ヶ月の間にどれだけ発注をかけて、どれだけ使ったか計算をして………
一緒に集計をしていたジェイドも疲れた顔をして溜息を吐く
「あとは冷蔵物ですね…」
「はい…あと少しで終わりますよ…今月こそは寮に戻ってベッドで寝たい…」
「あれー?ジェイド、小エビちゃんしらねー?」
もうひと頑張りだと姿勢を直して机に向き合うと、飲料の冷蔵庫を見ていたフロイドがバインダーをヒラヒラと仰ぎながら戻ってきた
「冷蔵庫を見て頂いてる筈ですよ?」
「え〜?鍵閉まってたんだけど」
「……帰った…んですかね…?」
部屋型の冷蔵庫のカウントを任せてから40分程経っていて、最後の棚だけだったからそんなに時間がかかるはずはない
鍵を掛けているということは帰ってしまったのかもしれないが、何も言わずに帰る人ではない…しかも一人で…
「小エビちゃんが何も言わずに帰るのおかしくね?」
「……そうですね。僕、寮にちゃんと帰れてるか確認してきます」
「頼みましたよ、ジェイド」
ソファから立ち上がり、部屋を出る
一度、冷蔵庫の前に来てみたがやはり南京錠がかかって入れなくなっていた
周りにカウントしてもらった紙なども無く怪しいが、寮に戻っていたならそれで良いと思いラウンジを後にした
鏡の間からオンボロ寮に向かおうとした時
こんな夜更けにサバナクローの寮生が3人程笑いながら歩いているのが見えて後をつけてみる
「まーじで、月末は倉庫とかの在庫整理してんだな」
「リーチ兄弟がいるから、忍び込むの怖かったけどな!」
「いやー…あの部屋の鍵閉めた時の中から扉開けようとしてる監督生の間抜けな声よ!マジでウケるんですけど!」
「随分と面白そうなお話をしておりますね」
※ボコボコにするリーチ「ゴミはゴミ箱に」