安眠剤
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キィィ…
扉を少し開けて隙間からアズール先輩が仕事をしている部屋を覗く
授業が終わってそんなに時間が経っていないのに、もう書類の山の中にいる
『…帰ってくるの早いですね。そんなに忙しいんですか?』
「えぇ…モストロ・ラウンジの経営に関する物と今度の期末への対策が被ってしまって…」
『また悪巧みして……』
そう言うとジェイド先輩とフロイド先輩は先に部屋の中に入って行った
私は合図を送ったら入ってくるように言われた
それまで続けて扉の隙間から様子を伺う
「あぁ、ジェイド、フロイド…やっと帰ってきましたか…」
「アズール…今日こそは寝て頂きますよ」
「目の下にタコ墨でもつけてんのって位クマ出来てんじゃん」
「そうはいかないんです…テストの暗鬼ノートは出来ても、まだラウンジの計算が終わってないんです…」
そう言いながら、ジェイド先輩とフロイド先輩の事を見ないで電卓をカタカタと打ちながら書類を書いていく
その姿に二人ともため息が溢れる
「もう、絞めちゃった方が早いんじゃね?」
「それは最終手段ですよ。入ってきてください」
そう声がして、扉を開いて部屋の中に入る
『アズール先輩、こんにちは〜…』
「あぁ……ユウさんじゃないですか…」
そう言ってやっと顔を上げてくれた
アズール先輩の目は虚で焦点がはっきりしてないし、目の下のクマははっきりと濃く出来ていた
『アズール先輩、お二人が言うように寝た方が良いですよ…クマが凄いですもん』
「ふふ…たとえユウさんの言う事でも聞けません、手を止めることはできません…」
そう言われて、ほら!と言わんばかりの顔を二人に向けたらフロイド先輩に脇の下に手を入れられて持ち上げられる…ん?
『え…ちょっと…フロイド先輩?』
「こうすんのが手っ取り早いでしょ」
『え!?』
持ち上げられて、無理矢理アズール先輩の膝の上に乗せられた
アズール先輩の電卓とペンを持つ手を離させて私のお腹の前に手を回させた
何をするんだ!と言おうとしたら二人に凄い目で睨まれて怯んで何も言わないことにした
『ア、アズール先輩…重たいですよね…!』
「………あったかい」
『…え?』
お腹の前に回った手はギュッと手と手を掴んで、さらに背中に頭を預けて寄りかかってきた
驚いて顔を見ようとしたが、こちらからは顔は見えない
「そのまま部屋で仮眠でも取っては如何ですか?少し休んだ方が効率が良いですよ」
「そうそう、寝ている間俺たちがやっとくからさ」
そう二人が言うと、アズール先輩は私ごと持ち上げて椅子から立ち上がる
まるで抱き枕を抱えた子供のように扉へと歩き出す
抱き枕って重さじゃないんだけどな
「……では、お願いしますよ」
「「はい/は〜い」」
『ちょっと、止めてくださいよ!』
………
……
…
アズール先輩の自室へと運ばれて、ベッドの上に下ろされた
アズール先輩は寮服のコートやジャケットなどを脱いでボウタイも外して机の上に置く
そしてベッドの上に座っていた私の事を抱きしめて寝っ転がる
『アズール先輩、寝ぼけてます?』
「かもしれません…これは夢なのかもしれない…」
そう言って寝るのかと思ったら、枕元のサイドテーブルにあった書類を手に取り目を通し始める
今から寝ようとしてるのにギリギリまで仕事をするつもりなのか
目を通していた書類を奪い取ってやる
奪い取ってもそこまで抵抗はされないでサイドテーブルの上に戻す
そして、仕事をさせないように体を上にずらしてアズール先輩の頭を胸の中に抱き寄せる
「……ユウさん…」
『これで書類を見ることはできませんよ』
少し慌てた素振りをしたが、諦めたのか背中に腕を回してきたから眼鏡を外してあげて銀色の髪の毛を撫でる
そして少ししたら寝息が聞こえてきて背中に回している腕が重くなる感覚がした
『おやすみなさい…』
私もアズール先輩の温かい体温とふかふかのベッドが気持ちよくて目蓋を閉じて寝る
起きた時には次の日の朝になっていて、アズール先輩の叫び声によって起こされた
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