温もりが冷める前に
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………夢を見た。
夕暮れの海辺で膝下まで海水に浸かっている
見つめる波の先に愛しい人がいる
そっちに向かおうとして一歩踏み出すと、ドボンッと急に落ちるように沈む
上を見あげると人魚になった彼が円を描くようにぐるぐると泳いでこちらを見ていて、名前を呼ぼうとしても口から息が出ていくだけで声は出ない
彼は片割れの兄弟が遠くで呼んでいて、そのまま私を置いて去っていってしまう
………
……
…
カーテンの隙間から太陽の光が差し込み顔に当たる
眩しくて、目が覚めると隣の温もりが消えていた。一緒に寝ていた筈の彼が何処にもいないのだ
慌てて椅子にかけられていた下着と彼の大きなTシャツを着て部屋を出た
階段を降りて談話室に向かうと、紅茶の香りがした
香りのする方向へと向かうとキッチンで紅茶をポットで入れている彼がいた
「おはようございます、ユウさん」
目を見開いて、紅茶を入れる手を止めていたジェイドさんの腰に手を回して抱きつく
頭をジェイドさんの胸に預けて顔を埋めて体温を感じる
ジェイドさんは手に持っていたポットを置き、肩に両手を添えてくる
『……何処かに消えちゃったかと思いました』
「…僕が何処に消えると思ったのですか?」
『……私を置いて…海に帰って行ったのかと…』
肩に添えていた片手で頭を撫でて来る
優しく髪をサラサラと流すように
「僕が海に帰る時はユウさんも一緒です。それが出来ないなら僕はユウさんと陸で生涯を終えたい」
『………。』
「だから、ユウさんを置いて帰るなんてしませんよ」
優しく、泣いている子供をあやすように頭を撫でられる
目頭が熱くなり泣きそうなのを隠すかのように頭をグリグリと押し付ける
「今日はお休みなので、ずっとそばに居ますよ」
『………絶対ですよ』
「えぇ、絶対です」
そう言うと、体を離されて顔を見つめて来る
泣きそうな顔を見てふふっと笑ってキスをされる
「まだ朝も早いので二度寝でもしましょうか」
『………抱っこしてください…』
「ふふっ…かしこまりました」
そう言うと、お姫様抱っこをして歩き出す
抱かれている体温は暖かくて、眠気を誘う
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